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12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜  作者: 流暗
12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜 二章
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9話

 ⋯⋯え、俺が妖力を持ってること、七柱が全員知ってるってこと?


 エルはもちろん、アルファも珍しいモノの俺には危害を加えないと思うから、あと五人か。


 アルファみたいなのが、五人も俺を狙ってるなんて、想像するだけでゾッとする。


 今回俺が無事(?)でいられたのは、アルファの目的が、俺を『捕まえる』ことだったからだ。

 始末しにきてたなら、俺はとっくにあの世行きだった。


 俺がエルやアルファに比べて、弱いことは自覚してる。


 でも、だからって、自分を守れないどころか、エルや母さんまで巻きこむっていうのは⋯⋯。


 パリンッ!


 細かく軽い、窓が割れる音にハッと顔を上げる。


 ちょうど窓の外にたなびく赤髪が見え、俺は窓にとびつく。


「まっ⋯⋯!」


 母さんを治すヤツ⋯⋯!


 身をのり出して探しても、太陽の白い光が木々の上を滑っているだけで、アルファの姿は見当たらない。


 しまった⋯⋯!


 そんな余裕がなかったといえばそうだけど、元は母さんを治してもらうために探してたのに⋯⋯!


 今からでも追いかければ追いつくか?

 いや、あの速さはムリだし、そもそもどこの方向に行ったんだ⋯⋯?


 ヤバいヤバいヤバいヤバい!


 他に手はないのに、逃した。


 母さんは、助けられないのか⋯⋯?


 見つかるかは分からない。

 でもとにかく、探すしか⋯⋯!


「ちょっ、コア!?」


 グイッと肩を引かれて、窓から引きはがされる。


 聞き慣れた声にバッと振り向くと、ベッドに片膝をのせたエルが、困ったように眉を下げていた。


 その奥、開け放たれた扉から、どうしていいか分からない、とでも言いたげな女性が顔をのぞかせていた。


「母、さん⋯⋯」


 なんで、という疑問が口をつくより先に、視界がボヤけて頬を何かが伝った。


 喉が痙攣して、言葉が出ない。

 空気を吸うばっかりで、呼吸が苦しい。


「コ、コア? なんで泣いてるのっ?」


 動揺したようにうろたえるエルが、ワタワタと両手を動かしている。


 ⋯⋯泣いてる?


 なんでって、俺が聞きたい。


 どうにか止めようと目に手を当てるけど、全く変わらず、みっともない嗚咽が口からあふれ出る。


 突然、フワリと温かいものに包まれ、胸につまっていたものがフッと下りたような気がした。


「大丈夫、大丈夫だよ」


母さんが安心させるように言い、優しく背中をたたく。


 その動作に一層嗚咽が激しくなり、気づかないうちに母さんの肩にしがみついていた。


 温かい体温を感じながら、母さんの肩に顔をうずめる。


 ⋯⋯あぁ、そうか。


 分かった。俺が泣いてる理由。


「かぁ、さんがっ、しんじゃう、かもって、おもってっ」

「うん」

「もう、あえなく、なるかもってっ⋯⋯こわかった⋯⋯!」

「うん。ごめんね。もう大丈夫だからね」


 おずおずと手を伸ばしたエルが、えんりょがちに俺の背中をなでる。


 ⋯⋯あったかいなぁ。


 生きてる証拠だ。ホッとする。


 俺はより強くしがみつくと、声を殺して、落ちつくまで泣いた。

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