ごめんなさい
虐待された子供の傷は深いと思います。
ごめんなさい
申し訳ございません。
私はこの家を出て行きます。
皆さん良くしてくださいました。本当に良くしてくださいました。
こんな私に何も出来ない、何も持って居ない、何の価値もない私を・・・
お母様を殺して生まれた私はお父様、お兄様、には顔を合わせるたびに
「償え」と仕置きと共におっしゃられ、メイド達は笑って何もせず、料理人や掃除婦がくれる残り物や不用品で過ごしておりました。
ある時お父様のご友人である侯爵閣下がいらっしゃいました。
その時私は裏でお皿を洗っておりました。
お父様は侯爵閣下と孤児への教育給付金について話し合っておりました。
その時私はお皿を割ってしまい、怒られました。
高価なお皿だったので激しく怒られました。
騒ぎを聞きつけてお父様がいらして何事かと聞かれました。
「こいつが皿を割ったのです。」と
お父様はいつもの如く忌み子が償えと!怒鳴りました。そのまま怒鳴り続けていたら、いきなり掴み上げられ侯爵閣下の腕の中に居ました。
初めてだったので怖かったです。
お父様は何やら怒鳴っておりましたが、侯爵閣下は私を抱いたまま部屋を出てゆきそのまま侯爵閣下の屋敷へと持って帰られました。
連れて行かれたの方が正しいでしょうが、私としては持って来られたほうがしっくり来ます。
私はただのものでした。
私は硬直したまま、居間に連れて来られ、メイドさんがお茶とお菓子を勧められました。
メイドさんが部屋を出た後に急いで、お菓子とお茶を口に押し込みました。
喉を詰まらせてしまい、むせてしまいました。
侯爵閣下は私を医者に見せてベットで休ませてくれました。
次の日私は早速お部屋の掃除をしました。
メイドさんを驚かせてしまいました。
さっさと休めと侯爵閣下に命じられベットに入りました。
三日くらい寝てしまいました。
閣下とメイドさんがお粥を持ってきてくれました。
閣下が食べさせ様とスプーンを目の前に持ってきました。
でも私は怖くて口を開けることができませんでした。
閣下は悲しそうでした。
申し訳なかったです。
今日からこの屋敷に住む様にと閣下に命じられました。
ビックリして本当は死んでしまって天国居るのではと思いました。
顔合わせという事で閣下の親戚のお子達二人にお会いました。
二人とも男の子です。
名前を呼ぶのは烏滸がましいので
兄君様、弟君様、とお呼びしております。
お兄様を思い出して怖かったです。
でもお兄様とは違い、お二人からは挨拶してくださいました。
そのあと庭を見ようと手をとってくれましたが、勢いがついて転んでしまいました。
ちょと痛かったです。
閣下はお二人を叱っておりました。申し訳ないです。
先生が来てくださってお勉強をすることになりました。
働かせてくださいと閣下に言ったのですが、「まずは勉強だ。」と先生が来てくださる事になりました。
覚えなければと目を見開いて勉強しました。先生には叱られてばかりでしたが、間違いをただしてくださるので怖くはなかったです。
ドレスを作っていただく事になりました。
お古を頂ければ大丈夫と言ったのですが
「パーティーだから作る」とおっしゃられ、お針子さんが呼ばれました。
ツルツルした生地やもしゃもしゃした生地とか色んな色でビックリしました。
閣下は色んなドレスを選んでくれて着せてくれました。
私に「どれが良い?」と言われましたが、疲れて疲れて何も言えませんでした。
閣下は悲しそうでした。
申し訳ないです。
お昼を食べて部屋に居たら、不意に目隠しをされました。
ビックリして体が硬直して動けませんでした。
どこかに連れて行かれて、目隠しを取られたらケーキとご馳走が並んでいました。
私のかんげいパーティーだそうです。そんなにいっぱい食べられなかったです。
たのし・・・怖かったです。
ドレスはちょっとキツかったし、花火は音が大きくて、おきゃくさまは多くて、お子様たちは手を引っ張って痛くて・・・
ずっと怖くて震えて居ました。
体に触れられるのが、髪に触れられるのが怖いです。
どこぞの家の奥様になれるとは思いません
子供を産めるとも思いません
育てるのも出来ません
私は何かする度に笑われて居る様な気がして何もできません
あなた方に気遣われるたびに捨てられないか、嫌われないかといつも怖くてたまりません。
申し訳ございません。
お父様に怒鳴られます。
もう無理ですさようなら
〇〇家令嬢捜索状
〇〇日朝、△△家から〇〇家に引き取られた令嬢が屋敷から失踪した。
誕生パーティーの翌日に失踪したもよう
豪勢なパーティーで花火や楽団の演奏も有った。
令嬢は生家である△△家で虐待を受けて居た。
そのため、大きな音、眩しい光、など外部からの刺激に過剰なまでに反応する。
精神科医の診察を定期的に受けて居た。
彼女は髪や体に触れられるのを嫌がり、他人が触れると硬直する。手入れはメイドの手を借りずに自分の手で行なって居た。
大人しく謙虚で有名な令嬢であり、愛らしい容姿とその人柄は養家で愛された。
学業も最高の成績を収めている。
そのためか多数の家から婚姻の申し込みを貰って居た様である。
令嬢をめぐっての決闘も起こったそうだ。
養家の子息兄弟が決闘に参加して居た様だ。
上記の手紙は失踪した令嬢が残したものであろう。
ほとんどが養家への謝罪で締められて居るが、後半になると幼児衰退の傾向がみえる。
どうやら結婚と出産に忌避感があった模様。自分から失踪したもよう
しかし令嬢がここまで追い詰められたのは、過去の虐待の傷が癒えて居なかったからのようだ。
令嬢が最後に父親への恐怖を書いて居るため生家が関わっている疑いがあるそちらへの捜査も行うもよう
怖くて逃げ出した様です。




