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【すっぴん】のフィルナ  作者: さいぼ
第三章 真実への旅
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第九十六話 屋敷での生活初日

「おいっしー! なにこれ! すごい!」


「これは……すごいです」


「ロザリィさんが料理担当に推された理由がわかりました」


 最初だから、張り切って料理したらめちゃくちゃ喜んでくれて、私も満足だよ。


「だろ? アタイは毎日フィルナの味噌汁が食いたいんだ」


 またそんなことを……。照れるから!


「だから、仕事奪っちゃダメだってば」


「ええー! もう食べられないんですかぁ……」


 メアリーまで……もうっ。


「フィルナさん、ミソシル……ですか? これだけでも……」


 おっと。メアリーを諌める側だと思ってたアリシアまでそんなことを言い出したよ。


「わかったよ……味噌汁だけね?」


「わかりました。それ以外は私達で分担して用意しますので」


 カティさんも言わなかっただけだったみたい。

 でも、そうなるとミソの在庫が足りなくなりそうだね。


「これは本格的にミソ作りに手を出さないとダメだね」


「そういや陛下からレシピを教えて貰えるって話だったな。もう聞いたのか?」


「ううん、まだだよ。でも明後日また帝宮でギルドマスターと会う予定だからそのついでに聞いてこようか」


 そこで推薦状を受け取るってことになってるんだよね。



「へ、陛下への用事がついでだって……」

「帝宮でギルドマスターに会うのだって凄いことなのに……」


 メアリーとアリシアがこそこそと話してるけど、聞こえてるからね。


「ミソとは自作できるものなのですか?」


「うん。そう聞いてるよ。ただ、時間かかるものらしいからお願いすることになるかもだけど」


「はい、そういったことはどんどんお申し付けください」


「どんどん……って、さすがに申し訳ないかなー」


「それがあたし達の仕事ですから!」


 なんか、これまでほとんど自分たちでやってきたから、自分でできることをやってもらうってことに慣れないね。

 知らないことを聞いたりするのは平気なんだけどなぁ。


「これもそのうち慣れるかな?」


「大丈夫です! 任せてください!」


「私達は帝宮で働いていたメイドですから」


「そうだね。頼もしい仲間が増えたみたいで嬉しいよ」


「仲間……ですか?」


「これから一緒に住むんだ。似たようなものだろ?」


「えへへ……」


「嬉しいです……」


 あれ? ちょっと予想外の反応。


「どうしたの?」


「いえ、帝宮ではメイドはメイド。陛下を始め、住む方々とは違うものだと思っていましたので……」


「あー、確かに偉い人ばっかりだもんね」


「フィ、フィルナさんたちもそうですよ……?」


「そんなことないよ。役職は付いたけど、一般人のつもりだから」


「だから私達と対等に話そうとされているのですね」


「そういうこと。あんまり敬われても困るかな?」


「わかりました。ではまず、私のことも“カティ”とお呼びください。お屋敷のご主人様がさん付けではこの子達も呼ぶわけにはいきませんので」


「そっか。そうだね。わかったよ、カティ」


「そうやって希望を言ってくれるとアタイらも助かるよ。そういうのわからないからな」


 うんうん。ほんとそうだよね。


「では、一つよろしいですか?」


「なに?」


「明後日、帝宮に行かれるということでしたが、私も同行させて頂けますか?」


「構わないけど、どうしたの?」


「現状、私達は帝宮付きのメイドとなっていますが、正式にこちらのメイドに移らせて頂こうと思います」


「あっ、あたしも!」


「私もです!」


「えっ? それは嬉しいけど……いいの? お給料は陛下から出てるんでしょ? そっちの方が高いんじゃない?」


「フィルナさんの考えに感銘を受けましたので。給料の良し悪しより、フィルナさんの元で働きたいと思いました」


「そのままでも別に変わらないんじゃないか?」


「いえ、もし交代だと言われてしまえば私達は従うしかありませんから」


「そうなんだ……。確かにそれは困るなぁ。会ったばかりだけど、カティ達と一緒に過ごしたいって思っちゃってるし」


「ええ、私も同じです。ですから、その為の手続きをしに行こうと思います」


「わかった。じゃあ、みんなで行こう」


「「はいっ!」」



 そして、食事を終えて食器を片していると、庭に待機させていたウルが外から呼んでるのが聞こえた。


(あるじ)、客だ》


「ん? お客さん?」


 この屋敷は鉄柵の門から玄関までが遠いからね。普通は門衛さんを配置するらしいんだけど、私にはウルがいたから番犬──もとい番フェンリルしてもらったの。


「例の寝具の配達でしょう。寝室はお決まりですか?」


「うん。東側の角部屋にするよ」


「わかりました。私が出ますので、そちらでお待ちください」


「わかった。配置を指示すればいいんだね」


 私が返事をすると、カティが対応に出てくれた。


「それじゃメアリー、後お願いね」


「はーい」


 後片付けをメアリーに任せてロザリィとアリシアを連れて寝室にする予定の部屋へ向かう。


 玄関は屋敷の北側の真ん中。入ってすぐがホールになってて、東西と南に廊下が続いてる。

 今いた食堂と厨房は南側の廊下を挟んで両側にそれぞれあるよ。


 だから寝室に行くには玄関ホールを通るんだけど、チラッと見たら、なんか凄い荷馬車が来てた。


 廊下を右に曲がって一番奥。

 両側に部屋があって、右側を寝室にするつもり。向かい側がメイド三人の部屋になってるっていうのもあったしね。


 ちなみに、お風呂は西側の廊下の奥から南側に曲がったところにあるよ。



「配置って言っても、真ん中に置くだけかな」


 ロザリィだけが知ってて陛下が手配したってことは、届くベッドは一つだよね。間違いなく。


「え? お二人の寝具ですよね?」


「窓側は朝日が眩しそうだしな」


「えっ? えっ?」


 否定しないロザリィにアリシアが困惑してるよ。



「失礼します。ここで組み立てを行うとのことですが、入れてもよろしいですか?」


 組み立てって、ドア通らないってこと? ここのドア結構大きいよ?


「それはそうしないとダメなんだろうから構わないよ」


 入ってきたガタイのいい職人さん達に配置を指示して食堂に戻った。そのままいても邪魔だろうしね。



「寝室以外に寛ぐ部屋が欲しいねー。ソファーとか今度探しに行こうか」


「それはいいな。そういや、このテーブルとかは元々あったのか?」


「いえ、ここと厨房の設備、そして私達の寝具は陛下が用意してくださいました」


「じゃあ、本当に何もない空き家だったんだ」


「そうなんですよ。残ってたのはお風呂の魔道具くらいで」


「ああ、あれは外しようがなかったな」


 私はまだ見てないけど、ロザリィは食事前に確認したんだったね。


「なるほど。やっぱりお風呂も広い?」


「めちゃくちゃ広いですよ!」


「三人で使うのが申し訳なかったです」


「なら、今日からはみんなで入ろう!」


「えっ、いえ、メアリーとアリシアはお世話をさせて頂きますが、入るのは別でも……」


「いいって。気にしない気にしない」


「アタイの髪を洗うのはフィルナだしな」


「なんならみんなの髪も洗っちゃうよー?」


「ちょ、ちょっと、さすがにそれは……」


「ご飯作るのはいいのに?」


「フィルナに洗ってもらうと髪も綺麗になるぞ」


「ズルいですぅー」


「気になってしまいます……」


「はぁ……あまり仕事を取らないでくださいね」


 そう言いつつも、カティも興味津々だね。洗ってもらう気になってるのがわかるもん。

 やっぱり女性は綺麗になるって言われたら抗えないよね。


「よーし、張り切っちゃうよ」


 そんな話をしていたら、ベッドが出来上がって職人さんが呼びにきた。

 代金も全部陛下持ちだったらしくて、私が配置を確認したらそのまま帰っていったよ。


「これまたすごいのを……」


 天幕っていうの? ベッドの周りにカーテンが付いてる巨大なベッド。絶対本体の素材もいいものだよね。


「どうだ? 陛下がお薦めというからこれにしたんだけど」


 なるほど、今度陛下と話すことが増えたよ。


「ゆっくり寝られそうだね。フカフカだし」


 余計なことには触れないよ?


「これって夫婦用?」

「シッ、メアリーは黙ってて」

「だって気になるじゃん」

「それは……そうだけど……」


 触れないからね?

お読みいただきありがとうございます。


次回、屋敷での生活初日 夜

そのまま続きます。

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