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12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜  作者: 流暗
12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜 四章
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8話

「あ、なんか気に入らないヤツだ」

「こら、レイラ、こんなこと言ったら⋯⋯え?」


 今気づいた、とでもいうように、全員が驚いた顔で俺らを見る。


 最初っからいたんだけどな。ハルマしか目に入ってなかったらしい。


「あー⋯⋯うん。その、仲いいんだね」

「まぁ、似た者同士だから、ね。親近感はわくよ」


 トゥレーラ以外のみんなは、気まずそうに視線をそらす。


 俺はあんまり気にしてなかったのに、そんなふうにされたら、居心地悪いだろ⋯⋯!


「お前、名前は? 能力は?」

「え?」

「ボクねぇ、お前らに興味わいてきちゃった! ハルが初対面の人間を抱えてくるんだもん。びっくりしたよぉ」


 トゥレーラが目をキラキラと輝かせて、熱っぽく両手を握る。


 キラキラの正体は、きっと好奇心だけじゃない。


 俺らに興味がわいたとか、あんなに敵対してたのに?

 態度が変わりすぎじゃないか?


 姿を見るよりも先に殺されかけたわけだし⋯⋯というか、そもそも命の危険と隣あわせの学校なんて、こなくてもいいんじゃないか?


 おぉ! 名案!


 トゥレーラを理由に、命令を断ってやる!


 俺がエルに目で訴えると、少し目を見開いて、小さくうなずいてくれた。


「俺は帰る」

「僕はエル」


 え、とエルのほうに顔を向ける。


 同じく俺を見てきたエルが、困惑したように眉をよせていた。


 自己紹介じゃない!


 そうか。エルが驚いてたのは、俺が帰ることじゃなくて、俺らの能力を教えることについてか。


 でも、たしかに、トゥレーラの質問の答えに対して、『帰る』は路線がズレてるな⋯⋯?


「アッハハハハハハ!」


 甲高い笑い声に目を向けると、腹を抱えているトゥレーラと、後ろでアドニスたちが口をおさえている。


 今のやつのどこが面白い⋯⋯って、こらえきれてないぞ。

 肩が小刻みに震えてるの、見えてるからな。


「め、目配せしたのに別々のこと言うって、息合わなさすぎでしょ⋯⋯!」

「しかも、帰るって何? エルくんとコアくんはもう、この学校の生徒だから、このあとの授業も受けないとダメだよ」


 アスベルトは口元をへの字にして言い、アドニスはさりげなく目元の涙を拭う。


 セピアはこらえきれずに小さく吹き出すと、顔を真っ赤にしてアスベルトの背に隠れた。


 ハルマが抱えていく前は、あんなにギスギスしてたのに、そんなことなかったみたいに、一緒に笑ってるの、よく考えたらすごいことだよな。


 兄弟、姉妹みたいだ。

 小学生の頃から一緒なのかもしれない。


「ここで立ち話もなんだし、教室に入らない? 次の授業は、編入生の歓迎会にしようか」

「は? なんだその、今決めた、みたいな言い方。時間割って、前から決まってるだろ? 先生もくるはずだし⋯⋯」

「いないよ」

「はぁ?」


 先生がいないって、どういうことだ?


 学校っていうのは、一日の時間割が決まってて、それぞれ担当の先生が授業をしてくれるんじゃないのか?


 俺が眉をよせると、アドニスが寂しげに笑った。


「そっか。知らないんだ。⋯⋯とりあえず、教室に入ろう? いろいろ話すことあるから」


 アドニスがあらためてうながすと、どこか複雑な表情を浮かべながら、彼らは薄暗い空気をおいていった。


 ⋯⋯そんなに大事な話が始まるのか?


「行くよ、コア」

「え。待てって!」


 真っすぐに扉へ向かうエルを、慌てて追いかける。


 なんのためらいもなく入っていったエルのあとに続くと、そこは教室というより、本当に倉庫だった。


 白い人工的な光に照らされる、すすけた灰色の壁。

 十数個のさびたパイプいすが乱雑に転がっていて、右の壁ぎわにホワイトボードがおかれている。


 そのホワイトボードを中心として、半円を描くようにパイプいすを並べ、座っているアスベルトが隣のいすをたたいた。


 俺は、いそいそといすに腰かけ、ギィと鳴った音に顔をしかめる。


 これ、大丈夫か? 壊れない?


「全員そろったね? じゃあ、あらためて。1−10、別名、奈落の10組――」


 ホワイトボードの脇に立ったアドニスの声には、感情がこもっていない。

 まるで、何もかもあきらめたような表情をしている。


 奈落、って⋯⋯。


「――欠陥クラスへ、ようこそ」

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