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12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜  作者: 流暗
12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜 三章
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9話

 理由があるからって、命を捨てていいことなんて、絶対にない。


 人間の中のクズだけを殺すなら、ゼータを退治する必要なんて、なかったんじゃないのか?


 ⋯⋯俺は、間違ってない、よな⋯⋯?


「⋯⋯ねぇコア! 動物たちをどうにかしないとねぇ。本部に連絡して、人を派遣してもらおうか。妖力は全部ぬいて、妖じゃなくなってるから、動物として寿命がきてるコたちは、亡くなっちゃってるかもしれないけど⋯⋯。生きてるコたちは、保護してもらおうね!」


 エルが、わざとらしく明るい口調で俺に話しかけ、スマホを耳にあてる。


 相づちを打ちながら、トントン話を進めていくエルをボーッと眺め、ふと子どもが目に入った。


 大事そうに、離さないように、腕でしっかりと妖を抱いてる。

 妖のほうも、安心しきったように力をぬいて、ゴロゴロ喉を鳴らしてる。


 ⋯⋯そういえば、この猫妖、エルが分解(ディサセンブル)したあとにきたから、妖力が残ったままだよな。


 俺らには殺気むき出しだったのに、この子どもに対しては、ただの猫みたいだ。


「エル。この妖の妖力はぬくのか?」

「⋯⋯ん? あー、ぬこうと思ってる、けど⋯⋯」


 電話を切ったエルが、子どもを見下ろして、困ったように苦笑いを浮かべる。


 不純妖から妖力をぬいて、命の保証はできない。


 だけど、この子どもは、妖をすごく大事に思ってる。


 ⋯⋯もし失敗したら?


 考えるだけで辛いよな。


「あんまり使いたくなかったんだけど⋯⋯」


 エルがまたスマホを操作し、耳にあてる。


「もしもし? うん、護身用にすごく役に立ったよ。また一つ作っといてほしい。⋯⋯今日は別のモノなんだけど、不純妖を絶対に生かせて、完全に妖力をぬくモノを作ってほしくて⋯⋯えっと、今すぐ。できる? ほんと? ありがとう!」

「誰?」

「アルファだよ。今すぐ届けてくれるって」


 アルファ!?


 俺が目を丸くすると、エルは気まずそうに目をそらした。


 七柱トップと連絡をとってることには驚いたけど、なんで目をそらすんだ?


 怪しいな⋯⋯。


「そういえば、エル。アルファに何か作ってもらうとき、何かを差し出したって言ってたよな。危ないこととか、してないよな? 何を差し出したんだ?」

「⋯⋯怒らない?」

「程度によるな」


 エルは、言い訳を探すように視線をさまよわせ、最終的にうつむいて、ボソボソと口を動かした。


「コアの妖力と魔力をぬいて、アルファに渡してた」

「理由は?」

「僕だけの力じゃ、七柱からコアを守れないと思って⋯⋯」


 ハーッと、長くあきれのため息をつく。


 怒ってると思ったのか、エルが肩を縮めた。


 勝手に俺の魔力と妖力を持っていかれて、さらにアルファに渡してたなんて、正直めっちゃ不快だ。


 でもそれよりも、俺に黙ってたってことのほうが、腹立ってる。

 それならそうと、俺にも言ってほしかった。


 ⋯⋯でもまぁ、エルなりのプライドみたいなものだろ。


 エルらしいっていえば、エルらしいよなぁ。


「⋯⋯怒らないの?」

「別にいい、次から俺にも教えてくれれば。エルのことだから、悪用されないように、とか、いろいろ条件つけてくれてそうだしな」

「うんっもちろん! 一応、アルファは全面的に僕たちの要求をのんでくれるみたい。だから⋯⋯」


 シュッと赤い光が、エルの言葉をさえぎるように割って入り、妖の頭にあたって、パンッとはじけた。


「もうきたのか」

「はやいね。しかも、もうこの猫の中に妖力はないよ」


 穏やかな寝息を立てる子どもと猫に、俺らはホッと息をつく。


「うわ、すご⋯⋯」「これ全部?」


 音もなく急に現れた黒ずくめの集団が、一面に広がる動物たちの山に、目を丸くしていたけど、すぐ手慣れた手つきで一匹一匹、生死の確認を始める。


 あっという間に運び出された動物たちに、あっけにとられていると、エルが服の裾を引っ張った。


「この子、どこに住んでるんだろう。親御さん、心配してるよね」

「派遣されてきた人たちに任せればいいんじゃないか? ⋯⋯イレギュラーすぎたけど、今回の依頼も、完了だな」

「まさか七柱に会うなんてねぇ。大変だった」


 俺は、エルと一緒に派遣されてきた人たちに子どもと猫を預けて、改装された我が家へと向かった。


 もう地平線からは、太陽が俺らを照らしていた。

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