お説教
今回少し短めです。
海中で桃井さんが意外と追い詰められていたり、海中で服を引きちぎるのが意外と大変だったり、憧れのピュアチェリーに抱えられたことで昇天しかけたりと色々あったが、無事に化け物はピュアチェリーによって倒された。
倒されたのはいいのだが、陸に上がった俺を待っていたのは桃井さん――ピュアチェリーの救援に来ていたマジピュアの方々からのお説教だった。
「バカですね。バカじゃないですか? ああ、バカなんですね」
「はい……」
「チェリーさんがディストーンを倒してくれたからよかったものの、下手したら人質にされて更に状況が悪化していたかもしれないんですよ? 応援してくれるのはありがたく思いますが、人の心配をする前に自分の身を守っていただけませんか?」
「はい、すいませんでした」
ぐうの音も出ないほどの正論を容赦なく俺にぶつけているのはピュアスカイだ。
ややつり目な瞳と名前の通り空色のサイドテールが可愛らしく揺れる紛れもない美少女である。
説教をしていることからも分かる通り、彼女はよく俺のようなマジピュアの戦いを近くで観戦しようとしている人たちには厳しく注意してくる。
だが、それは俺たちの安否を心配してのことであることはファンの間では有名な話だ。
だからこそ、ファンたちの中で観戦する時には安全圏でという約束がされたのだが、今日の俺の行動は明らかにそれを逸脱したものだった。
怒られてもなんの文句も言えない。
「ス、スカイちゃん。それくらいにしてあげてくれない?」
「チェリーさんが甘いからこの人みたいな人たちがつけあがるんです。被害が出てからでは遅いんですよ」
「うん、そうだね……」
わあ、桃井さんあっさりと言いくるめられてる。
しかし、マジピュア同士の会話をこんな至近距離で聞けるなんてどういうご褒美?
幸せ過ぎて耳が死ぬんだが。
「とにかく、今後はこういう行動は控えてください。いいですね?」
「はい!」
「全く、いつも返事だけはいいんですから……」
そう言うと、ピュアスカイはチェリー――桃井さんに一言声をかけてどこかへ姿を消した。
「もうやること無いならアタシも帰るけど、いいんですかー?」
気だるげな表情でチェリーに話しかけたのはピュアトワイライトだ。
黄金色に輝くツインテールが特徴的な彼女も、マジピュアの一人である。
「ああ、うん。トワちゃんもわざわざ来てくれてごめんね」
「別にいいですよー。勿論、これも一応出勤扱いにしてもらえるんですよね?」
「うん。それで大丈夫」
「どうもでーす」
そう言うと、ピュアトワイライトもまた何処かへ姿を消していった。
そして、その場に残ったのは俺とピュアチェリーこと桃井さんだけの二人だ。
「ご迷惑おかけして申し訳ありませんでした! あ、今日も滅茶苦茶可愛かったです! それじゃ、俺もこれで!」
ピュアチェリーが何かを言う前に、先に頭を下げ、背を向けてその場を後にする。
これからもずっと傍で応援し続ける。
俺はただそれだけを伝えたかった。
伝わったかは分からないが、桃井さんにいつか伝わればいいなと思う。
それよりなにより……。
「さっきまであのピュアチェリーに抱えられてたんだよな? ひょっほい! 暫くはこの身体洗えないぜ!!」
ウッキウキでスキップしていたが、途中で佐渡島先輩に捕まり、塩だらけのお前を車に乗せるわけにはいかないと言われ、無理矢理シャワーをかけられた。
ついでに油性ペンで書いた背中のマークも消えるまで入念に洗われた。
くそっ……!!
佐渡島先輩め……色々と手伝って下さり、本当にありがとうございます!!!
ここまで読んで下さり、ありがとうございます!




