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来部蘭ライブをする人

 俺も中身はオッサンとは言え男だ。

 可愛い女の子は好きだし、モテたくないと言えば嘘になる。

 いや、モテなくて良い…せめて一人くらいは俺に興味を持ってくれないだろうか。


「今日もあっちの転校生は大人気ですね」

 佐藤君の目線の先には女子に囲まれている薬鳴君の姿があった。


「ああ、そしてこっちの転校生は今日も人気がねえぞ」

 山本の目線の先には未だにクラスに馴染めてない俺がいる。


「いや、ここまで差が着くと笑えるよな。クラスで話せる女子は琴美だけだし…男子も三人しかいないけど」

 ちなみに有詩・佐藤君・山本の三人。

 

「蒲田君の人間関係って逆に凄いよね。四人の姫と三人の将軍と三日で知り合いになったんだから」

 知り合いになった姫は琴美・早紀さん・伊庭先輩・爽青生徒会長。

 将軍は有詩・夜鬼先輩・爽青副会長。

 

「そのうち三人は幼馴染みだって。他にはどんな姫と将軍がいるんだ?」

 

「あのな、そんな簡単に知り合いになれる相手じゃないんだぞ」

 呆れたのか山本が溜め息混じりの返事をしてきた。


「違うよ、これ以上知り合わない為だよ。今朝は有詩と廊下を歩いただけで睨まれたんだぞ」

 これ以上、姫や将軍と知り合ったら平穏な学生生活が崩壊しかねない。


「将軍は三年生に一人と一年に一人いるよ。姫は一年にもう一人いるんだけど、その人は姫星さんと仲が良いから蒲田君なら、そのうち会うんじゃないかな?」


「他のクラスだからまだ見た事がないだろうけど。会ったら驚くと思うぜ」

 何故かニヤニヤと笑い合う二人。

 

「マジかよ。いや、幼馴染みの友達なんてクラスが違えば会う機会なんて滅多にない筈」

 姫と仲良くすると、譜代や親藩の生徒だけじゃなく薬鳴君まで睨んでくる。

 あれだけモテてるんだから、俺なんてシカトして良いと思うんだけど。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 無事に放課後を迎えた俺は愛車の待つ自転車置き場に来ていた。

 

「その自転車は君のだったんだ。珍しい自転車だから誰の自転車なのか興味があったんだ」

 話し掛けてきたのは元気の良さそうな女の子。

 ボーイッシュな感じで、ベリーショートにしている髪が良く似合っている。

 

「いや、どこにでもあるママチャリですよ。世間様の常識で言えば貴女が乗っている自転車の方が貴重なんですけどね」

 少女が乗っているのは有名メーカーのオフロード自転車…どう考えても街中で乗るメリットはないと思う。


「僕の自慢の自転車なんだ!!…君、変わってるね」

 確かに、星空では珍しい何の特技もない外様だ。

 前世の記憶もあるし。


「そう?それじゃ、失礼します」

 今日はバイトが休みだから、琴美が家に飯を食べに来るから買い物をして帰る必要がある。

 

「僕の名前は来部(くるべ)(らん)よろしくね」

 

「…はい、よろしくお願いします」

 帰ると言ってるのに名前を名乗るなんて、随分と自己アピールが強くないか。

 分かった、俺を介して有詩と仲良くなろうって魂胆なんだろう。


「うー、君は僕を知らないの?」

 何故か、来部さんは不安気な表情になっていた。


「いや、来部さんですよね?」

 確かに、詳しい事は知らないけど。


「らーん、ここにいたんだ…茂?随分と珍しい組合わせじゃない」

 俺にしてみれば、何時も車で送り迎えされている琴美が自転車置き場に来た方が珍しいんだけど。

 

「琴美ー、僕ってまだマイナーなアイドルなの?この人名前を言ってもノーリアクションなんだよ!!」


「あー、茂は流行や芸能関係に疎いからね。茂、この子は私の友達の来部蘭、アイドルグループ コメットエンジェルの一人…本人が目の前にいるんだから、そこは義理でも驚きなさいよ」

 アイドル?コメットエンジェル?来部蘭?

 やべ、全然分からない。


「あー、知ってる、知ってる。コメットエンジェルでしょ、コメットエンジェル人気凄いよね。さて、俺は買い物をしなきゃいけないから。琴美、なんかリクエストはあるか?」

 多分、これでうまく誤魔化せたと思う。

 いや、空気を読んで誤魔化された振りをして下さい。


「納豆チャーハンと里芋の煮っ転がしでよろしく」


「うん?納豆チャーハン…茂…あー、そうか、君が噂の茂君か。ほー、まさか本物に会えるとはね」

 さっきまでへこんでいた来部さんが一転してニヤニヤと笑っていた。

 いや、アイドルと違って庶民には偽者なんて居ないと思うが。

 

「ら、蘭!!茂も早く行きなさい!!」


「えー、折角知り合えたのに…そうだ!!今日はオフだから私も納豆チャーハンを食べたいな」

 いや、アイドルが家に来たら面倒な事になる。


「ほら、茂の家は普通の家だから、あまり大勢でお邪魔しちゃ駄目なんだって」

 いや、確かに普通の家だけど、そこまで狭くはない。

 

「ふーん、今度のラジオには恋愛相談コーナーがあるんだよねー。色々と喋っちゃおうかなー」


「くっ、蘭は茂の家の場所を知らないでしょ?」


「そんなの自転車同士だから着いて行けば良いでしょ」


「駄目、絶対に駄目!!蘭、貴女はアイドルなんだから写真を撮られたどうするのよ!!」

 そんな事になったら、俺がネットで叩かれまくる。


「だったら、琴美が連れてって。それなら良いでしょ?」


「わ、分かったわよ。それで何か食べたい物はあるの?」

 俺はまだ許可してないんだけど。


「そりゃ、琴美が大好きなシ…じゃなく納豆チャーハンに決まってるじゃない」


「蘭、わざとでしょ?絶対にわざとやってるでしょ」

 どうやら、琴美は来部さんと仲が良いらしく素で対応をしている。

 …琴美の友達?


「まさか琴美の友達の姫って来部さん?」


「そうだよ。蘭のご両親も芸能人なんだから」

 姫でアイドルって、一番厄介な人知り合いになったかも…。

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