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You & I -Reverside Drunker-  作者:
第一章"片翼の少女"
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Princess AllianceⅠ

「おはよう優紀」


「ああ、おはよ」


 声をかけてきたのはもちろんクラスメイトの宮子さん。


「あんた結局昨日HRサボって……」


 ん、HR?

 ああ、そういえばそんなこともあったっけ。


「過ぎた事をいつまでも気にしちゃ駄目だぞ、みやぴー」


「誰がみやぴーだっての。ま、別にいいけどさ」


「え、これからみやぴーって呼んでいいの?」


「違う!そっちじゃない!」


 相変わらず朝から元気な娘だこと。


「誰のせいだよ、まったく」


 あら、聞こえてたんだね。


「そりゃもうまる聞こえだよ。で、今日も授業は受けないわけ?」


「うん、なんたって私には心強いPモバがあるしね」


「はあ、あんたに教えなきゃよかったよ。まあ教えなくてもそのうち勝手に気づいてたと思うけどね」


 まったくもってその通りだよ。

 さてと、ちょっとログインしてみますか。

 まずはホームサイトへ。

 色んなニュースやらなんやらが更新されている。

 ランキングに目を通すとやはりというべきか、カズの名前があった。

 レベル122……正直やりすぎじゃあないのかと思う。

 ランキングでいうと4位、かなり上位者のようだ。

 私も頑張ろうっと。

 こうして今日の授業(ゲーム)が始まった。



 

 はてさて、いつもなら暇なこの授業の時間。

 でも私はいい暇つぶしを手に入れた。

 それがこれ、Pモバである。

 携帯オンラインゲームであるPモバはいつでもどこでも気軽に楽しめるものだ。

 たとえそれがいまのような授業時間でも、ね。

 ログインすると同じパーティであるナナがいた。

 なんだかいつもいるイメージがあるけど……。


<こんにちはー>


 とりあえず挨拶のメッセージを送っておく。


<こんにちは>


 あら、早いお返事で。

 とりあえずモンスターを倒して経験値を稼ぐことにする。

 私が今いるのはレコンキスタ地方という始まりの地点から少し進んだ地方である。

 なぜなら現在レベル30である私にはこのあたりがちょうどいいモンスターの強さだからだ。

 しばらく戦っていると別の場所に居たであろうナナがこちらへやってきた。


<修練の滝というのはご存知ですか?>


 やってきたと同時にメッセージが来た。

 修練の滝?確かPPシリーズでは毎回お世話になる良いレベル上げの場所だよね?


<はい、それが今日このPモバにも実装されるそうなんです>


 おお、それは嬉しい原作再現だね。


<それはどこにあるの?>


<はい、このレコンキスタから南のほうへしばらく歩いた先にあるそうです。今から私行こうとしてたんですよ>


<そうなんだ。じゃあ一緒に行こうか?>


<はい>


 おお、ナナがいると冒険がスムーズに進んで良い感じだ。

 レベル的にも頼りになるし、色んな情報も教えてくれる。

 昨日の大会の話だってナナから聞かなきゃわからなかったことだしね。

 レコンキスタから少し離れるとモンスターも徐々に強くなっていくがナナと同行しているのでやられてしまうことはまずない。

 それに加えナナのキャラクターは堕天使エリアという魔法専門キャラであり、回復魔法にも長けている。

 私は回復してもらえる上にステータスアップの魔法までかけてもらえるので少しくらい自分より上位のモンスターが現れようと倒すことが出来た。

 しばらく進んでいくとなにやら大きな崖が見えてきた。

 どうやらこれがさっき言っていた修練の滝らしい。


<あ、ここですよ姫>


 ナナの後に続き修練の滝へ入っていくとメッセージウインドウには

 "場所限定魔法EXP×1.5"

 という文字が表示された。


 どうやらこの場所でモンスターを倒せば経験値が通常の1.5倍に増えるらしい。

 ここならばレベル上げの効率も上がるに違いない。

 とは言ってもどうやらこの場所には制限時間が設けられているらしく一日に1時間しかいられないらしい。

 なんとなく精神と○の部屋を思い出したのは私だけで良い。

 いや、タイムセールとかにも似てるか……違うか?


 まあいいや、果てしなくどうでもいいなこんなこと。

 とにかく時間が惜しいのでさっさとモンスターを倒していくことにする。

 戦闘のローテーションは大体こんな感じだ。

 まずナナが私にステータスアップの魔法をかける。

 私が前にでてモンスターとの戦闘に入り、ナナはその間に攻撃魔法の詠唱をする。

 私が近接戦闘でいくらかダメージを与えた後、ナナの魔法で止めを刺すという作戦である。

 しかしこの作戦ではナナの魔力消費が激しいので時には私が一人で戦ったり、微力ながらナナも近接戦闘で援護しながらの戦いもしたりした。

 そうしている内に一時間目の授業終了を示すチャイムが鳴ってしまったので一度ここでログアウトすることになった。

 レベルはほんの数分で6上がり36となった。


 さて……休み時間か。

 少し喉が渇いたのでなにか飲み物を買いに行くことにしよう。

 そうして席を立ち上がるとなにか後ろに気配がすることに気がついた。

 な、なんだろう……お化けか!?


「……そんなわけないでしょう」


 振り向くとそこには私のツッコミをしつつあきれた顔をしたクラスメイトの皇円寺姫竜(こうえんじきりゅう)さんがいた。

 整った顔立ちに長い綺麗な髪をポニーテールにして雰囲気からもなにか凄みを感じ取れる人物である。

 と、優等生っぽいイメージがつきがちな彼女だが成績はいたってふるわず、しかも体育の授業には一切出席しないという不真面目ぶりも見せる。

 しかも私は知っている。この間なにかの拍子に彼女が"血が性的な意味で大好きな変態"だということを知ってしまっている。

 まったくもってギャップのある人物、そして私が語ると出落ちな感じがする彼女だが別に私は嫌いなわけではない。

 むしろどこか一般人離れした感じに少し興味と好意をもっている、というのが正直な感想である。

 そんな彼女が一体私になんの用があるというのだろうか?


「あなた、よくそんな本人の目の前で言いたい放題言ってくれるわね」


 ありゃ、どうやらさっきのプロフィール(出落ち)は丸聞こえだったようだ。

 相変わらずの失策である。なにやってるんだ私。


「まあいいわ、なぜいま私がここにいるかわかるかしら?」


 なぜあなたが今ここにいるか、だって?


 理由1."ここ"は自分のクラスだから。

 理由2.いなければならない理由があなたをここに縛り付けているから。

 理由3.実は私のことが好きだから。

 理由4.私の近くに落ちていたお金を拾いに来たから。

 理由5.飛ばした紙飛行機がこの辺に飛んできたから。

 理由6.神様が決めた予定調和の一つにすぎないから。

 理由7.気分。

 理由8.あ。


「あなたのそういうところが気に入らないわ……」


 しまった、滑った。

 宮子ならここで


「意図的に正解を外すな!それに理由が意味不明なのがあるし、最後になるにつれて手抜きになってるじゃないか!!」


 というナイスなツッコミをしてくれるだろうし、少し期待していたんだけど……。


「お生憎様、あなたのペースに巻き込まれるのは面倒なの」


 可愛げのないやつめ!可愛いけど!


「それで、あなたに用があるのだけどいいかしら?」


 やっぱりそういうことか。

 一体何の用だというんだろう?

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