保護
「申し訳ありません。いきなり尋ねて」
ここらでは珍しい黒髪に品のいいメガネを掛けたいかにも秘書然とした女性──ミユキが来たことにロージは驚きつつも、失礼があっても行けなかったので部屋の中で応対するとミユキがそう切り出した。
「いえ、全然俺は今暇ですし」
「そうですか、なら良かったです。折り入ってお頼みしたいことがあるんですがよろしいでしょうか?」
ロージが案の定何かあるのではないかと身構えるとその通りに頼み声をミユキはし始めた。
内容はまだ聞いていないがミユキの平民に対する自分に対しても礼を払う態度を見るに無茶苦茶なものではないだろうと踏んだロージは快諾することにする。
「大丈夫ですよ。頼みとあらば俺のできる限りのことはさせてもらいます」
「ありがとうございます。お頼みしたいのはボンボン領にある採掘物の保護です」
「採掘物……?」
「ええ。ボンボンレースのたびに魔法や魔人の機動で地面が抉れ、毎年採掘物が出ているのですが皆レースに集中するあまり保護を疎かにして紛失するケースが多いのです。そこで学園長から指導を受けてレースを余裕でトップ走破するであろうあなたに紛失される前に回収していただきたいんです」
細かい説明を受けてロージはやっとピンときた。
要は採掘物を紛失する前に回収して欲しいということだ。
聞く限り回収するだけなのでそこまで大変なものでもない。
「トップ走破ですか。頑張れるだけは頑張りたいと思います。回収する個数なんですけど借りる魔人のカーゴが狭いので詰められても2、3個くらいになっちゃうんですけど大丈夫ですか?」
「回収品の個数については気にならなくて大丈夫です。こちらで用意したマジックバックを当日に渡しますので。どんどん詰めて頂いて大丈夫です。採掘数が多くなればなるほど報奨金を支給し、貴重なものであればさらに追加でそれに見合った報奨金を別途支給しますのでできるだけたくさんの採掘物を収めていただければ」
「報奨金ですか! 俄然やる気が出てきました!」
頼みだけと思っていただけにロージには殊更報奨金という言葉がよく響いた。
学生にとって使えるお金は大いに越したことはないので万々歳だ。
「それは頼もしいです。では当日にまた」
ロージがやる気を出すとミユキはそう言ってその場から退出した。




