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12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜  作者: 流暗
12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜 七章
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4話

 コンクリを四角く切りとったみたいな、殺風景な部屋。

 淡々と白く照らす蛍光灯に、狭苦しそうに並べられた机と椅子。


 授業を受けるときの並びだけど、前のホワイトボードのわきには、アドニスはいなかった。


 アドニスにかわって立っていた人は、俺らに向かってひらひらと片手を振る。


「本日より十組の総合担任となります、ディルです」

「「はあー!?」」


 俺とエルの困惑の声が重なり、席についていたみんなが、ギョッとした顔をする。


 待て待て待て待て⋯⋯!


 なんでここに!? どうやって!?


 しかもなんか、デカくなってないか!?


 エルは頭を横に振って、ふぅと息を吐くと、無言で教室の後ろへと歩いていく。


「エル? うぉっ」


 エルがおさえていた扉が、ギィィと古びた音を立てて閉まりかけ、俺は慌てて教室にとびこむ。


 あっぶな、挟まるところだった⋯⋯。


 そのままエルは、入口から一番遠い、対角の椅子を引いて座る。


 え、何。そんな平然と座るのか?


 大遅刻だぞ。

 なんかこう、謝ったりは⋯⋯。


「コア、はやく席について。授業はもう始まってる」

「え、あ、はい」


 いいんだ⋯⋯。


 なんか、ヌルっとしてるな。


 俺は小走りでエルの隣の席まで移動し、持ってきたカバンから教材をとり出す。


 姿勢を整えて前を見ると、ディルと目が合った。


 ディルが気づいて、ニコッとさわやかスマイルを向けると、アルトのほうから、首をしめ上げられたみたいなうめき声が聞こえた。


 セピアなんか、後ろから見てても分かるくらい真っ赤でガチガチだし⋯⋯。


 百九十センチはあるであろう高身長に、アクアマリンのような澄んだ水色の瞳。

 細身だけど線はしっかりしてて、大人の骨格を思わせる。

 ツヤツヤの金髪も相まって、ミステリアスな甘い雰囲気をただよわせている。


 ⋯⋯今さら思うけど、俺、よくディルだって分かったな?


 身長は俺と頭一つ分しかかわらなかったし、もっとヒョロッとしてたのに。


 さては⋯⋯アレだな。


 能力を使って体をイジったな?


 ズルい⋯⋯!


 俺だって、ガキガキって言われたくないのに⋯⋯!


 ヒュッ。


「っ!?」


 黒い棒状の何かがとんできて、とっさに首をひねってかわす。


 いつかのレイラみたく、魔力の壁を進行方向に作ってぶつけると、それはカンッとかわいた音を立てて、床に落ちた。


 ⋯⋯マジックペン?


「コア、他事考えないのー。真面目に聞いて」


 いつもよりワントーン低い声に、ギギギッと首を戻す。


 なんで、そんなにお怒りなんでしょーか。


 ちょっと、ほんのちょっとじゃんか。


 ディルがディルじゃないなー、って。


 もとはといえば、俺らに伝えず入ったのが悪いし?


 それくらいよく⋯⋯なさそう、だな?


「返事」

「はいっ!」


 反射的に背筋を伸ばしてしまい、様子をうかがっていたみんなが、ドッと笑い出す。


 なんで笑って⋯⋯っ。


 くそっ、ハズい⋯⋯!


「はいじゃあ、二百七十二ページ⋯⋯」


 何事もなかったように、授業を再開するディル。


 チョークじゃなくてマジックペンて、と内心文句を言っていると、うつむいた俺の脳天に、本日二本目のマジックペンが直撃した。

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