表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜  作者: 流暗
12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜 五章
42/78

7話

「⋯⋯なんてな」


 絶対にしとめたという確信からくるスキ。


 俺は、それを待ってた!


 デルタの腕をガッと握って、そこを支点にもっと高く体を持ち上げる。


 魔力を変形させ、服を貫通してデルタの肌につき立てる。

 その傷口から鎮静剤に近いモノをたたきこむと、俺はトッと地面に着地した。


 ⋯⋯さて、即興で思いついた方法だけど、うまくいってるか⋯⋯?


 ドッと膝をついたデルタは、メスを落とし、すっかり落ちついたように座りこんでいる。


 よかった、うまくいったみたいだ。


「⋯⋯ノア、ごめん、ごめん⋯⋯!」


 放心した様子だったデルタが、急にボロボロと泣き出した。


 涙も拭わずに泣きわめくデルタは、まるで子どもで、俺はデルタの正面に片膝をついて、顔にハンカチを当てた。


「俺はさ、昔の記憶がないから、ノアとの記憶もない。だけど、さっき少しだけ思い出して、俺がやらないといけないと思った。ノアを俺が殺したのか、まだ信じられないでいるけど、俺をかばってなら、なおさらだ。悪いけど、俺はまだノアとの約束を果たしてないし、死ねない」


 静寂の中、俺は無心に涙を拭き続ける。


 しばらくして、落ちついたように深呼吸したデルタから手を離すと、彼はしがらみが解けたような顔でほほ笑んだ。


「さっきコアの菌を食らったとき、一緒にノアの妖力も入ってきて。ノアが言ったんだ。コアはいい子だよって、助けてあげてって」


 いい子だよって⋯⋯なんだよ、なんか顔が熱い。


「なのに私は、自分の感情ばっかりで、ノアの気持ちまで失くすところだった⋯⋯!」


 デルタの笑顔がノアに重なって見えて、俺は目を見開いた。


 この兄妹って、すごい似てるんだな。


 デルタといたら俺、記憶も思い出しやすいんじゃ⋯⋯?


「ありがとう、コア。じゃあもう私、行くね」

「あっ⋯⋯!」


 デルタは羽根を大きくはばたくと、俺が言葉を発する前に、空へととび立ってしまった。


 行ってしまった⋯⋯。


 って、エルは!? アルトは!?


「⋯⋯ハデにやったねぇ。この血だまり、処理するの大変そうだよ」

「エル!」


 パッと振り返ると、エルがスヤスヤと眠るアルトを抱えて立っていた。


 服は血で汚れているものの、矢の傷以外に目立った傷はなさそうだ。


 よかった、ホント無事で⋯⋯。


「っごめん、エル。俺、歩けなさそう⋯⋯」

「デルタ相手に勝ったんでしょ? 僕のほうが動けなくてごめんなんだから、これくらい気にしないでよ」


 ホッとして足から力がぬけた俺を、エルは優しく笑ってヒョイと抱える。


 そっか、俺、デルタに勝ったんだ。それも、一人で。


 思えば無謀だったかもしれないけど、エルたちを傷つけてほしくなくて必死だったんだから、しょうがない。


「アルトはどうしたらいいんだろ」

「魔道具の中につっこんだら、どうにかなるんじゃないか? 生体認証で勝手に送ってくれるわけだし」

「そうだね。よし、じゃあ入れちゃおう」

「おいエル、投げていいとは言ってない」


 いつの間にか到着していた、ワープ地点の建物。


 目の前には魔道具である祭壇が備えられていて、三人分くらいの太さの白い光が、円柱状に伸びている。


 その光の中に、エルはアルトをポイッと放りこむと、涼しい顔で自分も中に入った。


 まばたきの間に、景色が木々に囲まれた俺の家にかわる。


 なんやかんやでいろいろあったけど、とりあえず無事に終わってよかったぁ⋯⋯!


 ってヤバ⋯⋯家に帰ってきた安心感で眠気が⋯⋯。


「コア。あとは僕がやっとくから、寝ててもいいよ」

「ん、そーするー⋯⋯」


 目を閉じるとあっという間に沼に引きずりこまれる。


 エルの優しい視線を感じながら、俺は眠りについたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ