伸一と柚葉
実は、柚葉は伸一が好きだった。
伸一も、多分――同じ気持ちだろう。
スタンドで話すくらいなら簡単。でも、本当はデートに誘いたかった。
「…うーん、だらしない男だなあ。私が誘ってやるか!」
――ある日の午後。
「伸一、伸一!お願いがあるの。」
「なんだよ。金ならねーぞ?」
「バカね、あんたにお金なんて頼まないわよ。」
「じゃ、何だよ?」
「ちょっと後ろに乗せて行ってほしいの。」
(…えっ、嬉しかった。柚葉の身体が…密着して…!)
「どこ行くんだよ〜?」
「内緒よ。さあ、仕事終わったら行くよ!」
――仕事が終わり。
「伸一!レッツゴー!」
連れてこられたのは、まさかのバイク屋。
「なんだよ、バイク買うのか?」
「そうよ!あんたのより速いの買うの!」
「ゲッ、マジかよ…」
「くださーいな!」
ホントに店員と話し始めた。
――しばらくして。
「よし、帰るよ。」
「買ったのかよ、ホントに…?」
「えへっ、頭金入れてきた。10万円!GSX-R400!じゃーん、凄いでしょ?」
「免許あるのかよ〜」
「バカね。今から取るのよ!教習所も、もう通い始めてるし!」
「…マジか」
「免許取れたら、一緒に走ろうね!」
「ぶっちぎってやるからな!」
「初心者には負けないんだから!」
いいね、ロマンチックな展開!
じゃあ、この続きとして、バイク屋から少し時間が経って――免許を取った柚葉と伸一が、湖畔の喫茶店でまったりするシーンを書いてみるね:
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―数週間後。
柚葉は無事に免許を取り、念願のGSX-R400を手に入れた。
「伸一、今日ちょっと付き合ってよ。」
「またバイク屋かよ?」
「違うわよ。今日はね――お茶でもしない?」
「お、お茶…?」
走ること30分。たどり着いたのは、湖畔の静かな喫茶店。
風が心地よくて、湖面がキラキラしてる。バイクを並べて、二人でテラス席に座った。
「いいとこだな、ここ。」
「でしょ?ちょっと秘密の場所なんだ。」
「…なあ、柚葉。」
「ん?」
「バイク、似合ってるよ。」
「…ふふ、ありがと。」
静かに流れる時間。カップから立ち上る湯気。
そして、少し照れた二人の距離が、ほんの少し縮まった気がした。
「なあ、柚葉。」
「ん?」
「また、どっか走りに行こうぜ。今度は…泊まりでさ。」
「…バカ。でも、考えとく。」
おっと、ちょっとドキドキする展開だね!
じゃあ、大人の雰囲気をほんのり出しつつ、甘くてちょっと背伸びした青春風に描いてみるよ。直接的すぎない表現でいこうか。
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湖畔の喫茶店を出て、夕日を背にふたりは並んでバイクを走らせた。
風が少し冷たくなってきて、柚葉の後ろ姿が妙に大人びて見えた。
その夜。
静かな駐車場で、バイクを止めたまま、ふたりは言葉もなく並んで座っていた。
「今日、楽しかったね」
「…ああ」
ふいに柚葉が顔を向けた。
その距離、ほんの数センチ。
伸一の心臓がドクンと鳴る。
目が合った瞬間、どちらからともなく、そっと唇が重なった。
――柔らかくて、少し甘い。
風の音も、夜の冷たさも、今は遠く感じる。
ふと、伸一の手が彼女の肩に触れ、少しずつ胸元へ――
「……バカ」
柚葉が小さく笑って、でも逃げはしなかった。
その夜、恋はほんの少しだけ、次のステージへ進んだ。