信じれないこと
「あの人に任せるのはやめたほうがいいんじゃ」
「平民風情が貴族の決め事に口を出すでない。儂が拒否すれば申し出たカースのメンツに傷がつく。後の考えれば関係にヒビを入れるようなことはしたくない。それに第一こちらは護衛一人に対してあちらは騎士隊だ。どちらが適しているかは一目瞭然だ」
「それはそうですけど」
「小狡い知恵だけあるようですね。類は友を呼ぶ。さぞや碌でもない人間に学園長の捜索を任せたものですね」
「やかましい! 儂が思うに貴様の言うことは全て間違っておる! 儂の決定はやはり正しい!」
ユーデリカとミユキに嗜められても決定を覆すことなく、街中をズンズンと歩いていく。
町の人が避けて歩いていく中、一人の老婆が立ち止まった。
「あなた、あの時の!? お助け頂いた者です。その家紋は領主様だったのですね」
「平民のババアなど知らぬ」
「助けて頂いた」という言葉を聞いてこれは人違いだなと思うと早足でゴージャスはその場を後にしていく。
「何かお困りごとがあればいつでもお声をお掛けください!」
「ふむ……」
離れていくゴージャスの背中に老婆が声をかける姿を見て、「かわいそうに」とユーデリカが思うと隣のミユキがメガネ越しに目を光らせているのが見えた。
なにそれこわとユーデリカが思うとミユキがゴージャスに声をかけた。
「昔はまだマシなようだったみたいですね。今は見る影もありませんが」
「魔道具で人の記憶を覗き見たか。少年時代に家を向け出した時の道楽に過ぎん」
魔法の込められた道具?
違和感を感じるとミユキを見てユーデリカはゾッとした。
今の目が魔道具──魔法の代替となる道具ということは生来目はくり抜いていることになる。
一体どういう境地でそんな事態になることもわからなければ、無表情なミユキの顔が少し楽しんでいるように見えてそれも理解できなかった。
二人とも異質だと思うと今度は店の前にいた上品そうな店主が声を掛けてきた。
「旦那様!」




