先約
放課後の学園の中庭。
魔人の研究開発でこもりっきりになっていたため、気晴らしに散歩していると休憩所──ガゼボの中で気になる人物がいるのを見つけ、木陰に身を隠す。
「危ない。見られたら逃げられるところだった」
気配を殺しつつ、当の本人──学園長秘書のミユキの様子をユーデリカは見つめる。
本来ならこんなことをせずに本人の元に行き、堂々と拝見したいところだが、本人からNGを出されているための狗肉の策だ。
体の全てを魔人のパーツで置換する羽目になっているのだから話したくない気持ちはわかるのだが、それを差し置いても未知の魔人パーツで構成されたミユキの体の秘密を知りたい気持ちを抑えられなかった。
実際に12号の装甲を作る時もたまたま魔法を確立させる精霊を可視化する魔導具──フェアリーアイ越しにミユキの体を見たことがインスピレーションとなっており、ユーデリカにとって魔人開発の先にある未来を啓示するもののように見えてならなかったのだ。
「一体どれだけの叡智があの体に……」
可動性や内部機構の動きをつぶさに観察しながら「すごい」と感心していると小さな人影が夕暮れの中現れた。
「時間を取らせてすまんの」
「いえ、私の本懐に関することでもありますので。お茶の用意をしておきました。おかけになってください」
「では言葉に甘えて」
やってきたマーリンはミユキに促されると席に座る。
あんまり接点のない2人だと思い意外だなと思うとマーリンが口火を切り始めた。
「救世主の小僧への協力の打診どうじゃった? 奴はこちらに協力してくれるか?」




