心で受ける職業
今回は地球で昔あったお話です。
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俺は「寺田 恒一」18歳。職業は「カウンセラー」だ。
本来なら、ありえない。この歳で、他人の人生を扱う仕事なんて。
あと数日でまた一つ歳をとるが……それでも、まだ若僧と呼ばれる歳だ。
だが俺はもう現場に出ている。
「優秀だから」
「落ち着いているから」
「年齢より大人びているから」
そんな理由で、例外として。
子供の頃から、俺は話を聞く側だった。
誰かが泣けば隣に座り、誰かが怒れば黙って頷いた。
それだけで、場が丸く収まった。
――俺は、相談役の才能がある。
そう思い込むには、十分すぎる成功体験だった。
心理学を学び、資格を取り、気づけば子供達に人気のカウンセラーとなっていた。
俺は「先生」ではなく「兄ちゃん」と呼ばせた。
そして一人称は「俺」のまま。
その方が安心するだろうし、距離が近い方が精神的にいい。
それに“先を生きる者”など、18歳には荷が重すぎる。
子供相手なら、それでよかった。
——問題は、大人だ。
ある日、俺が任されたのは壊れかけのサラリーマン。
年齢的に、本来は俺などが対応すべきじゃない。
でも「寺田なら大丈夫だろ」と言われ、引き受けた。
目の下は黒く、声は掠れ、言葉が遅れる。
——仕事、家庭、金、将来。全てが限界な男。
俺は、焦った。
——聞くだけじゃ、足りない気がした。
「あなたは悪くない」
「責任を感じすぎです」
「正しい選択をすれば、きっと楽になります」
――救わなきゃ。役に立たなきゃ。俺が。
俺が言葉を投げかけ続けると、彼は一度だけ黙った。
助けを求める顔……いや、“何か”を手放した顔だった。
これで良かったのだろうか。
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翌日、ニュースで知る。
あのサラリーマンは——会社の同僚を殺し、その直後に自殺したそうだ。
俺は、何も言えなくなった。そこからの数日間は……地獄だった。
別に、責任を問われたわけじゃない。
ただ……視線と沈黙が、俺を追い詰めた。それだけだ。
「本当に正しかったのか」
「若すぎたんじゃないか」
「君が対応しなければ——」
その全てを、俺は聞き入れ、飲み込み、繰り返した。
そういう性分……だったから。
――俺が壊した。
その結果は、俺の責任だ。
そう思い続けた数週間——ついに俺は、屋上に立った。
逃げじゃない。これは罰だ。
『次』があるなら、正解は言わない。役割を背負わない。
ただ隣にいる——それだけを、誓って。




