それぞれのやること
「すいません、急いで追いかけたんですけど見つからなくて」
ユーデリカは自分が責めたことでゴージャスが姿を消したことに責任を感じて、街中を小一時間探したが見つからずに戻るとミユキが食べ物を食べている姿が見えた。
「み、ミユキさん」
「あの老耄のことはもういいでしょう。もうすでに得るべきものは得ました」
ミユキはそういうと懐から帳簿を取り出した。
帳簿をゴージャスからもらわなければと言っていたがいつの間に?
「先ほど取り乱している時に注意が散漫になっていたのでその時。これ以上振り回されるのはごめんですので」
何も言っていないが内心を推察したのか、ミユキがそう答えてきて、ユーデリカは絶句する。
人の心がないのかこの人は。
「人の心を持っているかということならば私の方に分がありますね」
そういうとミユキはテーブルから立ち上がった。
「ではいきましょうか」
「待て」
心残りはあるがミユキについて行くべきだろうかと思うと奥から店主のクックマンと共にゴージャスが出てきた。
「おや?」
どうやらミユキは嘘をついていたようで白々しい態度をとって驚いたふりをする。
くすねていたという帳簿はおそらく普通に交渉して受け取ったのだろう。
経緯はわからないがゴージャスも落ち着いているようでユーデリカは胸を撫で下ろした。
「行くな。ここでの用は終わったがお主らの力がいる」
「それが人に物を頼む態度ですか?」
「ク! 頼む! 力を貸してくれ! 孫が危機に陥っとるんじゃ!」
「学園長が! どういうことですか? 全てをお貸しするので教えてください!」
「しょうがないですね」
ユーデリカはマウントの危機という言葉に反応して食い気味に協力を申し出るとその勢いに押されたのかミユキも協力を表明した。
実際のところマウントは危機に陥っていないがここに三人の協力関係が結ばれた。
「あ、メイドリアンさん……」
事情を聞き、マウントの親を手に掛けた二人の悪徳貴族に狙われることを聞き、店から出て各々動く段になると病苦に犯されたメイドリアンのことが思い出されて振り返ると店主が歯にかんだ。
「大丈夫。メイドリアンはもう治ったから」
店主の表情から本当だと察すると、何があったのかとゴージャスの方をチラリと見て、行くべき場所にユーデリカは向かった。
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