初めての友達
10月半ば
入学して、数ヶ月が過ぎた、私は退屈な日々を送っていた
テストでは満点取れても、笑顔は赤点のような日々だ、今の日々が楽しいかと聞かれればそれなりに楽しんではいると思う。
でも相変わらず友達なんていない、最初は話しかけてくれる人もいたが、自分から話しかけないためだろうか、次第に話しかける人もいなくなっていた
なんでだろうね、人との会話って難しい、私ってつまらない人間なのかな、そう思う時がある
昼休みは屋上でご飯を食べていた、ここは人が少ない、1人でのんびりと風が気持ちよかった
ただ少しだけ肌寒さを感じる、そろそろここに来るのはやめよう、また教室でご飯食べようかな
そんなことを考えてた、ふと声をかけられた、相手は誰か分からない
「あ、篠田さんだよね?、ここでお昼食べてるんだ、隣、良いかな?」
何で私のこと知ってるのかな、見覚えはあるし、クラスメイトかな
せっかく話しかけてきてくれたんだし、そう思って追い返すのも悪い気がした、
「・・・あの、誰です?」
「隣の席の恭平だけど、わからない?」
「ごめんなさい」
そういった私の横に恭平さんは座った、まだいいよとは言ってないのにとは思ったものの普通に友達がいる人はこういうのが当たり前なのだろうか、久々に誰かと一緒にご飯食べる気がする
さっそく私に用とはいったいなんだろうか聞いてみた
「その、勉強を教えてほしいなって思って」
「えっと私にですか?」
私はそんなこと言われたのは初めてだった、戸惑ってるわたしを見て恭平さんは耳元でそっと囁いた
「学年トップなんでしょう」
「えっ?」
なんで知ってるのだろうか、私は誰にも話した覚えはない、聞かれるたびにはぐらかししてきたのだ
自分から他人に言わなければわからないはずなのになぜ知ってるのか
私は再び頭を悩ませる、すると恭平さんはごめんと頭を下げた
「クラスで配られた時に隣の席から偶然見えちゃったんだ」
普段の何気ない行動が見られてた、私としては少しショックだ、でも教室だから見られてもおかしくはないのだ、幸いなことに恭平さんは誰にも広めてないらしい
むしろ広めない代わりに勉強を教えてくれと、そう言われた
そこで開き直るんだ、そう思いながらも教えてもいいかなと思った
そう言うよりも断るのが苦手な性格と言った方がしっくりくるかもしれない
私がいいよと答えると、喜んでくれた、ありがとうって言葉を久々に言われた気がする
私は自然に笑った、恭平さんに勉強を教えることで私も何か教えてもらえることがある気がした
「あれ、でもテスト終わったばっかですよね?」
「追試ってのがあるんだよ」
私は聞きなれない単語に思わず聞き返してしまった、どうやらテストの結果が悪い人だけが受けるものらしい
そっか、トップの私には無縁の話しだ、そういえば先生がそんなこと話してた気がする
「わかりました、協力しますよ、放課後に図書室で」
お昼休みに約束をして、弁当を食べ終わった、昼休みが終わるまでずっと話をしていた
誰かと自然に会話が出来るなんて思ってなかったから少し嬉しい、ただ敬語で話されるのは固すぎると笑われたのは恥ずかしかった
昼休みが過ぎるのがいつもより早く感じた、誰かといるからだろうか、私にはわからなかった