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12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜  作者: 流暗
12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜 二章
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7話

 ⋯⋯勝手に死んでく? 殺すのは簡単?


 何いってんだ、コイツ。


 人間と妖の戦いに興味がないとかホザいておいて、しっかり殺してんじゃねーか。


 理由も意味もなく、ただイタズラに。


 アルファもまた、討伐対象の妖なんだ。


 妖力の差だとか、ランクだとか、この際気にすることじゃない。

 いつもみたいに、戦えばいいだけだ。


 右手を胸の前で構え、魔力を剣のように変形させたときだった。


「落ちついて落ちついてー。あたしは見たこともない、ワクワクさせてくれるモノを傷つけたくないんだよ。だから、平和的にいこう? これ、なーんだっ?」


 アルファは懐から小さな黒い箱をとり出すと、床にたたきつける。


「なっ⋯⋯!?」


 はね返るような勢いで等身大まで大きくなった箱は、立方体の檻。


 カーテンからもれる、わずかな光を反射する鉄格子の中――猫姿のエルが、四肢を投げ出して倒れていた。


「エルッ!!」


 俺は、ぶつかるようにして鉄格子にとびつく。


「ぃ⋯⋯っ!」

「触っちゃダメだよー。この檻は自信作でねぇ、電流が流れる仕組みと、妖力と魔力を吸いとる能力と、大きさを変えられる魔術具を融合したんだ! 見たほうが理解しやすいよね⋯⋯見ててね、」


 アルファがスッと髪をかき分け、耳に手をあてる。


「っ、ぐぅあぁぁ⋯⋯!」


 エルの体が苦しげにそり、喉からしぼり出すようなうめき声を上げた。


 これが、アルファの能力⋯⋯!


「やめろ!」

「えー? ラムダの妖力、もうちょっと補充したいんだけどなー」

「⋯⋯ラムダって、誰だ」

「え? その妖のことだけど⋯⋯そういえば、エルって呼んでたね? なんで?」

「エルっていう名前だからだ。エルから聞いた」


 アルファも俺も、?を浮かべて動きを止める。


 どっちが偽名だ?

 そもそも、偽名なんて使う理由は?


 ふと、肩で息するエルが視界に入る。


 ⋯⋯そう、だよな。名前なんて、なんだっていいよな。


 俺は、『エル』だか『ラムダ』だか知らないけど、同じ時間を過ごした、相棒だろ。


 だったら、俺のやることは、決まってる!


 目を閉じて、深く息を吸う。


 体中に魔力がめぐるのを感じながら、俺は腰をおとしてアルファを見すえた。


「それ、魔術具ってことは、一定量ずつしか吸えないんだろ。エルの妖力は少なくない。吸い続けても、エルの妖力が空になる前に、俺がお前に勝つ」

「あたしに、勝つ?」


 キョトンと口を小さく動かしたアルファの顔が、みるみるうちに紅潮していく。


 な、なんだ? 怒らせたか⋯⋯?


 ゴクリと暴れる心臓を飲みこむ。


「⋯⋯まじかぁ。その言葉聞いたの、いつぶりだろ。めっっっちゃワクワクしてる⋯⋯!」


 アルファはうっとりと夢見心地でつぶやき、はねるように立ち上がった。


 なんか、表情がイキイキしてないか⋯⋯?

 何? 『勝つ』って言われたらワクワクするの?


 なんだよそれ。七柱最強、チョロすぎね?


 あっけにとられて、フッと一瞬気をぬいたときだった。


 ビュッと風を切る音が耳のそばを通過し、遅れてバキッと木を真ん中からへし折るような音が響いた。


「ねえねえねえねえっ! あたしを倒してみてよ! 勝つんでしょ? 負かすんでしょ!? はい次はい次! いっくよー!!」

「おわぁっ!?」


 ビュビュビュッとアルファが目で追えない速さで腕を振ると、その起動が透明な刃になって部屋中をとび回る。


 なんとか魔力の盾を作って致命傷は避けてるけど、またたく間にあちこちに細かい傷ができる。


 ⋯⋯前言撤回。


 チョロいなんて言って、ごめんなさい。

 手に負えないってこれ⋯⋯!


 防戦一方で、よそ見なんてできないから分かんないけど、盾でそらした刃は俺の背後で、バキッボキッと嫌な音を立てている。壁をたたきわる音だ。


 っていうかそもそも、なんで俺の部屋が戦場なんだよ! 俺が怒られるだろ!


 アルファは妖だ。

 思えば、この山に入ってこられてるところがおかし⋯⋯ん?


 ――「ラムダに妖力を似せてきたのに」


 妖力を、似せる⋯⋯?


 何かが頭の端でキラリと光った気がした。


 そうか。これならもしかして⋯⋯!

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