10兆
「学園長、学園の再建に必要な経費の概算が出ました」
「ありがとうございます。うお」
レーナに絡まれた翌日、寝床である学園長室は瓦礫の山と化したため、宿屋で一泊して目覚めるといつの間にか作成したのか、概算書をミユキさんが渡してきた。
細かい項目の数字は飛ばしてトータルを見ると10兆ある。
ゲームの所持金でしか見たことない額だ。
これが元の世界なら首吊るレベルだな。
金を工面する明確な方法は思いつかないが、確かミニゲームの貧乏貴族の領地経営でべらぼうな額の金を稼げると聞いたことがある気がする。
うろ覚えの上に肝心なそのミニゲームをやっていないことが致命的ではあるが、主人公たちが活動するメイン拠点ではあるので資源は豊富にある。
販路を確立できれば俺でもなんとか運営できるのではないかと思うんだが。
まあ販路を確立するのがおそらく大変だからな。
「ボンボン領の領地経営の経歴が記された帳簿を手配できたりしますか?」
「本邸に連絡を入れて取り寄せて頂く必要があるので、一日ほど時間を頂くことになりますが可能です」
今までの収支を参考にしたいと思い、ダメもとでミユキさんに頼んで見るとまさかの肯定の返事が帰ってきた。
秘書なんでも出来すぎだろ。
このハゲのイメージが穀潰しの無能と言うイメージを勝手に持っていたが千差万別ということか。
もうこうなればミユキさんに全て任せればうまく行くんではと思って横目で見ようと思うとミユキさんはすでに消えていた。
「ミユキカムバック」
虚空に呼びかけるがやはり戻ってはこない。
領地経営の現状確認は1日かかるとはいえ、宿でダラダラするのは流石にスマホの一つもないこの世界では虚無というか苦痛すぎる。
町に繰り出して、領地経営に使えそうな人材や情報や伝手を作れないか、探ってみたほうがいいだろう。
「き、きちゃった!」
宿屋から出て外に出ようと思うと宿屋の窓から肩と胸元を大きく露出したワンピースを着たユーパイセンが緊張した面持ちでこちらに近づいてくるのが見えた。




