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普通の作品

とある吸血鬼と栄養の話

作者: 豊科奈義

吸血鬼物読んでて、ずっと思ってたことです

ちょっぴりふくよかな吸血鬼の少女はひょんなことから、異世界での医療知識を持つ男性と接触した。


「で、何のようですか? 眠いんですよ。私は」


 少女は、半開きの瞼を擦りながら気怠げに医者に言った。


「そうだね。僕も初めて吸血鬼と出会って色々と思うところがあるんだ」


「はぁ」


 少女は無気力と言った感じで、明らかに聞く耳を持っていない。


「君は、日光に浴びているかい?」


「浴びるわけないじゃないですか。肌がジリジリして痛いんですよ」


 吸血鬼が日光に弱いのはこの世界では最早常識であった。

 少女は、無知を晒す医者に呆れながら答えた。


「そうか。……冬季うつ病だね?」


「は? 今夏ですよ?」


 少女は、冬季うつ病なんて言葉を聞いたことがなかった。どんな病気なのかも予測がつかない。だが、冬季という言葉を聞いて冬に発症するということだけは即座に理解できた。

 この医者は何を言っているんだと少女は思いつつ、若干苛立ちながら指摘した。


「日光を浴びないと、セロトニンの合成速度が鈍って色んなところに影響をきたしやすい。例えば、眠くなりやすい。無気力になったり、自己嫌悪に陥ったり。過食になり、糖分や炭水化物を欲しやすい」


「そうなんですね、吸血鬼って自殺未遂多いんですよ」


 少女は思い当たることがあり、納得しながら同族の事情を語る。


「……死ねるの?」


「不死身なので死ねないです」


「……つまり、君の体はまさに冬季うつ病そのものなんだ」


「つまり? 吸血鬼に日光に浴びろと?」


「いや、できないんでしょう?」


「だったらどうするんです?」


「正確には、トリプトファンという必須アミノ酸から合成されるセロトニンの合成速度が鈍るんだ。つまり、トリプトファンを多く摂取すればいい」


「なるほど! 食べ物に含まれてます?」


「そうだね、大豆や乳製品、米とか。他にはゴマ、落花生、卵、バナナなんかに多いよ。でも、動物性食品に含まれるBCAAって物質にはトリプトファンの吸収を阻害する働きがあるんだ」


「つまり、肉を食べなければいいんですか……。血の代わりに嗜むこともあるんですけど残念です」


「実は、BCAAもまた必須アミノ酸なんだ。筋肉にとって重要なアミノ酸だから摂取したほうがいいと思うよ?」


「八方塞がりじゃないですか!」


「いや、そうでもない。ビタミンB6やB12には、セロトニンの合成を助ける働きがあるんだ」


「つまりは栄養バランスよく食べろってことですね。勉強になりました」


「こちらこそ、色んな話をありがとう」


 その後、少女が持ち帰った話によって吸血鬼全体の冬季うつ病が激減。幸せに暮らしましたとさ。

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