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12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜  作者: 流暗
12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜 六章
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おまけ

 ある日の学校での出来事。

 通い始めて間もない頃だ。


 俺はハルマにたたき起こされて連行され、絶賛不機嫌中。


 まだ早起きに慣れてないんだよ。


 俺からしたら、七時はまだ夜中で、めっっっっちゃ眠い中、着替えやら朝食やら急かされるの、腹立ってしょうがないんだ!


 なんてったって俺は、妖倒士としての任務を受けてるからな。バリバリの夜型なんだよ。


「もうそろそろ機嫌直しなよ。ほら、ハルマも引きずってくの、やめてあげて」


 エルの言葉に、ハルマがパッと手を離し、脱力していた俺はゴンッと後ろ頭を打った。


 慌ててエルが起こしてくれたけど、俺は苛立ちの原因その二を、うらめしげにじっとにらみつける。


 ⋯⋯なんで俺と同じ生活してるのに、そんなピンピンしてるんだよ。


 理不尽だって、自分でもよく分かってる。


 でもこういうのって、理屈じゃないだろ。

 ムカつくもんはムカつくんだ。


 エルは何も言わない俺に苦笑し、引っぱって立たせる。


「行くよ、コア」

「はーい⋯⋯」


 俺はしぶしぶエルに続き、教室の前に立つ。


 先について待っていたハルマが、俺らを見てから、さびた扉を開けた。


「ハル! と、コア君にエル君! おはよう!」


 その瞬間、待ってましたと言わんばかりに距離をつめてきたアドニス。


 教室内にはもう、他の三人もそろっていて、長机も椅子も並べられていた。


 アドニスのヤツ、なんだ⋯⋯?


 気のせいか目が輝いてるような気がするし、変なこと言い出さないよな⋯⋯?


 アドニスは腕に下げていた袋から、プリンを三つとり出すと、それぞれの手に持たせた。


「姉さんたちが、お茶会で余ったからってくれたんだけど、僕一人じゃ食べきれなくてさ。ハルとコア君は好きだったよね?」

「ああ。甘いものの中で一番好きだな。ありがとう」

「俺も。ありがと」


 アドニスって、人のことよく見てるんだな。


 って、あんなとりあいしたら印象に残るか。


 俺とハルマがさっそくフタを開ける中、エルが一人首をかしげた。


「僕は? 僕はなんでくれたの?」

「え? みんなに配ってるからだよ。エル君はクッキーが好きだよね。今度もらったら持ってくるよ」

「!? そう見える⋯⋯?」

「あれ、違った? この前クッキーを多めに食べてたから、そうかなって思ったんだけど⋯⋯」

「⋯⋯違くないよ。驚いただけ。プリン、ありがと」

「どういたしまして」


 え、エルってクッキーが好きなのか!?


 俺の家にクッキーがあんまりないっていうのもあるけど、知らなかった。


 やっぱりアドニスは、人のことよく見てるんだなあ。


「⋯⋯私、プリンいらないなー。誰か食べる人いたら、あげてもいいんだけどなー」


 わざとらしい声に目を向けると、一番手前の椅子に座ったアルトが、ちらちらと俺に視線をよこしていた。


「でもアルト、さっき食べるって⋯⋯」

「あー! あー! 聞こえなーい!」

「ア、アルトちゃんどうし⋯⋯」

「そういえば、コアってプリン好きだよね? 私のあげるよ」


 アルトが俺から顔をそらしながら、おしつけるようにプリンをさし出す。


「なんで⋯⋯? 本当にいいのか?」

「今、気分じゃないから」

「そうか。なら、もら⋯⋯」


 ふっと、そよ風に似たユルい風が吹き、俺はキッとハルマをにらみつけた。


 ⋯⋯やっぱりか。


「おい。それ、アルトが俺にくれたやつだぞ」

「コアをつれてきて疲れた。これくらい、いいだろ」

「よくない。返せ⋯⋯って、ペース上げるな! 少しくらい残せ!」

「嫌。⋯⋯返せ。俺のだ」

「何がだよ!」


 ギャーギャーと言い合う、俺とハルマ。

 すっかり観客に回るアドニスたち。


 いつか見た光景に、エルはあきれたため息をつく。


「もう、どうするの、これ。止めてよ」

「なんで? 止めないよ?」

「アドニス、今度から毎回プリン持ってきて」

「了解。もらったら必ず持ってくるよ」

「ちょっ⋯⋯! 見せ物じゃないんだから⋯⋯!」


 楽しむ気マンマンな彼らに、エルは眉をひそめる。


(そんなにハルマが言い争うのが面白いのかな。たしかに、コアが熱くなってるのは珍しいし、気持ちは分からないでもないけど⋯⋯)


 興奮して我を忘れることも多いエルは、コアにもそんな一面があることに、ほっとしてもいた。


 けど、今にも二人はつかみかかりそうなほど白熱していて、とても止めないなんてのは危ないとも思えた。


(⋯⋯ま、前回は止めたし。今回は僕も見てもいいか)


 エルはあきらめのため息をついて、椅子に座った。


 こんなことが、この先も続くだろうな、なんてボーッと考えながら。

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