CLANNAD・入れ替わった二人(智代編)
その日の朝、いつものように坂上 智代が岡崎 朋也を起こしに来た。
カーテンを開け、朋也に声をかける智代。
「おい、起きろ朋也」
「ああ? もうちょっとだけ」
智代は掛け布団をひっぺがした。
「寒い!」
季節は冬。暖房のないこの部屋はとても寒かったので、朋也はそう口にして起き上がった。
「起きたか。朝食を作っといた」
「おう……」
朋也はベッドから降りると、学生服に着替え、智代と共に部屋を出て彼女を先頭に階段を下る。
「うわっ!」
足を踏み外した朋也が、階段から転げ落ち、先頭の智代とぶつかる。
「きゃあ!?」
女の子らしい悲鳴を上げ、共に階段から階下に転げ落ちた。
「痛……!」
起き上がる智代。朋也が下敷きになっている。
「大丈夫か、智代?」
智代が朋也に訊ねる。
何かが変。そう感じた智代は、自分の体を改めた。
膨らんだ胸。
背中まで伸びた銀髪。
スカートの下から露出した足。
「え?」
智代は洗面所へ駆け込み鏡を覗き込んだ。
鏡には端正な顔立ちをした智代の姿が映っている。
「智代!?」
智代は廊下に戻り、階段の前で倒れている朋也を見た。
(入れ替わってる!?)
朋也が起き上がって智代を見る。
「なぜ私が二人いるんだ」
「鏡を見ろ」
朋也は洗面所に行き、鏡を覗いた。
「何だこれは」
「どうやら俺たちは入れ替わってしまったらしい」
「そんなことがあるものか。これは夢に違いない」
朋也は自分の頬を抓った。
「夢ではないのか」
「残念ながら現実だ」
「……そうか」
「取り敢えず、俺が智代で智代が俺だ」
「分かった。それより早く朝食を済ませてくれ」
「俺は満腹だぞ。腹減りは俺になったお前の方じゃないのか?」
「言われてみれば空腹だ」
朋也は洗顔と歯磨きをし、朝食を済ませ、智代と共に学校に登校する。
「じゃ、俺は二年に行くからお前は三年な。入れ替わってることは知られないようにしろよ。特に春原とか」
「ああ、気をつけよう」
「何何? 何の話?」
と、そこに現れたのは、金髪で可愛い顔をした春原 陽平だ。
頭を抱える智代。バレたか、疑問符。
「何か入れ替わりがどうとか言ってたけど、二人の精神が入れ替わったのか?」
「誰にも言うなよ?」
「誰も信じないよ」
「それもそうか」
「で、どうしてそんなことになったんだ?」
「二人で階段から転げ落ちたショックで入れ替わったみたいだ」
「そうか」
春原はにやりと笑った。
「岡崎、ちょっと来い」
智代の手を掴み、茂みへと入る春原。
「岡崎、智代ちゃんの体を手に入れたんだ。俺とエッチしろよ」
「春原──っ!」
朋也が鬼のような形相で春原の背後に立つ。
「ひえええええ!」
春原は慌てて逃げていった。
この後、朋也と智代がどうなったかはご想像にお任せします。
智代──っ! LOVE!