スノードロップ
これから頑張るよ。
「スノードロップで」
私が言うと、店員は微笑んで
「ではこちらへ」
と店の奥部屋に私を連れ込んだ。
「あの、ここは?」
ーバタン
え? 扉が閉まっている。ヤバい。
ふと下に目をやると、スノードロップが1本あった。
「置いていったのかな?」
何気無く花に触れると。
『きてよ…お…起きてったら』
『んっ…?』
見知らぬ声に目を覚ます。
声の主はなかなかの美少年。
……え?
『良かったー、生きてた』
『あの…』
『あっ、こんにちは』
『こんちは…』
そうじゃないよ! 何で私美少年と挨拶とかしてんの!! っつーか、誰だよ!
『僕は、雪霞!』
『ねえ。雪霞は此処の住人?』
『うん!』
『此所って…どんな場所?』
『此処は鹿沢の森。森って言ってるけど、ちゃんと住宅街なんだ』
確かに、今居る(恐らく)雪霞の家も普通だ。
『へぇ…』
『びっくりしたんだよ?朝きたら君がいるんだからさ』
『それは…ごめんなさい』
『まあ可愛いから良いよ』
可愛い? 今可愛いっていった?私に? それって………
『それで?君、名前は?』 私は、真っ赤な顔のまま答えた。
『叶萌。』
『かなも?良い名前だね。似合ってる』
そう言って雪霞は笑った。