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展庭でナンパ?

 今日はバイトが休みだから、否応なしにもテンションが上がってくる。

(さてと、今日は何すっかな。久しぶりに町にでも出るか)

 カーテンを開けると部屋に眩しい光が一気になだれ込んできた。


(朝から雲一つない快晴だと?絶対に暑くなるだろ)

 みるみるうちに俺のテンションが下がっていく。

 休みに天気が良くてテンションが上がるのは、若いうちだけだと思う。

 男だから日焼けは気にしないけど、暑いのは勘弁だ。


(買い物は母さんに仕事帰りにしてきてもらうか…今日の俺はクーラーとダチになる)

 テレビでも見ながらのんびりと過ごすとしよう。


――――――――――――――――


(暇だ…俺は東京のグルメにも芸能人の恋愛にも興味がないんだよっ!!) 

 平日の午前中のテレビって、なんでこんなに主観が入りまくった話題しか流さないんだ?

 後、したり顔のコメンテーターの言動が鼻につく。

 ヤバい、午前十一時にしてもうテレビに飽きてしまった。

 ゲームは…前世でプレステ2をしてからやっていない。

 読書は…たまに実用書を読む位。

 今から遊べる相手は…有詩はサッカー部の合宿に行ってるから無理。


(ニコの誰かが捕まれば良いんだけどな)

 スマホを弄ろうとしたら、タイミング良く電話が来てくれた。 

 相手はニコでクラスメイトだった。渡辺文朗。


「シゲさん、今日は何か予定ある?」

 気のせいかも知れないが、文朗は声のトーンが暗い。


「大丈夫、バイトが休みで一日暇だよ。どうした?」


「良かった…これから星空デパートの前に来てもらえる?ちょっと困った事になったんだ。ごめん、シゲさんしか頼る奴がいないんだ」


「俺が人様に自慢出来るのはパン作りぐらいだぞ」

 自慢の可愛い妹はいるけど。 


――――――――――――――


 デパートに着くと文朗が駆け寄って来た。


「久しぶり。いきなりどうしたんだ?」

 俺の問い掛けで、文朗はどこかばつの悪そうな顔になる。


「先週、ニコの奴が展庭でナンパに成功したんだよ」


「へえ、凄いな。騒ぎになったろ」

 ニコの男子生徒にとって展庭の女の子と付き合うのは夢と言っても過言ではない。


「うんそれに触発されたイケメン連中が俺達もナンパに行くって騒ぎだしんだ。それに俺も入れられたんだ…」

 俺もそいつらには心当たりがある、確かに俺の数倍格好いいけど、展庭にはそいつらと比べ物にならないイケメンがゴロゴロいる。

 イケメン連中は、自分達の中にフツメンを混ぜれば自分達が悪目立ちしなくなると考えたらしい。

 

「はあ?なんで断らなかったんだよ」


「俺の昔からのダチに浦辺(うらべ)武季(たけとし)って奴がいるんだけど、そいつに最近彼女が出来たんだ。彼奴等に”ナンパに付き合わなきゃ浦辺の女を寝取るからな”言われて…」

 …今の若い奴は何を考えているのかおじさんには分からない。


「そんなの真に受けんなよ。彼氏持ちがなびく訳ないだろ」


「その彼女は元々彼奴等の一人を好きだったんだって。武、彼女の事を本気で好きなんだよ」

 いや、気持ちは分からなくないけど。


「その話に俺関係ある?」


「シゲさん、俺と一緒にナンパして!!」

 

 イケメン六人と文朗でナンパをしてたが、都合よく七人組の女子がいる訳もなく二人一組でナンパをする事にしたそうだ。

 当然と言うか文朗は一人残されたとの事。

 掛かった費用はナンパを成功できなかった奴が負担する事になったらしい。 


「無理だって!!俺はナンパなんてした事ねえぞ」

 前世も今世もモテてないんだし。


「ダチで展庭で緊張しないのはシゲさんしかいなんだよ。負けても金は俺が払うからお願いっ!!彼奴等を見返したいんだっ」

 文朗はそう言って、思いっきり頭を下げる。

 当然、俺達に注目が集まる…展庭の皆様の視線が非常に痛い。


「茂さん、営業妨害は止めていただきませんか?」


「蒲田、まさかと思うがいじめをしてるんじゃないだろうな」


「琴美と伊庭先輩?誤解ですって」

 そんな俺に話し掛けてきたのは琴美と伊庭先輩。

 なんでここに…姫星デパートの前に琴美がいてもおかしくはないか。

 琴美は真っ白なサマードレス、伊庭先輩は黒い無地のTシャツにジーンズ。

 二人とも展庭でも別格で俺とは違う意味で注目を集めている。


「どうでしょうか?ナ・ン・パなんて下品な言葉が聞こえましたし」

 うん、汚れを知らない避暑地のお嬢様って感じの琴美だけど、琴美は琴美だ。

 無言のジト目が怖い。


「俺がナンパなんてする訳ないだろ?もし、しても場所を選ぶ。こんな所でナンパをする訳ないだろ」


「こんな所で悪かったわね。それに他の場所ならナンパするっての!?」

 琴美さん、そんなに怒らなくても…そうだっ!!


「琴美、今から時間はあるか?俺にナンパされてくれないか?飯を奢るから、頼むっ!!」

 琴美に軽く頭を下げてお願いをする…元より琴美以外に頼める奴はいないんだし。


「し、しょうがないですわね。茂さんがそこまで言うんでしたらお食事に付き合って差し上げますわ…やった!!」

 途端に笑顔になる琴美。


「すいません、伊庭先輩お願いして良いですか?」

 そう、知り合いをナンパしたら駄目だとは言われてないんだし。


「何か事情がありそうだし、私は構わない」


「文朗、これで良いだろ?文朗…?」

 さっきから文朗が大人しいと思ったら伊庭先輩をポカンと見つめている…まさか一目惚れ?


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