異世界転生
目が覚めた。
長い夢でも見ていた気分だ。
でも現実だ。
隣で寝息をたてているたった1人のパートナーと繋いだ手が、証明してくれてる。
さて、無事異世界に来れた、と思うのだが。
参ったな、いきなり不測の事態だ。
赤ん坊の身体じゃねぇか
そう赤ん坊の身体になってしまっていた。
トリップの予定だったのだが、転生になってしまっている。
まぁこれはこれでいいか
さっさと思考を切り替えて、辺りを見回す。
首が思うように回らなかったが、何とか目だけ回して確認する。
外だ。夜だ。近くにあるのは……門か?
どうやら家の前に捨て置かれているらしい。
少し寒いから誰か早く拾ってくれないかな。
ギュッ
おっと、相棒が手を握りしめてきた。
ギューッ、ギュッ、ギュッ、ギュッ
長かったり短かったり……長い時は短い時の三つ分の長さ……モールス信号か!
・ー・・・は「オ」か。
ー・・ ・・ ー・ーーー ・ー・ーー ー・ーー・ ・・ーー・・は「ボエテル?」。
「オボエテル?」か。
「オボエテル」と返信する。
モールス信号はなかなか使い勝手が良かった。
そうこうしていると人が来たみたいだ。
老夫婦だった。
当然ながら言葉は分からない。
抱き上げてくれた……拾ってくれるみたいだ。
ちょっと雨が降り出しそうだったしありがたい。
老夫婦はそのまま近くに見えていた門の中へと入っていった。