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2話 【ユリウスside】無能を追放してせいせいしたぜ!

 黒き炎。最近Bランクに昇格した、新進気鋭の冒険者パーティである。


 リーダーである、魔法剣士のユリウス。攻撃魔法使いのリサ。槍士のルフレ。斧使いのガレン。弓士のシオン。


 ここに支援魔法士のロイを含め、かつては6人パーティだった。数日前にロイが追放されたため、今は一時的に5人パーティとなっている。ユリウスは、近いうちに新しいメンバーを勧誘するつもりであった。


 ユリウス、リサ、ルフレ、ガレン。彼ら4人は、懇意にしているジョネス商会と打ち合わせをしているところだ。シオンは2週間ほど前から一時的に別行動をとっている。近いうちに合流予定だ。


「……さて。次の依頼の打ち合わせはこのあたりでいいじゃろう。しっかりと護衛を頼むぞ」

「もちろんです。お任せください」


 初老の男性であるジョネス商会長の言葉に、ユリウスは力強くうなずく。自信に満ちた態度だ。


「ところで、ユリウス君。最近の調子はどうじゃね?」

「気分は絶好調ですよ。あの無能のDランクを追放したことですしね」

「ああ。あの無能君か」

「ええ。本当に役に立たない男でした。支援魔法とは名ばかり。ただ後方で突っ立っているだけで何もしない男でした」


 ユリウスがロイをそう評する。


 実際には、ロイは彼らに対して10を超える支援魔法を狩りの間ずっとかけ続けていた。また、強い魔物との戦闘時には、強化ポイントを絞ったより強力な支援魔法を重ねがけすることもあった。ロイの貢献と負担はかなりのものであったが、それにユリウスたちは気づいていない。


「そんなやつがいると、パーティ全体の士気にもかかわることじゃろう」

「そうですね。やつを追放したことで、みんなの士気も向上するでしょう。なあ、みんな?」


 ユリウスは上機嫌で、パーティメンバーに話を振る。


「ええ。無能がいなくなってせいせいしましたわ」

「その通りですね。足手まといがいなくなり、やっと自分の力を発揮できるというもの」

「見るだけで人を不快にさせる軟弱な男であった! 誤差レベルの支援魔法を使うだけで仕事をした気になっておる、図々しい男だった!」


 ユリウスの言葉を受け、リサ、ルフレ、ガレンが口々にそう言う。


「ふうむ。あの無能君は散々な言われようじゃの」

「ははは。それだけ足を引っ張っていたということです」


 ユリウスがにこやかに笑う。


「まあ、無能君の話はいい。今回の隊商には、かなりの利益がかかっている。我がジョネス商会をもっと大きくするチャンスなのじゃ。しっかり頼むぞ」


 ジョネス商会長は、真剣な目でユリウスを見る。


「任せてください。あの足手まといもいなくなりましたし、今度の護衛任務はより万全になるでしょう」

「信頼しておるぞ。……そうじゃ。さらに盤石にするために、代わりの支援魔法士を斡旋しておこうか。ちょうどいい人材のあてがある」

「おお。それはありがたい。楽しみです」


 ジョネス商会長がわざわざ紹介してくれるほどの支援魔法士。これは期待できそうだとユリウスは感じ、期待に胸を膨らませる。


 はたして新たな支援魔法士は、ロイ以上に有能なのか。そして、ユリウスたち”黒き炎”は無事に護衛としての任務を全うできるのかどうか。彼らがその答えを知るのは、少し後のこととなる。

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