表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜  作者: 流暗
12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜 二章
16/78

8話

「⋯⋯ねえ、こんなもの? 期待外れだなー、せっかく面白いモノが増えたと思ったのに」


 アルファが軽蔑するように目を細めると、ヒュヒュヒュッと風を切る音が軽く、速くなった。


「ぐぅっ⋯⋯!」


 ウソだろ⋯⋯まだ速くなるのか⋯⋯!?


 肌を切りさく感覚が、鈍くなっていくのを感じる。


 だけど、アルファは傷一つついていない。俺が反撃すらできていないからだ。


 力の差は歴然。

 俺の体力も限界に近い。


 もう、いちかばちか、今しかない⋯⋯!


「はーあ、もーいいよぉ」


 アルファが冷たいため息を吐き、大きく腕を振り上げた。


 一瞬のスキ。

 俺にはやられない、という確信が見てとれるものだ。


 けど、なんだっていい。


 俺は、あのときエルに送った妖力を探しながら、タッと床をけってアルファとの距離をつめる。


 予想していなかったのか、驚いたように目を見開いたアルファが、すぐに手を伸ばしてくる。


 アルファの手が俺に届くほうが――はやい。


 確実に妖力を捉えるなら、俺がアルファに触れないといけないのに⋯⋯!


 ⋯⋯いや、まだ。まだだ。


 アルファは俺に触れていない。


 何かあるはずだ。


 俺が先に触れる方法が――!


 少しでも逃れようと、床スレスレに体を沈ませる。


 けど、バランスを崩して、床に肩がついてしまった。


「っまだ⋯⋯!」


 チラリと見上げた視界の中で、アルファの赤い瞳が冷たく光っていた。


 もう俺の腕をつかもうとしている小さな手を、とっさにつかむ。


 引っ張られてヨロけたアルファは、信じられない、というふうに固まっている。


 アルファの中に流れる妖力を感じると同時に、胸のあたりにポゥ、と妖力が灯った気がした。


 魔力と同じようにグンッと左手に流すと、頭の中にふっと使い方が浮かんできた。


模倣(コピー)!」


 グッと強く握った手から、アルファの妖力が体に染みこんでくる。


 あっけにとられて呆然としているアルファの手を離し、横に転がって膝を立てる。


 ⋯⋯やっぱ、妖力の密度も半端ないな。


 腹の底が浮いて、心臓が体を揺らす。


 なんか、なんでもできそうだ。

 例えば、何かを合成して武器を作るとか、な。


 アルファは白衣の下に、自分で融合したモノをたくさん持ってるんだろう。


 ただでさえステータスが雲泥の差なのに、切り札を隠し持ってるんだから、武器なしじゃ分が悪い。


 ⋯⋯武器があっても変わらないって? ないよりはマシ、だろ?


 何かアルファに対抗できるものはないかと、目だけで部屋中を見回す。


 けど⋯⋯なんてことだ。


 必要最低限のものしかないことが、こんなところで後悔するハメになるなんて⋯⋯!


「⋯⋯っふ、ふふふふッ⋯⋯! あっははははは!」


 突然笑い出したアルファにバッと視線を戻し、姿勢を低くする。


 対するアルファは苦しそうに腹を抱えてうずくまり、今にも転げ回りそうなほど笑い声を上げている。


 ⋯⋯一体、どうしたっていうんだ?


 そっちはハエを払うくらい容易いことだったかもしれないけど、俺は一歩間違えば死ぬかもしれなかったんだぞ?

 俺を見る目だって、冷え冷えしてたじゃないか。


 何がそんなにおかしいんだ⋯⋯?


 ひとしきり笑い終えたアルファは、指先で涙を拭いながら立ち上がった。


「⋯⋯っふ、自分からあたしに触ってくる人間なんて、初めてだよ⋯⋯! しかも、あたしが妖力を吸われて模倣(コピー)されるなんて、コアはやっぱり妖力を持ってたんだ。⋯⋯あーもうっ、最高。サイコーだよ!」


 アルファは、キラキラと目を輝かせて熱っぽく俺の手を握り、ブンブンッと上下に振った。


 速ッ!? 全く動きが見えなかった⋯⋯!


 この様子は、もう戦意がないと見てもいい、のか?

 それとも、妖力があることはもうごまかせないから、連れていかれる?


 グルグルと考えをめぐらせていると、アルファがパッと手を離し、エルの入った檻に近づく。


 鉄格子を引っ張ると、エルを残して檻が消え、アルファは満足げにうなずき、クルリと振り向いた。


「コア! 君は手元においておくのはもったいないくらい面白い。本当は持って帰りたかったけど、あたしのとこじゃ、コアの可能性を潰しちゃいそうだから、飼えないんだよねぇ」


 ⋯⋯飼う!? 俺を!?


 集めるって⋯⋯そういうこと!?


 ジリ、と後ずさると、アルファはおかしそうに笑い、軽やかに窓枠にとびのった。


「今さらじゃん。たまに見にくるね。⋯⋯他の妖には気をつけてね? コアが妖力を持ってること、少なくとも七柱は知ってると思うからさ」


 ⋯⋯え、七柱が全員知ってるってこと?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ