6話
これは⋯⋯俺の昔の記憶?
それを思い出したとたん、頭痛がサッと引き、魔力と妖力が体中に駆けめぐるのを感じた。
俺は、グッとデルタの腕をつかむ。
「模倣!」
デルタの片腕がパッと白く光り、驚いて目を見開いたデルタが、ひるんだようにとびずさった。
デルタの能力の使い方が、体に染みこんでくみたいに分かる。
「まさか⋯⋯そんな⋯⋯ノア⋯⋯?」
嬉しさと困惑が入り混じったような表情のデルタは、口に手を当ててワナワナと震える。
「ああ。正確には、俺と契約したノアの能力だけどな」
「ノアは死んだんだ。コアが殺したんだ」
「悪いけど、そこの記憶は戻ってないから分からな⋯⋯」
「ノアがコアをかばわなければ! ノアは⋯⋯ノアはまだ生きていたんだ! なんでコアだけ生きてる⋯⋯? お前も一緒に死ねばよかったんだ!」
「っ!?」
死ねばよかった、なんて⋯⋯。
俺が誰かに死ぬことを望まれて、それをぶつけられることなんて、初めてだ。
なんかこう⋯⋯気にしたらダメだって思っても、結構クるものだな。
デルタは苦しそうに叫ぶと、ポケットからメスみたいな刃物をとり出した。
「人間なんて、みんなそんなんだ⋯⋯。私から大切なモノを根こそぎ奪っていくんだ⋯⋯!」
デルタはタンッと地面をけると、一瞬で間合いをつめてくる。
さすがは七柱。速度が段違い⋯⋯!
でも、エルほどじゃない!
振るわれた腕を、しゃがんでよける。
顎を狙うデルタの足をバク転でよけ、距離をとる。
けど、またあっという間につめられた⋯⋯!
次は真っすぐ突くような攻撃に、俺は半身になってかわし、背中を狙う拳をいなしてとび退く。
でもまた、すぐにつめられる。
よけて、かわして、距離をとって。
ただひたすらにデルタの攻撃を受けないようにしながら、俺は口を開いた。
「こんなの意味がない! ノアの理想は、妖と人間の共存。ノアがこの戦いを望んでいると思うか!?」
「望んでいなくても! 私は仇を討たないと気が済まない! 他人から大切なものを奪っておいて、のうのうと忘れた顔で生きてる人間たちが、許せないんだよ!」
「ああ、分かる。そう思う! でも俺だって、ノアと約束したから! 妖と人間の共存を実現するって!」
「そんなの不平等だ。夢物語だ!」
「それでも! 俺はまだ、死ねない!」
俺の足を払おうとかがんだデルタに、俺は足を曲げてとぶ。
と、予想が外れてデルタが腕を振った。
わき腹!? 空中じゃよけようがない⋯⋯!
くそっ、やっぱり勝てない、か⋯⋯!
今回も少し短めなので、本日22時に7話を公開します!




