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赤い女  作者:
3/13

部屋にて

ミオは母にばれないようにそっと部屋に入った。母の事は嫌いではないが、なんとなく最近は顔を合わせ辛い。

晩御飯はモモの家で既に済ませているのでさっさとお風呂に入ろうと思ったが、今見た体験を誰かに伝えたくて、ipodtouchを取り出し、ソード・オブ・エタニティー、通称SOEというアプリにログインする。


SOEとは最近人気のSNSゲームだ。普段は個別に自分のキャラクターを強化していくが、朝8時と夜10時の1日2回、1時間のパーティーで協力して戦う「決戦」という時間がある。決戦は連続で3体のBOSSが出現するが、それぞれのBOSSを倒せば貴重なガチャ用のアイテムが貰えるため、普段は疎遠なパーティーも決戦の時は皆集まる。

それ以外の時間はパーティー用の掲示板は雑談用となっており、訪れるメンバーも固定している。


あはっ…。ミミさん、オミーさん、オーズさん、スコットさん、あっ凜さんも!みんないるじゃん。普段集まるメンツを確認し、ミオは安心した。

「めっちゃ怖かったんですよ〜(´༎ຶД༎ຶ`)」と先程見た事を報告する。

「ミオちゃん大丈夫!?今から行くからε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘」すぐに凜さんから返信があった。

他のみんなも心配してくれたりちゃかしたり…、反応はそれぞれだがいつものみんなの様子を見ていると、徐々に心が落ち着いてきた。


ミオはアルテミスというパーティーに所属している。アルテミスのみんなは凄く優しくて楽しい。ミオは初期からのメンバーであるが、最近入った凜さんは姉の様な存在で、ついついモモにすら言えない恋の悩みも打ち明けてしまう…。アドバイスは大人過ぎてあまり役に立たないが…。

(凜さんは早く手を繋げって言うけど…そんなの絶対ありえないし…!)

凜さんって主婦だって言ってたけど…、一体どんな人なんだろう。

凜さんと少し後に後に入ったオミーさんは同年代のようで、2人で古いアニメの話などで盛り上がる事が多く、ミオは時に話に入っていけない事もあるが、そこは、どちらかが解説を入れてくれるため、見ていて退屈はしない。とにかくミオにとって、アルテミスは居心地の良いパーティーなのだ。


ちなみにモモにも一緒にやらないかと誘ったが、あっさり断られてしまった。あまりソシャゲには興味無い様だ。


一通りおしゃべりをして元気になったミオは「お風呂に入ってきます( ̄^ ̄)ゞ」とコメントを打ち込むと、お風呂に入った。

明日の為に念入りに身体を洗い、下着もお気に入りの物を着けた。(よし!これで明日は何があっても大丈夫。)鏡の中でポーズをとってみる。

とはいうものの、気になっているあいつとは目も合わせられないし、話し掛けられてもしどろもどろになってしまう…。妄想の中で、凜さんに言われた様にあいつの後ろからそっと手を繋ぐ…。

無理無理無理無理!ぜ〜ったいむり!


ミオは頭を振って妄想を振り切り、勉強を始めようと机に座った。心の中で呟いてみる。(逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ)

ところが、今日に限って何かが引っかかって集中できない。歯の隙間に刺さった食べ残しの肉片のようなもやもやした何か…。最初は黒い煙の様なソレがやがて、形を形成していく…。

(後ろかっ!)ミオは背後に異変を感じ、振り返った。

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