親友
「ミオっ!ミオっ!」ミオは誰かの叫ぶ声で目を覚ました。そこにいたのは、
「お母さん…、じゃなくてモモ…」
えっ!なんでモモがここにいるの!?
「昨日の夜ミオのお母さんから、ミオの様子がおかしいから見に来て欲しいって電話があったんだよ!で、部屋に入ったら、ミオが倒れてるからびっくりしたよ。」モモの顔は涙でグシャグシャだった。
「モモ〜!!」
ミオは泣きながらモモに抱きついた。そのまま2人で泣き続けた…。
気持ちが落ち着いてきたミオは尋ねた。「そういえば、お母さんは?」
モモは涙を拭き、しゃくりあげながら答えた。
「ミオのお母さんとお父さんは…、出掛けちゃったよ。今日はどうしても田舎に帰らないといけないんだって。」
(そう言えばそんなこと言ってたっけ…。)
ミオにはもう一つどうしても確かめたい事があった。
「ねぇ…モモ…、他に変わった事はなかった?」
「はぁ、何言ってんの?誰もいなかったよ。」
モモは笑いながらも少し戸惑った様に答えた。
「もう少し休むといいよ。今日は学校休むでしょ?」
そうだ!学校…、日直!と思ったが、確かに登校できる様な状態ではない。今はもうそんな事はどうでもいい。
モモは鼻歌を唄いながら朝食を作っている。
(ありがとうモモ。私達はずっと親友だよね。何があってもずっと最高の友達。)
「ん…、何か言った?」
「なんでもないよ…。」ミオは微笑みながらモモの作ってくれた味噌汁をズズッ、とすすった。
(一体、あの女は何だったのだろう?私は幻をみていたのかな?)
その後、あの女は現れていない。暫くは、エレベーターに乗るのも怖かったが、モモが毎日送り迎えをしてくれ、エレベーターに乗る時は手を繋いでくれる。やがてトラウマも克服できるだろう。
「モモ…。ありがとう。大好き!」
手を繋ぎながらモモの方を見ると、モモもミオを見て優しく微笑んだ。少しだけ、モモの手を握る力が強くなった様に感じた。
「赤い女」お読み頂き、ありがとうございます。一応ここまでが、前編となっております。赤い女の正体、そして目的は想像していただければと思いますが、一応ヒントはいくつかちりばめています。女がミオに囁いた言葉の中をもう一度見直して下さい。
後編は、女の方から、正体、目的に迫っていきます。引き続きご覧いただければ嬉しいです。