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12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜  作者: 流暗
12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜 五章
38/78

3話

「つ、疲れた⋯⋯」

「え? 結構楽しかったじゃん」

「そーですかそーですか、それはよーござんした」

「え、何それ怖。コア、大丈夫?」


 壊れたと騒ぐエルを軽くこづき、俺はとにかく家に帰ることを考えていた。


 整備されていない、木々に囲まれた獣道。

 日が落ちかけて、不気味に見えるけど、それは俺の家も山の中だから、慣れてる。


 でも、なんだろうな。


 なんか、胸の中がザワザワと落ちつかない。


 嫌な予感ってわけじゃないけど、なんか落ちつかない。


 夜だから? 疲れてるからか?


 歌詞パーティーの後、三時限から六時限まで、魔法学やら妖学やらって、ずっっっとノートに向き合いっぱなしだった。


 欠陥クラスだから、先生はいないらしくて、主にアドニスが先生役をやって教えてくれた。


 アドニスの教え方は上手なんだろう。


 けど、残念ながら、俺の頭が追いつかないまま終わった。


 そもそも、もう二年生になるんだ。


 一年生の知識なんてない俺には、余計に分からない。


 なんで今さら、学校に通えだなんて⋯⋯本部もふざけてるだろ。


「あ、コア。ちょっと待ってて」


 山を下りたとき、エルが俺をおいて、近くの店に駆けこんでいった。


 なんだ? 母さんに何か頼まれたのか?


 もう少しでワープ地点の建物だっていうのに⋯⋯。


 はやく帰りたいあまり、不満が蓄積していくのを感じる。


「お待たせー」

「遅い。はやく行くぞ」

「ごめんって。⋯⋯はい、これ」


 俺は、エルが袋からとり出したソレに、ハッと息をのんだ。


 ニコニコと、俺の反応を楽しんでいるエルの手には、プリンがのっていた。


 まさかこれ、俺に?


 袋にはもう何も入ってないってことは、これを買うためだけに店に入った?


 俺があのとき、ハルマとケンカしたから?


「コア、勉強苦手なのに、頑張ってノート書いてたし、あんなまでしてプリンを食べたがってたのは、疲れてるからなんだろうなって。はい、帰りながら食べていいよ。お疲れ様」

「⋯⋯ありがと」


 俺がバッと奪うようにプリンをとると、エルはアハハッとおかしそうに笑った。


「笑うな⋯⋯」

「っごめんごめん⋯⋯!」


 まだ笑ってる⋯⋯!


 俺はなんだか恥ずかしくなって、プリンのフタとスプーンの紙をはがすと、勢いよくすくって口に入れ、エルの先を歩き始めた。


 笑いをこらえているような息づかいが、すぐ後ろから聞こえてくる。


 くそ⋯⋯! なぜか耳と頬が熱い⋯⋯!


 エルがプリンを買ってきてくれることなんて、ほぼ毎日のようにあった。

 だけど、それはいつも冷蔵庫の中にあって、思えば面と向かってもらうことなんて、初めてだ。


 ⋯⋯いや、何かをもらったこともない、な。


 ん? あったっけな?


 純白の羽根がついたネックレ、ス⋯⋯ッ!


「⋯⋯ぁ⋯⋯っ!」

「コア!?」


 頭の内側から貫かれるような頭痛に、俺はプリンを落としてうずくまる。


 慌てて駆けよってきたエルが支えてくれたおかげで、倒れはしなかったけど、視界は立ちくらんだみたいにゆがんでる。


分解(ディサセンブル)、LEVEL⋯⋯ッ!?」


 急に腰をグッと引っぱられ、俺はされるがままに受け止められる。


分解(ディサセンブル)LEVEL2⋯⋯コア、大丈夫?」


 洗い流されるみたいに引いた痛みに、俺はうっすらと目を開ける。


 心配そうにのぞきこむエルの瞳から、金色の光がスゥッと消え、俺は魔力暴走を起こしたことを悟った。


 俺はゆっくりと身を起こし、軽く頭を振る。


「ああ。ごめん、また俺⋯⋯」

「いいよいいよ。⋯⋯それより、厄介なことになった」


 エルは鋭い視線で周囲を見回すと、ハッとしたように俺を抱えて、近くの屋根へととんだ。


 ドッ!


 さっきまで俺らがいた地面に、何か細いモノがつきささる。


 矢だ。


「ラムダ、ノア。久しぶりだね」

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