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12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜  作者: 流暗
12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜 四章
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3話

 けど、エルの顔を見た瞬間、おびえたようにペタンと座りこんでしまった。


 あんなに我を失ってたのに、そんなにエルが怖い顔してたのか?


 怒る要素なんて、なかったと思うけどな。


 不思議に思って、エルの顔をのぞきこむ。


「は!? バカ! 能力はあんま使うなって言っただろ!」


 ばつが悪そうに顔をそむけるエルの瞳から、スゥッと金色の光が消えていく。

 エルが、妖力を使った証拠だ。


 アスベルトは、エルが怖くて座りこんだんじゃない。

 エルに魔力を分解(ディサセンブル)されて、力がぬけたんだ。


 なんで、こうも堂々と使うんだよ!?


 みんな見てるじゃん。

 しかも、一番注目が集まってるときだっただろ。


 さすがに妖力を使ったら、誰だってエルが妖だって分かる。


 どうごまかす? いや、無理か。

 もういっそ、二人で逃げるか!?


 必死に考えをめぐらせていたときだった。


「ガウッ」


 近くのしげみから、大型犬くらいの大きさの狼がとび出してきた。


 ハッと顔を上げたときには、もうすでに足を肩にのせられていた。


 真っ赤な口と、濁った鋭い牙が目の前に迫る。


 しまった、油断した⋯⋯!


 せめてかみつかれないようにと、顔の前に魔力で盾を作り出す。


「コア、僕がやるよ」


 サッと横から手が伸びてきて、狼の右前足をつかむ。


 狼がグイッと引っ張られて横に消えると、キャゥと情けない声を出して、力なくぶら下がった。


 エルは目の光を戻しつつ、狼を地面へと横たえ、俺に目配せしてきた。


 あーあー、やってくれたなぁ⋯⋯。


 この狼、妖だろ?

 中級くらいなら俺だって倒せる。


 わざわざ、エルの妖力をさらす必要なんてなかったのに⋯⋯!


 エルが、とどめをさして、と目で訴えてくるけど、俺はそれどころではないと、おそるおそるアドニスたちを見回す。


「⋯⋯ねぇ、アンタって、もしかして⋯⋯」


 アスベルトがへたりこんだまま、ボウゼンとエルを見上げる。


 やっぱりバレるよな⋯⋯!?


 あぁ、これからはエルと逃亡生活か。


 妖倒士も敵に回っちゃって、妖にも注意しないといけなくて⋯⋯。


「魔力も妖力も吸う能力!?」

「う、うん」

「嘘⋯⋯! ねぇねぇお願いがあるんだけど、レイラから魔力を吸い出してほしいの!」

「いいけど、レイラって誰⋯⋯うわぁっ」


 瞳を輝かせたアスベルトが、エルを引きずるようにして、仮面の少年のところへつれていく。


 二、三言交わすと、彼を追って木々の中へと入っていった。

 俺は、どさくさにまぎれて、狼の首をはね、水晶へと変えておく。


 バレて、ない⋯⋯?


 あんなに派手に能力を使ったのに?


 能力を使うとき、体のどこかが光るのは、魔力も妖力も同じだ。


 魔力は人間が持っているモノなだけあって、違和感がないというか、敵意がふくまれていない限り、危険だと思うことはない。


 でも、妖力は基本、人間が持てるモノじゃないから、固いしこりのような違和感を感じるはず。


 もう十三歳だぞ?

 魔力と妖力の見分けくらい、簡単につくはずだ。というか、感じられる。


 逆に、どうして分からなかったんだ?


 俺としては、そのほうがありがたいけど⋯⋯。


「アルトがエルくんまで連れていっちゃって、ごめんね」

「ででででもっ! アルトちゃんは悪い子じゃないんですっ。どど、どうか、誤解しないであげてくだひゃいっ」


 かんでしまって、顔を真っ赤にしたセピアが、ただでさえ自信なさげに丸めていた背中を、さらに縮めた。


 慣れたように苦笑いを浮かべたアドニスは、俺に視線を戻すと、朗らかに笑った。


 くっ、罪深いヤツめ⋯⋯!


 こうやって、柔らかい笑顔で人を虜にするんだろ。


 セピアがタコみたいに真っ赤になってるぞ。


「さっきの、ヤギの仮面の子はハルマティアっていうんだ。ちょっと事情がある子でね。詳しくは本人に聞いてほしい」

「そうか。でも、関わり合うつもりはさらさらないから、大丈夫だ」


 というか、関わりたくない。


 ハルマティアは、俺とエルが妖力を持っていることに気づいてる。


 どこまで確信してるかは分からないけど、どうにか口封じして、その後は近づかないのが得策だろう。


 一人でウンウンとうなずいていると、突然、横から何かにとびつかれた!

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