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12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜  作者: 流暗
12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜 七章
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5話

「ねーねー、ディルセンセとコアって、知り合いなの?」

「違う。知らない」

「またまたー、ウソ言っちゃって。ね、アドニス」

「うん。僕もそう思うよ。特に、コア君の返事なんかは⋯⋯」

「かっかかか、かわいかったよ⋯⋯っ!」

「うるさい。掘り返すな」

「ひゃいっ! ⋯⋯って言ってたな」

「マネするなっ!」


 全ての授業が終わって、もう帰るところで。


 さりげなく俺を中心に円を作った彼らは、きゃっきゃっと楽しそうに笑う。


 机に腰かけたり、椅子に顎を乗せてたり、立って通路を塞いだり。


 さっさと荷物をまとめて帰りたいのに、自然かつ徹底的なまでの妨害に、チッと舌打ちをした。


 なんなんだ、コイツら。


 俺をイジりにきたのかよ⋯⋯!


「⋯⋯コアは本当に、気づきが悪いねぇ」


 見かねたエルが、あきれたようにため息をつく。


「アドニス、用があるなら直接言わないと、コアには伝わらないよ」

「⋯⋯うん」


 そうだそうだとうなずきかけて、俺は疑問に固まる。


 コアには、ってとこ、強調したよな。


 トゲがある、のか?


 心外だな。

 俺だって、言わなくても分かることあるぞ。


 エルが俺のプリン勝手に食べたこととか、ハルマが夜な夜なエルとディルと一緒にゲームしてることとか。


 新しいの買ってきたって、明らかに俺に対して遠慮がちになるし、いくら静かにやってたって、コントローラー置きっぱなしじゃ、さすがに気づく。


 え? 仮面はって?


 それは、自殺志願のときからずっとだし、そうすることにしたのかって、気にも留めてなくて⋯⋯。


「コア君って、ハルのお兄さんにたてついたんでしょ? ハルから聞いて、僕、心配でさ」


 心配?

 俺のことが?


「なんでだ? ハルマがよってたかって攻撃されてたから、吹っとばしただけだぞ? たしかにハルマが止めてくれなかったら危なかったけど、そんな大きいケガでもないはず⋯⋯」

「それが問題なんだよ!」


 バンッとアドニスが机をたたいて、セピアがビクッと肩をハネ上げる。


 ハルマを除いて、全員が目を丸くし、アドニスを見つめる。


 追いつめられたみたいに歯を食いしばるアドニスは、もう自分の世界しか見えてないみたいだ。


 そんなにマズかったか?

 ハルマの自称兄をけったこと。


 あのときは頭に血がのぼってたけど、ハルマはアイツらに攻撃されてた。


 大切なヤツを助けるって自然なことだし、とがめられる筋合いはないと思うけどな?


「ハルの家は妖倒士長が厚意にしてるんだよ!? 僕たち欠陥クラスは、ただでさえ妖倒士に疎まれてるっていうのに⋯⋯」

「どういう、こと⋯⋯? アドニス、この前、欠陥クラスにきてよかったって⋯⋯」


 アドニスが前髪をぐしゃっとつかむと、レイラが信じられないと言いたげな表情でつぶやく。


 他のみんなも、くちびるを結んで黙りこむ。


 シン、と物音一つしない教室には、その一言が異様なくらいよく通った。


 アドニスはハッと顔を上げると、バツが悪そうに視線をそらす。


「ねえっ、ねえってばっ! ウソだよね⋯⋯? 魔力過多のボクも、暴走しがちなアルトも、気の弱いセピアも、ワケありのハルも! みんなの世話を一番してくれてたのは、アドニスなんだよ? なのに、そんな言い方は⋯⋯」


 すがるように伸ばしたレイラの手を、アドニスはパッと払う。


 しまった、という顔をすると、口をわななかせ、逃げるように教室をとび出していった。


「⋯⋯レイラ」

「さわんないでっ!」


 はげまそうとしたアルトの手を乱暴にたたくと、レイラはうずくまって小刻みに震える。


 ⋯⋯泣いてるのか?

 あの、底なしに明るいレイラが?


 でもまあ、そうか。


 クラスのリーダーで、レイラが一番なついてたアドニスに、あんなふうにされたんだもんな。


 俺も、エルにあんな裏切り方されたら許せないし。


 そんなふうに、ボンヤリ考えながらカバンを肩にかけると、ぽんと手を置かれる。


 嫌な予感におそるおそる振り返ると、エルがニッコリほほえんでいた。


 あ、これはマズい。

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