お付き合い
「学園長まさか」
「そのまさかです。ひとまず避難エリアの校舎裏山まで送っていくのでそこに避難しておいてください」
「お付き合いさせて下さい!」
「お付き合い!?」
不意な聞き慣れぬ単語に脳がバグるが、辛うじてエッチスケッチワンタッチの方から方向修正して魔人との戦闘に着地する。
戦闘の渦中となる学園に置いて行くわけにもいかず、ひとまずコクピットに乗せたが、距離がイチャイチャイベント発生時の時くらい近いので刷り込まれた記憶からすぐ色恋沙汰の方に行ってしまうな。
これは危険だ。
不可抗力でグヘヘしたら「学園長からエロいことされた」とか言われた主人公入学とともに悪・即・斬される。
俺はただゲームを作ったおっさんにユーパイセンとのドキドキメモリアルを身体で叩き込まれているだけだというのに。
「お付き合いって言ってもコイツも落とされるかもしれないからダメだよ。戦闘中は結構激しい動きするから怪我するかもだし」
「やらせて下さい。私、魔人には詳しいんです。コクピットのバッグドアをいじれば性能をアップさせられるかもしれません」
「性能アップかぁ……」
おそらくコックピット内がミキサーみたいになりかねないので申し出を断ろうと思うと性能アップできるかもということなので一考する。
割と分が悪いので訓練仕様からチューンアップしてもらえるなら悪い話じゃない。
よし、ここは連れていってみるか。
本編ではメインヒロイン兼主人公の魔人を整備したり、開発したりするキャラで、将来性が爆発してワンチャン性能超絶アップとかあるかもしれんし。
「いいよ。訓練仕様じゃ少しきついと思ってたし、早速やってもらっていいかな」
「はい!」
意気揚々とした良い返事をすると席の左後方に行って、カタカタといじり始めた。
どれくらいでチューンアップが完了するかわからないが一応この世界では魔人開発の天才とされている才女なので早いはずだ。
会敵前は流石に無理だが、始まってすぐくらいならば上々だ。
さていくか、魔人の元に。
修練院から出ると学園の正門を抜け草原に出る。
平坦な草原から見ると遠くからずんぐりむっくりした緑色の巨躯を揺らして歩く魔人ネオオーク──巨大ロボットの姿が見えた。
比較的近くにある平民の村に目を向けていたがこちらに顔を向けると走り始めた。
敵が近づいていると認識したようだ。
『どしたん話聞こか?』
理性が崩壊しているので意味不明な言葉を咆哮かわりに吐くと目を赤く光らせ、蜘蛛のような変態的な挙動で跳躍して襲いかかってくる。
ばぁーかーめ!
何度もゲームで倒しているからお前の行動パターンは全て把握しているので俺には当たらない。
横にスライドして避けてパラディンの増幅器でビックになったファイヤーボールをぶつける。
だがやはり訓練仕様の控えめなものなのでネオオークは装甲が若干削れるくらいしかダメージを受けた様子はない。
『それは彼氏が悪いよね。彼氏が』
続け様に初級風魔法の『ウィンド』──カマイタチを横薙ぎに放ってくるのでこれも
しゃがむことで避ける。
ばぁーかーめ!
先ほどと同じようにファイヤーボールをぶつける。
豆鉄砲だがないよりはマシだし、ヘイトくらいは取れているはずだ。
このままできるだけ削りつつ、溶鉱炉に誘導するか。
『俺だったらマリアにそんな思いさせないのに……』
「チューンアップ完了しました! あ!?」
「でかし──むお!!」
ディレイアッパー──タイミングずらしの拳の振り上げを繰り出してくるとマリアが完了報告とともに転けて胸を俺の頭に押し付けたことでバックステップして避けるのがワンテンポ遅れた。
あ、あぶねえ!
チューンアップが入ってなかったら当たってた。
そういえばコイツはラッキースケベ科ムッツリ属のヒロインだったな。




