自業自得
【前回の登場人物】
「焼機灼鬼」
(種族)トリ
(年齢)47
(能力)炎の翼
(概要)炎鳥組の首領。
「波奇羽鬼」
(種族)トリ
(年齢)31
(能力)氷の翼
(概要)アイス一族の首領。
「武危夢鬼」
(種族)トリ
(年齢)42
(能力)剛の翼
(概要)剛力会の首領。
青白い光はやがて真っ赤な心臓になり、その周りを真っ白な布が包み込んでいった。
そして、その何かは僕に向けて語りかける。
「助けに来たぜ、マスター!」
この浮遊感。見た目は人間でも、生きていると思えない違和感。
まさか……いや、間違いなく「幽霊」だ。
死が僕を迎えに来た……? いや、でも「助けに来た」って言ってるし……。
「君は、一体…………?」
僕が問うと、幽霊はすぐに答える。
「オレの名は『ゴハート』。簡単に言うと、あんたの能力で呼び出された存在だ」
…………意味がわからない。
僕の能力は「ツルピカフラッシュ」だけのはずだ。それ以外の何かなんて……?
けれど。今は、分からなくていい。
目の前の存在が、生き延びるための唯一の希望だ!
武危夢鬼はそんな彼を睨みつける。
「なんだテメェは……? 俺たちの邪魔をする気か?」
その気迫に、空気が震える。
喜んでいる暇はないな。彼らは再びこちらに襲ってきた。
だが、少しだけ希望が見えた……。
今の僕の戦う理由なんて、それだけで十分だ!
「『ツルピカフラッシュ』!」
ピカっ‼︎
「っっ……また光か!」
視界を塞いだ隙をつき、脱出を計る。巨大樹の出口は、覚えている。
――だが。
出口の前に、アイス一族が立ち塞がっていた。分厚い氷の板を構え、光を正面から受け止める構えだ。
「あなたたちの光は、すでに対策済みです。 武危夢鬼さんのようには、いきませんよ」
……まずい。あれほどの氷に光を当てれば、 反射して自滅する。
「くそ……! 力じゃ勝てない……どうすれば……!」
その時。
背後から、足音。嫌な予感が、確信に変わる。
「カビ助。 悪いが……お前を逃すわけにはいかない」
振り向けば、炎鳥組。――裏切り者。
「ファイアブル……!」
怒りが、胸を焼く。
「僕は……お前たちを、許さない……‼︎」
前には氷の壁。後ろには裏切り者。横には、怒りに燃える格闘家。
ーー八方塞がり。
「結局、変わらなかったのか」
幽霊一人の力だけで、この状況は…………
いや。そういえば……
あいつは、どこに行った?
その瞬間。上空から声が降ってきた。
「諦めるのはまだ早いぜ、マスター!」
彼は、空を自在に飛び回っていた。
「……君は! なんでそんなところに⁉︎」
「『ゴースト族』なんだから、当然だろ? マスターが時間を稼いでくれたおかげで、準備は整った!」
空中で、彼は自身の胸に手を当てる。
「覚悟しろ、軽薄なトリどもめ‼︎」
ーー大技。ということは、この状況を……打開できるのか?
胸の奥に、熱が灯る。
よかった……。僕の勇気は、無駄なものじゃなかった!
初対面の幽霊にマスターと呼ばれるのはなかなか慣れないが……
ゴハートが叫ぶ。
「『仮想蘇起』‼︎」
そうすると、空間には無数の青白い炎が浮かび上がった。
……人魂?
本で見た記憶が、脳裏によぎる。
「また光の攻撃ですか……? 我々にはもうーー」
アイス一族が、言葉を止める。
「いや、光じゃないな、炎だ」
それを聞くと、炎鳥会が舌なめずりする。
「ならオレたちが食ってーー」
三組織の連携は強い、それでも。僕は彼を信じた。
奴らはそう言うが、ゴハートの技はきっと防げない!
期待通り。
数秒後には人魂たちから声が溢れ出す!
「許さない……」
「よくも、僕たちの家族を……!」
「お前らのせいで、一族は滅んだ‼︎」
「うちは奴らに燃やされた」
「俺は氷で生き埋めに……」
「私は降参したのにひたすら殴られた!」
「森から出ていけ……!」
「消えろ‼︎」
「復讐してやる……!」
空間が、怨嗟で満ちる。
どうやらこれは、死者の声を届ける技。
だが、声だけじゃなかった。
人魂たちは、確かに存在していた。奴らを焼き、蝕み、絡みつく。
声だけじゃない……? 実体がある……⁉︎
「『仮想蘇起』は通常、一瞬だけ死者と会話できるだけの技だ」
ゴハートの声が低くなる。
「戦いに使うものじゃねえ。だがな……!」
彼らの炎が激しさを増す。
「お前たちは無駄な殺生をしすぎた」
その炎は特殊なのか……炎鳥会でさえも、防げていない。
「ぐっ……!」
「くそぉ……」
断末魔が、重なる。
「「ちくしょぉぉぉぉおおおお‼︎」」
そして、ゴハートは呟く。
「……自業、自得だな」
「ありがとう、今のうちに逃げよう……!」
こうして僕は……命からがら、脱出に成功した。
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