ドン勝つ
「エリザベス待っているでゲスよ。すぐに戻ってくるでゲス。『火の理よ──」
「ヴォエ!」
ゲースは嘔吐するメルポンを地面に置くとともに、上級火魔法『ドラゴンブレス』の詠唱をし始めた。
「お前も魔法エアプかよ」
上級魔法の詠唱となるとクソ長いのでどんなに早くても1分はかかる。
当たり前だが詠唱完了まで待つつもりはない。
「ファイヤーボール!」
「『竜の息吹を──』。ぎゃあああああ! 全然ファイヤーボールじゃないゲス! 私の玉体が!」
ファイヤーボールを打つとゲースにモロに当たり、悶え苦しみながら地面を転がり始めた。
「くぅ! 同じ貴族に手を出すとはとんでもない子供でゲス! 生活の質を下げても平民を支援しようとか抜かしていたあのテロリストのことを思い出すでゲス!」
魔法に精通していることもあってか、黒焦げの見た目とは裏腹に元気そうにゲースが喚くのでトドメを刺そうかと思うとドアが開いて男たちが雪崩れ込んできた。
「おやおや、これはオイタをしていたガキじゃないですか」
「カス助けるでゲス!!」
その内の一人の変な虹色の鉄帽子を被ったおっさんがゲースから助けを求められている。
カスと呼ばれていることからしてこいつがもう一人のボスであるカス・カースか。
「しょうがないですねぇ! 『水の理──」
「待ってました!」「ガキ悪く思うなよ!」「最後の社会勉強の時間だぜ!」
「ウォーターサークル!」
「「「「ぎゃあああああああ!!」」」」
ゲースと同じく詠唱が長たらしい上級魔法を使おうとしたので、無詠唱の水魔法で取り巻きごと転がす。
後に残ったのは焦げ焦げのおっさんとびちゃびちゃのおっさんたちだけだ。
絵面が酷い。
「よくもやってくれましたねぇ! 貴族同士の私闘は御法度だと知らないんですか! あなたは終わりです!」
いや先に手だしといてなに言ってんねん。




