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琴美アグレッシブ

 氷狼館との試合は、星空が3対1で勝利した。

 当然、応援席は大盛り上がりなんだが一人だけ浮かない顔をしている人がいる。


「展開が違いすぎる…これじゃ翔太きゅんと士武のツーショットが無くなっちゃう。あのスチルをリアルで見れると思ったのに」

 盛り上がる応援席で、菊谷さん一人だけが項垂うなだれていた。

 菊谷さんの話では、ゲームでは星空のサッカー部が負けるらしい。

 有詩は負けた事を、他の部員の所為にして怒鳴り散らす。

 それを見た士武が有詩に向かって「仲間を信頼しないお前に俺達が負ける訳がない」と言うそうだ。

 しかし、有詩は試合が終わると士武とガッチリと握手をして再戦を誓い合っていた。

  

「あー、このままじゃ士武の転校イベントが起きないー」

 転校イベントを起こすには、有詩と士武が言い争いをしてる所に菊谷さんか琴美が止めに入るそうだ。

 そのどちらかに士武が惚れて転校して来るらしい。

 ちなみに士武や有詩への好感度で、琴美が出るか菊谷さんが出るか決まるとの事。


「いや、有詩に文句をつけたらまず白鳥さんが黙ってないぞ」

 絶対に琴美や菊谷さんの出番はないと思う。

 

「うー、体育祭で翔太きゅんと士武の二人三脚を見れる予定だったのにー」

 いや、野郎同士の二人三脚なんて嫌がらせだろ。


「体育祭で二人三脚?またベタなイベントだな」


「甘いっ!!体育祭でどのルートに突入するかほぼ決まるのよっ!!」

 菊谷さんの話では、二人三脚は色んな組み合わせがあり好感度をうまく調整すると同性二人三脚が見れるとの事。


「うわっ、それじゃ俺が有詩や山本と組む事もあるのか!?」

 脛毛同士が擦れ合う二人三脚なんて絶対に参加したくない。


「はっ?貴方の相手は琴美ちゃんに決まってるでしょ。肝試しイベントも後夜祭のダンスパートナーも琴美ちゃんだったし、北海道でも独占してたじゃない。どんなツールを使っても、あそこまでベタ惚れにならないわよ」


「ツールって、俺は何もしてないぞ。口説き文句のくの字も言ってねよえ」

 琴美の事は好きだ、幼馴染みとしても女としても…だけど、立場が違い過ぎる。  


「前に琴美ちゃんが言ってたわよ”茂が初めて私を私として見てくれて、私を私として認めてくれたの。彼奴がいてくれなきゃ、私は部屋で待ってるだけのお人形さんだったかもね”そう言ってたんだよ」

 確かに出会った頃の琴美は自己主張を全くしなかった…いや、知らなかったと言う方が正確だろう。

 今じゃ俺の主張を叩き潰すけど。


「そんな事を言ってたのか」

 

「私も負けてられない!!翔太きゅんの借り物競争イベントは絶対に起こしてやる」

 借り物イベントでは眼鏡や財布が定番だが、星空の借り物競争では大切な人大好きな人があるとの事。

 みんなの前で断られたどうするんだ…ある意味公開処刑だぞ。


―――――――――――――


 北海道から帰ってきた琴美しんゆうは、僕にこう宣言した。


「蘭、私本気になるから。本気で茂を物にしてみせる」

 握り拳を作って力説する琴美お嬢様、さっきまでオホホ笑いをしてた癖に相変わらす凄い変わり様だ。


「いや、今までも充分過ぎる程、本気だったじゃない」


「今までは幼馴染みの関係を壊さない為に受け身だったの。これからは攻めて攻めまくるわよ。まずはこれ」

 どうやら琴美はアグレッシブになるらしい。

 そんなアグレッシブ琴美が持っていたのは1枚のプリント。


「それは選択授業のプリントでしょ?」

 僕も一学期で記入したから覚えている。


「そう、茂のプリント。彼奴まだ出してないから私が代わりに出すの」


「なんで琴美が蒲田君のプリントを持ってるの?」

 蒲田君の性格からして、プリントの提出を他人ことみに頼むとは思えない。


「だって、これ偽造書類だもん。姫星財閥の手に掛かればチョロいもんよ」

 …おい、書類偽造かよ。


「攻め過ぎっ!!蒲田君になんて言うのさっ!?」


「事後承諾に決まってるでしょ。どうせ、茂は他の選択授業は選ばないんだし」

 アグレッシブ琴美がマジ過ぎてヤバいってか怖い。


「いやいや、分かんないんでしょ」


「茂はリズム感も音感もないから音楽と社交ダンスは選ばない。黙ってるのが苦手だから美術や書道も選ばないし」

 流石と言うかなんと言うか琴美は蒲田君の事をちゃんと把握してる。

 僕は孝ちゃんの事をどれだけ分かってるんだろうか?


「孝ちゃんの話だと、蒲田君は茶道と華道に興味を持ってるみたいだよ」

 琴美のお陰で僕は孝ちゃんとラインが出来る様になった。

 

「そんなのは私が教えるわよ。彼奴は家政学に女子が多いから迷ってるだけだし。だから先生に”蒲田君は女性と話すのが苦手ですので、私と同じ班にしてもらえますか”って頼めばオッケー」

 確かに琴美は華道や茶道の段を持っている。

 

「準備万端と言うかなんと言うか…でも、急にどうしたの?」

 僕の話を聞いた琴美は寂しそうな顔でうつむいた。


「負けたくない人が出来たの…あっ、茂。選択授業のプリント今日までだって…もう、忘れてたんでしょ。選ぶのは家政学だよね、私が代わりに出しておいてあげる…大丈夫、私と同じ班になれる様にお願いするから…これにて完了!!」

 親友がしたたか過ぎて怖いです。


――――――――――――――


 バイト帰り、信号が青になったので渡ろうとしたら見事に転けた。


「なんだ!?ってバナナの皮…マジかよ」

 俺が立ち上がった瞬間、信号無視のトラックが猛スピードで目の前を通過していく。


(バナナの皮に命を救われたっ!?)

 前世は通り魔に殺されたから、今世こそはきちんと生きたい。

 ちなみに受けると思って、ラインで琴美に伝えたら物凄い怒られた。

蟹座と水瓶座のキャラどうしよう

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