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12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜  作者: 流暗
12の魂〜トゥエルブ・ズ・コア〜 二章
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5話

 たしかに魔力と妖力を持つ人間は珍しいと思うけど、珍しいモノを集めるって、その後どうするんだ?


 いつかテレビで見た、人間が叫びながら解剖されるシーンが頭に浮かぶ。


 いやいやいや。

 ⋯⋯いやいやいやいやっ。


 まさかぁ。仮に俺がつれていかれたとしても、そこまでしないよな。


 ⋯⋯まぁでも、捕まらないのが一番だな。


「それで、母さんを治すにはどうしたらいい? アルファっていう妖がやったんだろ。倒せばいいのか?」

「仮にそれで解決するとしても、アルファは七柱トップだからねぇ」

「⋯⋯仮に? 違うのか?」

「アルファはモノとモノをかけ合わせる能力を持ってるんだ。コレはたぶん、蚊と魔力を吸う妖力だね。だから、自然回復は期待できない」


 蚊に刺されて、体の中に入った妖力が魔力を吸い続けるから、か。


 回復薬を使ったところで、吸われてばっかりじゃ、気休め程度にしかならない。


 何もできることはないのか?

 俺が原因なのに⋯⋯?


 あまり時間が経つと、本当に、会えなくなるかもしれないのに⋯⋯!


「⋯⋯二つだけ、方法がある。けど、一つは危険すぎるからパス」


 エルは考えこむように顎に当てていた手を外し、虫を手のひらに転がした。


「アルファに、妖力をぬくモノを作らせる」


 淡々と言い放ったエルの声が、かたく反響する。


 シン、と耳を圧迫するような沈黙に不安をあおられ、俺は衝動的に立ち上がった。


 そのまま一歩を踏み出すと同時に、グンッと腕を引っ張られる。


「何」

「何、じゃないでしょ。アルファがどんなヤツかも知らないし、場所だって分からないよね。どうするつもりなの?」

「エルが案内して⋯⋯」

「ダメ。コアは、絶対に行かせない」


 強く揺るがない瞳が、警告するように金色に光る。


 初めて見るエルの拒絶の表情にとまといつつ、俺もはね返すように魔力をこめて見つめる。


 俺の母さんが、俺のせいで危ないんだ。

 行くべきは俺なはずなのに⋯⋯なんでだ?


 俺は行かせないって、エルが一人で行くってことだよな?

 なんなんだよ。今までこんなこと、なかっただろ。


 なんで俺が行っちゃいけないんだよ⋯⋯!


 母さんもエルも⋯⋯また大切な人を失うのは嫌だ。

 俺がいないところで、何も分からないで消えられたくない。


 だから⋯⋯ん? また、って、なんだ?


 母さんもエルも、遠くで働いてる父さんだって、ちゃんと存在してる。


 俺は、誰かを失っことなんてない、はず⋯⋯っ!


 ドクンッと大きく心臓が脈打って、頭がギュッと圧縮されたみたいに痛む。


 エルの顔が残像を残して重なり、平衡感覚を失った俺の体がグラリとかたむいた。


「コアっ⋯⋯! また暴走して⋯⋯っ」


 つかまれたままだった腕をグイッと引かれ、エルに受けとめられる。


「の、あ⋯⋯」


 ノアって、誰だ。何者だ⋯⋯?


 大切な人か、それとも憎むべき敵か。


 少し触れただけで体が異変を起こす、失った昔の記憶は、何を隠そうとしているんだ⋯⋯?


 ほぼボヤけて焦点の合わない視界で、金色の二つの光が俺を捉える。


「LEVEL3、分解(ディサセンブル)。⋯⋯まさ⋯⋯に⋯⋯なる⋯⋯は⋯⋯」


 底なし沼に踏みこんだみたいに、意識と頭痛が遠のく。


 とぎれとぎれのエルの言葉が右から左に流れ、そのまま抵抗なくまぶたを閉じた。

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