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【すっぴん】のフィルナ  作者: さいぼ
第二章 帰郷
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第三十七話 プロテア到着

 橋を渡って更に南へ。またすぐ魔物がいるからセルイドさん以外は荷馬車を降りて歩いてるよ。



「そういえば、ユーヤ達っていくつなの? 20には見えないけど、成人してるんだよね?」


 ゾーイを見た時から思ってた。若い。


「あー、この国は成人20歳からだもんね」


「ってことはクイナ達は他の国から来たんだ?」


「はい。北のルガーって国わかりますか?」


「んー、地図的な意味だけなら」


「ルガーはまだ15で成人なんだ。もうじきここに倣って20になるみたいだけどな」


「どーりで! 若いと思ったよ! ってことは、まだみんな15?」


「あたしとゾーイが15で他のみんなが16。あたしが成人するの待っててくれたんだよ」


「あ、だからか。ユーヤとツカサの連携が特に上手いと思ったんだ」


「待ってる間はずっと訓練してたからな」


「冒険者登録もせずに待っててくれたんだよ。かわいいでしょ?」


「ふふっ。そうだね」


「ばっ! バカ! なに言ってんだ!」


「まぁ、言い出したのはユーヤだな」


「うん。初めてはみんなで体験したい、だったよね?」


「うわー、ユーヤのえっち」


「なんでだよ!?」


「あたしは初めてが四人でなんてヤだよ?」


「? なんのことだ?」


「はわ、ななな、なんでしょうね?」


「ほほう。ウェマはむっつり」


「ぴゃー! フィルナやめて!」


「あたしも初めて知ったよ。フィルナってばすごい」


「フフフ、『交渉術』スキルを持つ私に任せなさい」


「アカン。フィルナさん、それはアカンスキルやで。ワイから買うときは定価で頼むわー」


「あはははは」



「フィルナ……って、なんでそんなにスキル持ってんだ?」


 呼び捨てで照れててユーヤくん可愛いよ。


「あー、私、女神様の加護貰ってるんだ。それのおかげか【すっぴん】がそうなのかはわかんないけど、普通よりスキル習得が早いみたい」


 これは正直早すぎるとは思ってた。

 ただなんとなく習得が早いのは【すっぴん】の特性な気がするんだよね。


 加護の内容はステータス補助とスキルの進化もしくは派生だと予想してる。

 今のところそれ以外のことは起きてないしね。


 たぶん、【すっぴん】と加護が物凄い相乗効果を生み出してるんだと思う。

 そして、それが私の自信に繋がってる。



「あれ? どうしたの?」


 みんなの反応がない。


「あれ? じゃないわよ! そんなこと教えてよかったの!?」


「ふふっ。だから仲良くなったら、って言ったでしょ?」


 この三日でかなり打ち解けたしね。


「ありがとう。嬉しいです」


「誰にも言わんから安心してやー」


「うん。お願い。といっても一部はもう職業(ジョブ)の情報としてギルドに上げてるんだけどね」


 実は以前アルさんに伝えた情報で、職業(ジョブ)の固有スキルの詳細を見る方法っていうのが実際に確認されて結構な報酬貰ったんだよね。


「【すっぴん】ってすごいんだな」


「んー、どうだろうね。レベル100超えるまではステータス全部1だからなぁ。ずっと魔力枯渇状態って言えばどんなに大変かわかるかな?」


「え、ちょ。えっ?」


「あー! もー! どっから驚けばいいんだ?」


「レベル100って……? 最大って65ですよね?」


「【すっぴん】は固有スキルで上限がないんだよ」


「ち、ちなみにフィルナは今レベルいくつ?」


「えーっと……ちょっと待って。さっきも結構上がったから……【ステータス】……おー、500超えたよ」


 500でも何もなし。やっぱり次のステータス解放は1000かな?


「ごひゃっ!? ひぇっ」


「さっきのって……あのグラスウルフでか?」


「結構って、まだレベル10だった俺だってあれだけ倒して2しか上がんなかったぞ?」


「【すっぴん】はずーっと必要経験値が増えないんだよ」


「ってことは……確か【すっぴん】ってレベル2になるのに100必要だったよね?」


「そう。だから動けるんなら一気にレベル上がるんだよ」


「あ、さっき言っていた魔力枯渇状態っていうのが……」


「そう。わかる? あの辛さ。と言っても、私は儀式やって加護貰うまでのちょっとの間だけだったけど」


「あたしは何度かある。そっかー、普通の【すっぴん】はアレがずっと続くんだね」



「あ、セルイドさんそろそろ止まって。もうすぐ魔物がいるとこに着くよ」


「ほいな。そんじゃ、護衛任せたで」


「「おうっ!」」


 ユーヤとツカサは元気に返事して駆け出した。


「それじゃ、私たちはさっきとおんなじ感じで」


「「うんっ!」」


 私もクイナとウェマと一緒に駆け出す。





「ふーっ! ここを抜けたらもう安心だね」


「いやーあんさんら強いなー。こない簡単に進めたの初めてかもしれんわ」


「いやぁ……それほどでも……」


「ユーヤ、お世辞お世辞」


「えっ?」


「初めてとは言ってないでしょ?」


「あっはっは、フィルナさんバラしちゃアカンわぁ」


「えぇ……なんでわざわざ……」


「慢心するな、ってことでしょ?」


「そっちの嬢ちゃんはわかっとるなー。そや。このクエストはDランク。まだまだ駆け出しがやる依頼っちゅーことや」


 まさかセルイドさんに諭されるとは思ってなかったよ。


 そうだよね。弱い魔物倒して満足してるだけじゃアカツキには追いつけないよね。


「ははっ、私もまだまだだ」


 身が引き締まる思いだよ。



「ほな、行きまっせー」


 また荷馬車が進み始める。



「あ、そうだ。ユーヤ達がこの国に来た理由って何? って聞こうと思ってたんだった」


「『夕暮れの空』の生まれた国を見たかったんだ。この国で出会って結成したって聞いたからな」


「なるほど。それじゃ、プロテアの後も国は出ないんだ?」


「ああ。国の中を全部回ろうってな。みんなで決めたんだ」


「それが済んだら次はジパンへ! ってね」


「おーいいね! 私もジパンは行ってみようと思ってるんだ。もしかしたらいつかそこでまた会ったりしてね」


「あー……やっぱりこのあとお別れ?」


「私も行くとこあるしね。このまま国を出るんだ」


「そうなのか……」


「あーあ、あの時ユーヤがパーティ拒否らなかったらねぇ」


 あ、これはクイナ気付いちゃった?


「いや、俺もそうだった。ユーヤだけが悪いわけじゃない」


 ツカサは全く気付いてないね。

 ていうか、この子はそのままの君でいて、って感じ。



 それから四日後のお昼過ぎ、私たちは無事にプロテアへと辿り着いた。

お読みいただきありがとうございます。


次回、思いがけない再会。

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