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12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜  作者: 流暗
12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜 四章
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4話

「うぁっ!?」


 グルリと視界が回転して、とっさに受け身をとる。


「レイラ! ストップ!」


 何かが腹の上に馬のりになり、アドニスがあせったような声で近づいてくる。


 何が起こった⋯⋯?


 俺が首をおこすと、視界の下で、何がキラリと光った。


 え、まさかこれって⋯⋯。


「レイラ! うちのナイフ返しなさい!」

「ぁっ⋯⋯」


 アスベルトの怒声と同時に、フッと腹が軽くなる。


 一拍遅れて、顔をのぞきこんできたエルが軽く目を見開き、手をつかんで立たせてくれた。


 うわぁ、草まみれじゃん、俺。


 背中の草を払おうと、手を後ろに回す。


 ん⋯⋯? なんか、首が痛いような⋯⋯?


 中途半端に伸ばした手を戻し、首に当てた。


 真っ赤に染まった指先を見て、やっぱり見間違いじゃなかったか、と思いつつ眉をひそめる。


「ねぇ、大丈夫?」

「ああ。傷は浅いみたいだしな。ただ、傷は塞いでおきたい。絆創膏か何か、持ってないか?」

「あったかな⋯⋯あ、あった」


 ペリペリと紙をはがして、エルが傷口に絆創膏をはってくれる。


 浅かったとはいえ、切られたのは急所の首だ。


 周りに妖の気配がないってことは、アドニスたちの誰かだろう。


 初対面なのに、いきなり物騒だな。


 これから同じクラスだっていうのに、先が思いやられる。


 そんなことを考えながら、エルの肩ごしに、固まっているアドニスたちを見やる。


「レイラ、あの子は編入生だよ。いきなり襲ったらダメでしょ」

「だってぇ⋯⋯なんとなく邪魔だったんだもん」

「またそんな理由で⋯⋯。いい? あの子はレイラの魔力暴走を止めてくれた人の友達なんだよ。恩人の人にナイフを向けたらダメ」

「そうだけど、あの人もボクは排除したかったよ? だけど、我慢したのぉ。助けてくれたから」

「もー⋯⋯。ダメなものはダメ。ほら、謝りに行くよ」


 邪魔だったから切る。排除したかった。


 えぇ⋯⋯?

 俺、そんな理由で殺されかけてたのか⋯⋯?


 どんな残虐なヤツだよ。


 アドニスに手をひかれてきた少年に、俺は思わず目を丸くした。


 俺も身長は低いし、華奢なほうだとは思うけど、彼はもう一回り小さい。

 ふんわりと柔らかそうな薄茶の髪に、童顔な顔立ちも相まって、あるで天使のようだ。


 アドニスは少年を横に立たせると、俺らに向かって深々と頭を下げた。


「レイラが、トゥレーラが、本当に申し訳ないことをした。キツく言っておくから、どうか許してもらえないかな。⋯⋯ほら、レイラも謝って」


 トゥレーラが、アドニスにうながされて、ぴょこりと頭を下げる。


「ごめんなさぁい。でもね、ボクに邪魔だって思われるのが悪いんだよ?」

「レイラッ!」


 アドニスが鋭くレイラをとがめる。


 けど、当の本人はどこ吹く風でポケットに手を入れた。


「コアっ!」


 グイッとエルに腕を引っ張られた。


 シュッと耳元で風を切る音が鳴り、俺はとんできたソレの軌道に、魔力の壁を作り出す。


 落下して地面に落ちたソレは――ナイフだった。


「あれっ!? うちのナイフが一本ない!」


 アスベルトが腰のポーチを探り、いつの間に、とトゥレーラに視線を向ける。


「レイラ!」


 トゥレーラがアドニスの制止を振りきって、俺らのほうにトコトコと歩いてきた。


 俺をかばうようにエルが前に立ち、トゥレーラを視線で威嚇する。


 なんで近づいてくるんだ?


 次は何をして⋯⋯。

 ?通りすぎた⋯⋯?


 あぁ、ナイフをとりに行ったのか。

 アスベルトのものみたいだからな。


 トゥレーラはナイフを拾うと、片足でクルリと回転し、俺らに見せつけるようにつき出した。


破壊(デストラクション)っ」


 トゥレーラが握っているナイフの柄から、細かな亀裂が走る。


 パッと手を離すと、粉々になったナイフのかけらは、水に砂糖が溶けるように消えた。


 は⋯⋯?

 ナイフはどこにいったんだ⋯⋯?


 消えてなくなるって、そんなの反則技だろ。


 やってみせたこととは対称的に、トゥレーラが無邪気な笑みを浮かべる。


「ボクの能力は『破壊(デストラクション)』。ボクより弱いヤツは、無条件で消滅させられるんだぁ。だからね、お前らなんていつでも⋯⋯」

「レェェイィラアアアァァ!!」

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