斜めのプリンセス
今回は若い人には分かりにくいネタがあります
平均年齢が高めの読者様が多いから出来るネタです
二学期早々、とんでもない物を見てしまった…
有詩の鞄に予想の斜め上をいく漫画が入っていたんだ。
(ス、スクラップ三○夫?何でバケツロボット漫画なんかを…)
有名病院の後継ぎとしてのプレッシャーなのか?
それとも恋の悩み?
しかし、何で柔道ロボット三太夫なんだ?
「うん?シゲ、これを知ってるのか?…そうか、お前中身はおっさんだったんだよな」
「おっさん言うな。今は正真正銘の十代だ。でも、何でそんなマニアックな漫画を持ってるんだ?」
有詩の年では存在すら知らないと思うんだけど。
「俺が海外交流委員会に入ってるのを知ってるだろ?んで二学期に外国にある姉妹校から留学生が来るんだ。その留学生が好きな漫画なんだよ」
有詩は日本とイタリアのハーフだから海外文化に慣れている。
慣れているけど…
「はっ?その留学生は何歳なんだよ?」
絶対に学生じゃないだろ。
「俺等と同い年だぜ。そして聞いて驚け。留学生はボスコ王国のレヴィアタノー・スコルピオーネ王女様だ」
確かに驚いた。
(ボスコ王国に姉妹校があるとはね)
ボスコ王国はイタリアの南に浮かんでいる島国だ。
勿論、前世の世界にはなかった国である。
「ボスコ王国のレヴィアタノー姫って親日家で有名な人だろ?まさか親日家って…」
愛称はレヴィ姫、銀髪碧眼の美少女はテレビで特集が組まれる位人気がある。
「ああ、レヴィ姫は日本のサブカルチャーが大好きなんだよ…ただし、昔のサブカルチャーだけどな。これが姫の好きなサブカルチャーの一覧だ」
好きなロボット
スク○ップ三太夫
ロ○ダッチ
バッテンば○丸
好きなヒーロー
未来警察ウラ○マン
忍者キャ○ター
ファミコンロ○キー
好きなギャグ漫画
埼玉山○上大学
さすがした○か君
アホ拳ジャッ○ー
…見なかった事にしたい。
「これは駄目だ…マニアック過ぎる。何で王女様がロボ○ッチを知ってんだ?山の上とかアホ拳ジ○ッキーなんて今の奴は知らないだろ?」
「シゲ、お前がダチで良かったぜ。委員会で知ってる奴は一人もいなかったんだよ」
逆に忍○キャプターやしたたか君を知ってる高校生がいたら怖い。
「古い漫画だし、マニアックな物ばかりだから仕方ないだろ」
「そこでだ…シゲ、レヴィ姫の話し相手になってくれないか?」
普通の高校生なら美少女の王女様とお近づきなれると直ぐに食い付くだろう。
「悪いが断らせてもらう。学祭で忙しくなると思うから無理だわ」
「学祭か…それは建前だろ?本音はなんだ?」
流石は有詩、分かっていたか。
「俺は外国語は一切話せない。それに王女様に粗相をしたら攻められるに決まってる。俺のマナーなんてレストランでしか通用しないんだぞ」
「レヴィ様は日本語を話せるし、マナーとかを気にしないさっぱりしたお方だから問題ない」
「王女様が気にしなくても周りが許さないだろ?」
きっと、堅物メイドや嫌味な執事に無礼者とか言って叱られたりするんだ。
「いや、ボスコ王国はレヴィ様に普通の生活を送らせたいらしい…何より、レヴィ様自身から特別扱いをして欲しくないって要望が来ている」
「いや、それは絶対にトラップだって。外国人の地雷は分かりにくいし」
日本人の何気ない行動が、外国人にとっては無礼な行動になるらしい。
「毎日話さなくても良いから頼むよ。レヴィ様は日本でサブカルチャーの話をするのを楽しみにしているんだよ。なっ、頼むよ」
とりあえず一回話をして王女様が気に入ったらで折り合いがついた。
――――――――――――――
レヴィアタノー姫留学初日。
星空学園にはセレブが大勢在籍しているとは言え、独特の緊張感が漂っていた。
何しろ相手は一国の王女様。
(まっ、留学期間なんてそんな長くないだろうし、クラスが違えば話す機会も少ないよな)
つまり俺の出番は無いに等しいと言う事。
「シゲ、レヴィ様はウチのクラスに決まったから頼むぞ」
「はっ?マジかよ?」
でも良く考えたら、ウチのクラスには海外交流委員会の有詩がいるし、琴美の実家姫星財閥は海外とも関係か深い。
そしてこの世界がゲームと関係があるしとしたら、主人公キャラの薬鳴や菊池さんもいる。
(マジかよ…本当に、ここはゲームの世界だっていうのか?)
その日のホームルーム、担任に連れられてやって来たのは銀髪碧眼の美少女。
「あちきの名前はレヴィアタノー・スコルピオーネでありんす。どうかよろしくお頼もうしやす」
(く、廓言葉?あれか時代劇で日本語を覚えた口か?)
「皆様に質問がありんす。GU~GU~ガ○モの最終回はどうなったでありんすか?」
「何で○ンモ?漫画とアニメじゃ最終回は違うけどさ!?」
この王女様は明後日過ぎる。
「あちき、ガン○の物真似でテレビに出ようと思う人を違う意味で尊敬するでありんすよ」
確かに、俺以外は話が出来ない様だ。




