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幕間薬鳴秋

短めで人によっては不快に感じるかもしれません

 薬鳴秋本名池英いけふさ美男子びーなす

 読み方を変えればイケメンビナンシ。

 冗談の様な名前であるが、彼の本名であった。

 そして男なのにビーナスと着けられたのは彼の両親の知識不足でしかない。

 ビーナスと言う美しい神様がいると聞いた事があるから着けただけなのだ。

 それでも美男子が名は体を現すを地でいっていたら、何も問題がなかっただろう。

 しかし、美男子はイケメンではなかった。

 決して醜い顔ではないが、どこにでもいる様なフツメン。

 蒲田茂と比べたら、大多数の女性は美男子の方が格好良いと言うかも知れない。

 それが却って彼に災いした。

 美男子は自分が名前通りのイケメンだと思い込んだのだ。

 美男子は何時も上から目線のナルシストへと成長してしまう。

 当然、学校に溶け込めず孤独になっていった。

 やがて、彼は自分の居場所を見つけた…正確には誰からも傷つけられない逃げ場所である。

 それはアニメやゲームの二次元の世界。

 選択肢を間違えなければ傷つく事はなく、どんなくさい台詞も好意的に受け止められる。

 美男子は加速度的にオタク化していったと言う。

 正確には言えば、オタクを隠れ蓑として自分が傷つかない様にしたのだ。

 美男子が二十八才の時にあるゲームソフトに出会った。

 星空の恋人達である。

 高校を卒業してからフリーターをして過ごしていた美男子は、星空の恋人達にはまり引きこもりがちになった。

 誰かに傷つけられたのではなく、自分を受け入れてくれる世界への逃避である。

 引きこもりと美男子は太っていき、ますます星空の恋人達にはまっていった。

 否、正確には自分の置かれている現実に耐えきれずゲームの世界へと逃げ込んだのである。

 1日中画面にかじり付き、トイレに行く時間さえ惜しみペットボトルを使いだしたと言う。

 ネットで誰もなし得た事がないと言われた全員同時攻略もした。

 そんなある日、美男子が星空の恋人達secondで遊んでいると突然雷鳴が鳴り響く。

 停電でもしたのかテレビ画面が真っ暗になった。


「おい、ふざけんなよ!!これから未回収の琴美のスチルが出るんだぞ」

 テレビに文句をつけ出す美男子。

 本来ならテレビが答える訳がない。

 ましてや、停電しており蛍光灯さえ着いていないのだ。

 しかし、突然テレビだけが着いたのだ。

 嬉々として画面に目を移す美男子。

 しかし、彼の目に飛び込んで来たのは見慣れた美少女ではなく白髪の老爺であった。

 白い髭をたくわえ杖を持った老爺が美男子に頭を下げる。


「すまぬ、儂のミスでお主を殺してしまった」

 

「嘘だろ?secondまだ全クリしてないんだぞ」

 美男子がテレビに手を伸ばした途端、彼は画面の中へと吸い込まれていった。

 

「もし、この事を内緒にしてくれればお前を望む世界へと転生させてやろう。儂は神だ、新しい世界を作る等造作もない」

 美男子が選んだのは星空の恋人達への転生。

 美男子は男性主人公に転生すればリアルハーレムを気づけると狂喜していた。

 自称神の老爺が邪悪な笑みを浮かべているのを気づかない位に。

 そして自称神も気づかずにいた。

 遠い世界から自分を見つめて「気に入りませんね」と呟く紳士がいた事を。


――――――――――――――


 薬鳴秋は苛立っていた。

 本来なら色んなキャラとのイベントを堪能している筈だった。


「ちきしょう、攻略ルートに入れたの酒納先生はだけかよ…それもこれも蒲田が悪いんだ」

 琴美とのイベントをことごとく邪魔するだけでなく、各ヒロインに男をあてがいし始めた。

 しかも、全員が幸せそうに過ごしている。

 

「久しぶりじゃな。美男子いや薬鳴秋よ」

 現れたのは美男子を星空の世界へ転生させた自称神。


「久しぶりじゃねえよ。僕のハーレムをどうしてくれるんだ?」


「喚かずとも良い。お前にはこれをやる…キャラハックの珠じゃ。隠しヒロインの分もあるぞ。ただし、一ヶ月に一個しか使えないがの。そしてバグは儂が取り除いてやる…愚か者には神罰を喰わしてやるわ」

 自称神はそう言うと、薬鳴に色とりどりの珠を手渡した。

 茂を転生させた占い師がニヤリと笑ったのも知らずに。

菊谷さんの幕間を入れるか検討中です

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