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You & I -Reverside Drunker-  作者:
第一章"片翼の少女"
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Start DayⅢ

 家を出た私を待っていたのは和真だった。


「なんでいるのさ」


「なんとなく、一緒に行こうかなと」


「まあいいけどさ」


 意味がわからないやつなのは前からだ。

 別に困ることも無いのでとくに突っ込むこともないだろう。


「女が邪悪であることを証明せよ」


 は?今なんと?


「アメリカで有名な冗談だよ」


 ああ、もしかしてGirls are evilのことかな?


 証明:

 女には金も時間もかかる (girls require time and money) から


 Girl = Time x Money


 時は金なり (time is money) だから


 Time = Money


 金は諸悪の根源 (money is the root of all evil) だから


 Money = √(Evil)


 最初の公式


 Girl = Time x Money


 に第2式を代入して


 Girl = Money x Money

 Girl = √(Evil) x √(Evil)

 Girl = (√(Evil))2

 Girl = Evil (証明終)


 QED!

 ……こんな感じだったかな?

 まあわりと簡単かつ、ちょっと面白い話だよねこれ。


「大正解だ、さすがは水無瀬だな」


「4ちゃんまとめスレで見たことあるしね」


「ん?なんだそれは?」


「ああいや、こっちの話」


 なんだ、意外とそっち方面の知識には疎いのか。


「それで?」


「ん?」


 いや、ん?じゃなくてさ。


「なんでいきなりそんな話?」


「ああ、そのこと」


 彼は空をぼーっと見上げるとまるでその先になにかを見るように言った。


「俺とお前には、どれだけの差があるのだろうか」


 差?特にないとは……思うけど?


「いや、今の知識な。昨日テレビで見たんだ」


 さっきから話が繋がっているのか居ないのかよくわからない。

 こいつは一体何が言いたいのだろう。


「そうなんだ。なんチャンネルで?」


「4チャンネル」


 なるほど4チャンネルか。

 ちなみにここでいう4チャンネルとはテレビのチャンネルのことであり私がさっきいっていた

 "4ちゃんまとめスレ"とはまったくの無関係だということをご理解いただきたい。

 まとめスレというのは某大型掲示板に掲載されているネタをまとめてくれているサイトである。


「でも4チャンネルなら私も見てたけどなぁ……」


 そう、私も同じチャンネルを見ていたはずだがそんな放送は見なかった。


「夢でも見てたんじゃないの?」


 そうだ、きっとそうに違いない。

 彼は寝ぼけてたんだ、きっと。


「違うね」


 そんな私の考えを一言で否定する彼。

 一体なにが違うというのか。


「俺は確かにその放送を見た。これに間違いはない」


 ふむ、ならば私が夢を見ていたとでも?


「だが水無瀬、お前は同じチャンネルをつけていたにも関わらず放送を見てはいない。これにも間違いはない」


 それはそうだけど……でもそれには矛盾が発生してしまう。

 その二つが成り立つ論理とは……?


「例えば……"俺の見ている世界とお前の見ている世界に違いがある"とすればどうだ?」


 なるほど、パラレルワールドってやつね。


「ならその差ってどこで生まれるんだろう?」


「そう、俺はそれを聞きたかったんだよ」


 相変わらず遠まわしに話をするやつだ。


「放送を見た俺と見てないお前。なぜこんな差が出てしまったんだ?」


 うーん、難しい問いだな。

 なぜ差が出てしまったか……か。


「やっぱあれじゃない?どっちかが寝ぼけてて夢と現実がごっちゃになってるんだよ」


 そうとしか言いようがない。


「そうだな……お前は寝ぼけていたんだ」


 ふっ、と笑いながらこちらを見る和真。

 え?寝ぼけていたのは私のほう?


「そんな……私は確かに見てないよ」


「絶対に、だな?」


「うん、絶対」


「それは記憶に克明に残っているんだな?」


「も、もちろん」


「どうした?自信がないようだが」


「うー……あんまり突っ込まれると自信なくなってくるよ……」


 向こうがあんまりにも自信満々だからこっちが間違っているように思えてくる。


「俺はさ、なんか凄いやつがつい昨日世界作って俺たちに適当な記憶与えたーなんていったら多分信じるよ」


 どっかで聞いた話だな、それ。


「こんなに情報がばらばらになるなんて、適当なやつなのねそいつ」


 そういうと彼はくっく、と笑い始めた。


「そうだな、ほんと適当なやつだ」


「なによその笑いは」


「いや、なんでも」


「ほんと変なやつ」


 こいつと話をしていると楽しいような疲れるような、多分どっちもだな。うん。


「それで、あんた本当にそんな放送見たわけ?」


「さあね」


 えらい投げやりな返答をありがとう、ばか。


「どったの急に?」


「学校」


 彼の指差す先には確かに私たちが通うべき学校が目前にあった。

 それにしても……。


「私と和真にどんな差がある……か」


 あいつは一体どんな世界を見ているのだろうか。

 ……いや、馬鹿馬鹿しい。

 見ている世界など同じに決まっている。

 また適当なことを言って私を混乱させようとしているんだ。

 なにが"さあね"だよ。

 そんな放送はやってなかったよ。

 まあでも、登校の時間潰しにはなったからいっか。

 こうしてまた私の半日学校生活が始まった。

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