わからせ完了
「おう! 学園長、お呼びかよ!」
校内放送で呼びかけると意外にあっさりとタイラーは来た。
来たのはいいがポッケに手を突っ込み、ニヤニヤしており、かなり態度は悪い。
身分の下の奴にはとことん横柄な奴なので俺が自分の家の爵位である侯爵より下の伯爵ということで舐め腐っているのだろう。
「なんで呼ばれたかはお分かりですか?」
「あん! 伯爵家風情がバカにしてんじゃねえよ! 俺の家は侯爵家だぞ! わかってるに決まってるだろうが! ささっとテメエはあの生意気な平民と下級貴族ともども俺に謝罪して、あいつらを処刑しろよ! オラあ!」
タイラーは大きな凄みながら机を蹴る。
ガチガチに固定されているので机は動かなかったが危ないなこいつは。
調子づいて暴れられても困るのでたったとシメるか。
「大変不快な思いをさせて申し訳ありません。平民の彼らには非はないので処分はできませんが、一つ、タイラー様のお困りごとを解消する形で手打ちにしていただければと」
「あん! なにふざけ……。おいなんでいきなり俺の領地を映してんだ……」
俺の後方にある魔水晶のディスプレイにタイラーの領地のイキリ山を映すと困惑した顔をして恫喝を中断する。
タイラー君には残念だが問題児のお前が暴走する可能性を考慮してもうすでに対策は講じてるんだよな。
はい、ポチッとな!
巡航ミサイルGO!
「あ……俺の領地が……」
「いやあ、綺麗に消えましたね。イキリ山のモンスターたちにお困りでしたのでこれで解決できたのではないかと」
後方のディスプレイを椅子を回転させて確認し、タイラーの方を見ると目を大きく開けて、恐怖なのか、怒りなのかわからないがプルプルと震えている。
「お、お前侯爵家の領地にこんなことしてタダで済むと思ってんじゃねえぞ! 一族郎党皆殺しだぞ!」
「え、一族郎党皆殺しですか? お優しいですな。私の方は今すぐあなたの領地全てを家族領民ごと消し飛ばそうと思っていたのですが」
「ほ、ほら吹いてんじゃねえ! そ、そんなことできるわけ……」
「じゃあまずあなたのところの特産のレタス畑から行きましょうか。 ポチッとな!」
ディスプレイの映像をデスクの肘掛けについたボタンを操作して、イキリー領のレタス畑にすると巡航ミサイル発射のボタンを押して、消し飛ばす。
「はぁ……は……は……!」
タイラーは領地の惨状に完全に恐慌状態に陥ったようで脂汗をかいて、息も絶え絶えになりながらディスプレイに釘付けになっている。
堕ちたな。
二つの地点は時期的に人がいない場所だったのでやったが流石にこれ以上はやる気はない。
だがダメ押しのために脅しをかけておくことにする。
「さて次はタイラー様のお城にしましょうか──」
「やめろ! お願いだ! やめてくれ!」
脅しだが完全に俺がやると思っているようでタイラーが机越しに身を乗り出して必死に懇願してくる。
人に頼む態度がなとらん。
「やめてくれか。もっと誠意を見してほしいな。お前が平民にさせてる謝罪の仕方で謝ってくれたらやめてあげよう」
タイラーにそう要求すると恐怖心に完全に飲まれているようで、プルプル震えながら地面に膝を突き始めた。
「やめてください! お願いします!」
「よく出来たな。領地を消し飛ばすことは不問にしたあげよう」
土下座をして謝り、服従の姿勢をとったので脅しをやめることにする。
さてちゃんと言うことを聞けるようになったか試すか。
「俺を怒らせるとどうなるか、わかったな」
「は、はい!」
「じゃあ、さっさと迷惑を掛けた人たちに頭下げて、一ヶ月、学園に入ってくるな」
「はい! すぐ謝ってきます!」
俺がそう命令するとタイラーはダッシュで学園長室から去っていく。
よし、わからせ完了。




