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グッバイ、ニコ

恋愛ゲーム小説らしからぬ展開になります

後、日本であって日本ではない世界なので現実とは違う展開になります

本日二話目となります

 六月も、もう少しで終わる。

 ニコに入って二ヶ月が経つが未だに仲良くなれた女子はいない。 

 多分、クラスでの俺のイメージはバイトに勤しむ真面目君。

 流行に興味がないフツメンがモテないのは分かるけど、何で学生時代って不良っぽい奴がモテるんだろ?

 ちなみに俺はバイト先では人気がある…正確にはパン屋の仕事に詳しいから重宝されている。

 まあ、前世では十年近くパン屋で働いていたから当たり前なんだけど。


「蒲田君、お疲れ様。もうあがって良いよ」


「店長、今日もありがとうございました。それではお先に失礼します」

 多分、バイト先での俺のイメージは若いのに挨拶がしっかりと出来る妙にパン屋の仕事に詳しい高校生。

 六月とは言え七時を過ぎると日が沈み辺りが暗くなる。

 人気のない路地に差し掛かった時、数人の女の子の泣き声が聞こえてきた。

(空耳?…この声はマジか?)


 前世の経験上、俺はトラブルには出来るだけ首を突っ込まない様にしている。

 でも、この泣き声だけは無視をする訳にはいかない。

 泣き声がする場所に近づくにつれて見覚えがある人影が見えてきた。


「朋子、琴理ちゃん大丈夫か?」

 泣いていたのは俺の可愛い妹朋子と琴美の妹の琴理ちゃん、そしてもう一人の女の子。

 朋子達は三人の男に囲まれていた。

 朋子は琴理ちゃん達を泣きながらも必死に庇っている。

 俺が朋子と男達の間に割って入ると、先頭にいた男が睨み付けてきた。


「なんだ?蒲田じゃねえか、不細工がナンパの邪魔をするじゃねえよ」


「雲知、女を泣かせるナンパなんて聞いた事ねえよ」

 そこにいたのは雲知柘とその取り巻き。


「うるせえよ。女なんざ強引にやっても良い声でなくんだぜ」

 うん、おじさんは我慢の限界を越えました。


「てめえで尻も拭けねえ餓鬼がおだつやなや(調子にのるな)」

 思わず前世の方言が出てしまう。


「一人と三人でどうすんだよ?」


「朋子、二人を連れて逃げろ!!ケンカもまともにした事がねえ餓鬼がなまこくな(生意気言うな)」

 俺の言葉を聞いて逃げだそうとした朋子達を追い掛けようとした奴に足払いを掛けて転ばせる。


「てめ、蒲田!!何すんだよ」


「んだ?お坊っちゃまはお喧嘩しましょって言わなきゃ喧嘩も出来ねえのか」

 雲知が殴りかかってきたから左手で払い除ける。

 俺はそのまま雲知の鼻柱を殴った。

 鼻柱を殴られると鼻血が大量に出るから大抵の奴はビビって戦意をなくする。

 案の定、雲知は泣き出しているし、取り巻きも手を出せないでいた。


「面白い事を教えてやろうか?俺は中学まで柔道をやってたんだぜ。お前等の腕くらい簡単に折れるんだぜ」

 俺が一歩踏み込むと取り巻きの一人が自棄になって突っ込んでくる。 

 でも足運びがバラバラだから簡単に抑え込む事が出来た。


「おい、蒲田!!冗談だよな?腕を折ったりしないよな?」


「お前等、随分とナンパが手馴れていたよな…今までの子にした事も冗談で済ますのか?」

 ゴキッと鈍い音が響き渡る。

 関節を外しただけなんだけど、雲知達にはビビっているから分からないだろう。

 雲知達の泣き声に混じってパトカーのサイレンが近づいて来る。


(朋子達が呼んだのかなっ…てマジかよ?)

 気がつくと俺は警察官に取り押さえられていた。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 情けない、大人の知識があると思って調子にのった結果がこれだ。

 俺は今警察署にいる。

 親の名前と電話番号を聞かれたが情けなくて答える事が出来ない。

 

(何が手が掛からないしっかりした子だよ。とんでもない迷惑を掛けてら)

 警察の話だと雲知の仲間はもう一人いて、そいつが警察に連絡をいれたらしい。

 四対一じゃ俺の証言は怪しまれるだけだ。


「おい、蒲田とか言ったな。被害者は女の子と遊んでいる時に突然襲われたと言ってるけど本当なのか?今、お前の親御さんに連絡をとっている。早く本当の事を話せ」


「被害者ですか?本当の事を言っても自称被害者の言葉を信じるんでしょ」

 朋子が来て証言をしてくれたら状況は変わるだろうけど人生初の停学は免れないと思う。


「随分と余裕があるな…お前の担任が来た、先生には本当の事を話せよ」

 警察官にと入れ替わりで入ってきた担任の先生は俺の顔を見るなり頭を下げてきた。


「蒲田、すまん。お前の退学が決まった」

 担任の先生の話では雲知の親が興奮しまくり教育委員会の会長まで引っ張りだしたらしい。

 校長は雲知の親父さんから寄付をもらっていたらしく、俺の退学は速断されたそうだ。


(高一で退学かよ…仕方ない、家を出て働くか)

 万が一、雲知の親が圧力を掛けて来た時の為に琴美にお願いをしておこう。

 そうすりゃ心置きなく家を出れる。

 心置きなく出れる筈なのに、情けなくて次か次へと涙が溢れ出て来た。

 父さんと母さんが迎えに来てくれたけど、二人とも俺を責めなかった。

 何でも朋子が泣きながら説明をしてくれたらしい。

 飯を食う気にもなれずに部屋に戻った俺はベッドに倒れ込んだ。


(まさか高校を卒業出来ないとはね…グッバイ、ニコってか…)

 何回もスマホが鳴っていたが出る気力が湧かないまま俺は眠りに落ちた。

感想お待ちしています

次回捨てる神あれば拾う神あり?

ちなみに後、二話ぐらいで恋愛ゲームのスタートになります

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