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【すっぴん】のフィルナ  作者: さいぼ
第三章 真実への旅
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第七十六話 皇帝の依頼

 皇帝の間には宰相さんも戻ってきてた。

 四人全員がさっきの位置に戻ったことになるね。

 豪華な机に座る皇帝陛下にその隣に立つ宰相さん。その机を挟んだ先の椅子に私とロザリィが座ってるよ。


「おお、宰相。さっきの査定額は出たか?」


「ええ。とても良い状態でしたので金貨3000枚が妥当でしょう」


「そうか、用意しろ」


「は?」


「フィルナには別のことを頼むことにした。だからあのオーガは帝国として買い取る」


「陛下……まさか……」


「いいから用意してこい」


 ええ……あの反応、面倒なやつだよね?


「わ、わかりました。あの……フィルナ様、断って頂いても大丈夫ですからね」


 絶対面倒なやつだ!


 宰相さんはそれだけ言い残して部屋を出て行った。


「もうすでに聞きたくないんだけど」


 怒られないみたいだからもういつもの話し方。

 始めはタイクーンでフィーアさんに言われてこう喋ってたんだけど、今じゃ慣れちゃって丁寧な方が疲れるよ。


「まぁ、そう言わずに聞いてくれ。割と本気で困ってるんだ」


 皇帝陛下もかなり砕けて話してる。こっちが素なのかな?


「……わかりましたよ。私に出来ることなら……でいいですか?」


「おそらく……問題の解決なら割と簡単だ。できれば原因も探って欲しいんだよ」


「問題? 見た感じ何かあるようには……ねぇ、ロザリィ」


「そうだな……うーん、もしかして陛下が周りに人を置いてないのと関係あるのか?」


 あ、それは思った。だけど、皇帝陛下が強いからじゃないのかな?


「よく気付いたな。まさにそれだ」


 ロザリィの方が合ってたみたい。


「どういうこと? スパイでもいるとか?」


「まぁ、似たようなもんだ。フィルナ、お前は《悪魔憑き》って知ってるか?」


「ええと、亡霊(ゴースト)に取り憑かれた人のこと、だっけ? 私はまだ見たことないけど」


 そもそも本当にいるのかも怪しいよ。話を聞いたのがオババじゃなかったら信じてなかったかも。


「そんなのがいるんだな」


「人には魂があって、死んだらそれが別の人として生まれ変わる、って言うのが教会の教えなんだけど……」


「ああ、アタイみたいに朧げに覚えてたりするのがそうなのかな」


「普通は何も覚えてないんだけどな。で、だ。その生まれ変わるはずの魂がなんらかの理由で残ってしまったのが亡霊(ゴースト)ってわけだ」


「それに憑かれたやつがいるってのか?」


「ああ。おそらくこの帝宮にいるほとんどのやつが憑かれている」


「えっ? ほとんど!?」


 あのメイドさんとかの雰囲気が普通じゃなかった理由ってそれなの?


「最近はそんなに人死も出ていない。例のオルフェの内乱ですら死者は出さずに済んでる。なのにこれだけの数の亡霊(ゴースト)がいて取り憑いているんだ」


「帝都の人達は!?」


「わからねぇ。だが、帝宮だけじゃないと考えるのが妥当だろう」


「さっき言っていた問題の解決なら簡単だっていうのは?」


「《悪魔憑き》は『浄化』で祓うことができるんだよ」


 こっちが本来の使い方らしいんだけど、亡霊(ゴースト)を見たことがない私にとっては身を綺麗にする魔法なんだよね。

 さっきそれで見せたから私に依頼してきたんだね。


「そういうことだ。《悪魔憑き》は憑かれたやつの性格が変わるとかいうことはないらしい。ただ、明らかに様子が変になる」


「あ、亡霊(ゴースト)に乗っ取られるとかじゃないんだ?」


「メイドとかは別に仕事してないわけじゃなかったろ? だから【神官】にも頼まずに様子を見てたんだが、さすがに数が増えすぎてな」


 確かに。ちゃんと仕事はしてたね。


「それって原因を見つけるの無理じゃないかなぁ」


「最悪『浄化』さえしてくれりゃあいい。そもそも原因があるのかもわからん。亡霊(ゴースト)のことは何もわかってないんだからな」


 それを解決させようなんて……無茶振りにも程があるよ。


「うーん……とりあえず『浄化』して、それでもまだ《悪魔憑き》が出るようなら何か原因があるって判断でいいかな?」


 何もなければそれで解決……だよね?


「まぁ、それが手っ取り早いか。だが、街中見て回るのも一苦労だろうがな」


「あ、それはたぶん大丈夫。帝都ごと一気にやっちゃうよ」


「は?」


「帝都を一望できそうなあっちの上の部屋に入ってもいいかな?」


 帝宮には離れに五階建ての小さな塔みたいな建物があって、その最上階なら帝都中を見渡せるはず。


「俺と一緒になら構わないぞ」


 皇帝陛下直々に案内してもらってその建物に入った。



「ここって、後宮なの?」


「元々はな。俺は妃を貰ってもここに入れる気がないから妾の女達を住まわせてるんだ」


 理想は戦うお嫁さんだもんね。ここにいたらせっかくの腕が鈍りそうだよ。


「お妾さんも憑かれてるんだね」


 各階にいる女の人達みんな、どこか焦点が合わない目をしてたよ。それでいて皇帝陛下にはきちんと頭を下げていた。


「ああ。彼女たちも始めは憑かれていなかった。彼女たちが憑かれたというのも頼んだ理由の一つだ」


 大切な人たちなんだね。そういう感情が伝わってきたよ。

 うん、なんとかしてあげたい。


「今、憑かれてないのは?」


「俺と宰相、あとさっきの解体班もだな。それ以外に数人。全員男だな。帝宮で憑かれたのは男女両方だが女の方が多い。その辺も何か関係があるのかもしれないから覚えておいてくれ」


「わかった」


 そして、最上階に着いた。



「それで、どうするつもりだ?」


「『浄化』を帝都全体にまとめて掛けるよ。んー……『浄化』自体はイマイチイメージできないから……魔法の範囲を広げるイメージだけして……」


「そんなこと可能なのか?」


 まぁ、本来神聖魔法は単体に掛けるもので範囲を広げたりはできないんだけど、私には『自在魔法』がある。


「まぁ、初めてだけどやってみる。さっきのイメージで……いけるはず。『浄化』!!」


 私が魔法を唱えた瞬間──神聖魔法独特の青白い光が帝都を包んだ。

お読みいただきありがとうございます。


次回、悪魔憑き。

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