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調理実習は甘い匂い?

 やっぱり、この学校は庶民の感覚とずれている。

 今回の家政学の内容は庶民のお料理。、庶民代表として怒るべきたろうか?

 ちなみにメニューはメンチカツと鯖の味噌煮…普通の庶民はそんな組み合わせはしません。

 

「なんでメンチカツにA5の松阪牛を使うんだ?生きてる関サバなんてどっから持ってきたんだ?」


「茂さんお静かにしてもらえませんか?関サバは大分から空輸したんですよ」

 お嬢様モードの琴美が口を手に当ててオホホと笑う…なんかムカつく。


「わざとだろ?わざとやってるだろ」


「カマタ、カマタ。そさまは白糸バラシは出来るでありんすか?」

 俺は琴美の班に入れてもらったが、なぜかレヴィアターノ姫も琴美班に加入。

 ちなみに班の人はレヴィアターノ姫に萎縮してしまい大人しい。


「出来ません。あんなとんでも技は漫画の中だけですから」

 白糸バラシは庖丁人○平と言う料理漫画に出てくる技。

 肉にタコ糸を巻き付けて一瞬でバラすと言う庖丁を無視した技である。


「流石のあちきもグルマ○くんは信じてないでありんすよ」

 グル○ンくん、筋肉超人を書いた先生の料理漫画…いや、あの漫画は料理を超越しているんだよな。


「また、マニアックなネタを出してきましたね…琴美、家政学の先生って誰なんだ?」

 あれを信じる人はいないと思うが。


「家政学を教えて下さるのは尾山車おだし美鈴みりん先生ですわよ…でも尾山車先生は本日はお休みですから、代わりの先生がいらっしゃる筈ですわ」

 お出汁味醂かよ…攻略キャラ以外は適当に着けたんじゃないか?


「代わりの先生か。しっかし、これならしめ鯖とステーキにして食いたいよな」

 霜降肉なんて滅多に食べれないんだし。


「茂さん、課題なんですからきちんと料理して下さい…茂、うちに来たらいつでも食べせてあげるから」

 すいません、肉を食べに来ました…言える訳ないだろ。


「はいはい、初めて良いか?」

 鯖は早く煮て味を染み込ませたいし。


「先生が来るまでお待ち下さい。茂さん、お料理が出来るからと言ってクラスの和を乱してはいけませんわよ」

 確かにその通りだ、代わりの先生も授業の進め方を考えていると思う。

 …いると思っていた。


「みんなー、遅れてごめーん。今日は先生が教えちゃうよー」

 やって来たのは、酒納先生。

 慌ててやって来たらしく、スーツのままだ。

 

(三角巾を着けろ。ってか爪にマニキュアを塗ってるじゃねえか?)

 

「琴美、大丈夫なのか?あの先生、合宿の時には米を洗剤で洗おうとしたんだぞ」


「…茂さん、お願いしますね」

 琴美の額に青筋が浮かんでいる…その視線の先にいるのは酒納先生。


「凄いー、みんな生きてるお魚さんだよ…それでサンマイオロシってお魚さんはどの子かな?」

 あれか、魚は切り身で泳いでるって人なのか?


「先生、その鯖を捌くんですよ」


「蒲田君、お魚さんは生きてるんだよ?そんな事をしたら死んじゃうよ」

 男子生徒の中には、酒納先生の天然が萌えるって奴もいるらしい。

 はっきり言おう…俺は無理だ。

 

「いや、殺さなきゃ食べれないですよ。牛も野菜も生きていますし」

 ベジタリアンの中には生きてる動物を食べるのは残酷だとぬかす奴がいる。

 俺は前世で農家の孫だったから分かる…作物も生きているって事を。


「えっ…先生が殺すの?無理だよ…お魚さんがこっちを見てるもん」

 酒納先生は、魚を見ながらイヤイヤをしている…先生じゃなきゃしばく。


「琴美、初めて良いか?」


「茂さん、わたくしに魚の捌き方を教えてもらえませんか?将来の為に料理を覚えたいんです」

 琴美は料理を覚えなくてもメイドさんがいるから大丈夫だと思う…いや、琴美に酒納先生みたくなって欲しくない。

 

「分かったよ。最初に俺が捌いてみせるから手順を覚えろ」


「見ただけじゃ分かりませんから…だから、私の手を持ちながら捌いてくれませんか?」

 琴美の手を持ちながら捌くには、後ろから抱き着く感じにしなきゃいけない。

 かなり危険だ…主に俺の理性が。


「いや、良いのか?」

 意識をしたら嫌らしくなるの分かっているけど、顔が熱くなっていく。


わたくしがお願いしたんですよ」

 琴美の甘い匂いが鼻をくすぐる。


「この甘々な空気はキ○クオフでありんすね」


「俺はサッカー部じゃありません!!」

 今の俺達はあんなに甘いんだろうか?


「あちきはキッ○オフより虹のラ○ナーの方が好きでありんす。特に黄色の人が好きなんでありんすよ」

 虹○ランナー、駅伝を題材にした漫画。

 七色のタスキにかけて登場人物の名前には、虹の色が入っている。

 ちなみに黄色の人は最終回に登場して”お前たちを見ていたら俺も走りたくなった”の台詞しかない悲しいキャラだ。


「姫星さんと蒲田君は仲良しさんなんですね。先生も薬鳴君は仲良しなんだよ」

 薬鳴か…彼奴は何者なんだろう。

 とりあえずレヴィアターノ姫への突っ込みで冷静になれた。


―――――――――――――


 料理はそれなりに美味しく出来たと思う。

 正直に言うと、ドキドキして味が良く分からなかったんだけど。

 鯖の味噌煮には無理みたいだが、女子生徒はメンチを気になる男子生徒にあげていた。

 女子やモテる奴はは楽しいかもしれない…ちなみに俺はメンチをもらうどころか朋子に取られたからマイナスである。

 

(小腹が空いたな…途中で買い食いしてくか)

 学校の帰り、コンビニ向かっていると何やら光る物を見つけた。


「おっ、金か?ラッキー…ってビールの王冠?」

 次の瞬間、目の前に植木鉢が落ちてきた。

 もし、王冠を拾わなかったら頭を直撃していたかも知れない。

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