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4、夜中の出来事


 『あれ?』真っ暗だった。目が暗闇に馴れてくるに従い、窓辺から淡い月明りがぼんやりと見える。「そうだ!」僕は成績が悪く、居残り特訓をしていたのだ。カメは、ようやく事態が飲み込めた。


「まったく、カメくんは飲み込みが悪いんだから~」


「僕は菜食主義だからぁ」


「そんな事、関係ないでしょ」


先生が呆れていた。


「とにかく、ここからここまで、丸写しでいいからやっときなさい」


先生は、課題を与えてどこかへ行ってしまった。カメは課題をやっているうち、寝てしまっていたのだ。

ハッと気づいたら、夜だった。



 『どうするかな。帰ろうかな』と考えていたら、足音が聞こえた。先生が帰って来たと思ったが、どうも様子がおかしい。足音を忍ばせ、用心深い歩きかただ。

不審者は泥棒と、カメは思った。カメは、カバンからロープを取り出した。



「えい」


カメは泥棒にロープかけた。そして、照明をつけた。


「わっ!、カメええぇぇ~。カメよ、何をする。乱暴はよしなさい」


「あやしい奴、お縄にする」


「僕は怪しい者じゃない。ただ、散歩してただけだ。それより、お前の方が、よほど怪しい。

カメよ、夜の夜中に学校で何をしている。ひょっとして、同業者?」


「そんなわけないだろう~。夜の夜中に散歩・・・・黒い服で、黒いズボンで、黒い帽子で、黒いマスクで、黒い手袋で・・・・ふふふふ、観念したまえ」


「ひえええぇぇ~」


カメは泥棒をエビぞりに縛りあげた。得意の『亀甲(きっこう)(しば)り』だ。

カメはケイタイを取り出すと、警察に通報した。




赤色灯を回転させ、サイレンを流しながらパトカーが来た。

制服の警察官が、ドヤドヤと入ってきた。


「あっ、カメええぇぇ~」


「確保―」


「カメえ確保おおぉ~」


「何すんですか、僕は怪しい者じゃない」


「カメが怪しくなくて、何が怪しいと言うんじゃー」


別の警官は、エビぞりの泥棒に駆け寄った。


「被害者確保~」


「大丈夫ですか。ケガはないですか。今、縄を(ほど)きますからね。・・・・ん~、くそ、解けない」


「ん、ん、ん・・・・」


ここで、警官たちは、ふと疑問が湧いた。カメは、怪しい以外の何者でもない。しかし、この被害者と(もく)される男・・・・、泥棒そのものだ。




「何してるんだい。騒々しいな~。えっ、ええぇ~」


宿直の助皮(すけがわ)先生が来た。寝ていたらしい。

警官たち、カメ、エビぞりの男。

助皮先生は、悪い夢を見てるのかと思った。


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