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第16話 縦ロールの呼び出し

ネテミです(^^♪

プチ日常パートです!

次回裏辻パイセンが登場します!

月曜日

聞く人によれば猛烈な拒否反応を催してしまうほどのキラーワードだが、残念な事に、決まった周期で平等に訪れてしまうのだった‥‥。


俺、楠木楽にとっても同様に―――。

あの日、先輩の家にお邪魔してから週末を挟み、今に至る。俺は休日もショックが抜けきれず、死んだように過ごした。そもそも俺は元来人見知りなのだ―――先輩がいったような享楽的で、自由奔放に生きようと思っては見たものの‥‥怒られたときの、あの精神的なダメージというのはいつになっても慣れないのだ。

それは勿論、最初から上手く行くとは思っていなかったが、ここまで最悪なスタート(あるいは、修復不可能なゴール)だとも思っていなかったのである―――


しかし学生のさがである、月曜日と一緒に学校が始まり、律儀に制服に着替え、全身全霊の気力を振り絞り家を出たのだ。

そしてこの教室にたどり着いた。やはりと言うべきか、既に来ていた葵や檜も同じような顔をしていた―――


―――あの後、道中慰め会のようにお互いを鼓舞して帰路についたのが懐かしい‥‥。

あの時はそうでもしなければ、あまりの落ち込みで、二度と浮き上がれなくなりそうだったからだ。

幼馴染達には俺も先輩も助けられている―――。

そのかいあって、テンションも少しずつ回復してきた。こうやって登校出来るくらいには‥‥。


更にホームルーム前に葵達が俺の机まで様子を見に来てくれた。心配そうな顔をしていたが、俺の顔色を見て、幾分安心したようだった。


「高城先輩の家に行って以来連絡してなかったけど、大丈夫そうだな」

「雅ちゃんもまだいるよね?」

俺はまずまずだと、伝えると先輩は葵のタブレットに『いるぞう』と簡易的に書き記した。

心なしかテンション低そうだ。


「今回は失敗しちまったけどよ、絶対上手く行く方法があるはずだぜ。諦めんなよ。お前が諦めたら高城先輩がまじで可愛そうだからな」

「この間の帰りでも言ったけど、どっかで衝突はしちゃうって‥‥。しょうがないよ、切り替えて次はもっと上手くやればいいんだよ!だって雅ちゃんの気持ちは間違いなんかじゃないんだから」

『檜、葵ありがとう。私もっと頑張るよ』

俺もそうだが何より先輩の事を皆心配していた。それもそうだろう―――言いたい事や伝えたい事など比喩では無い程に山ほどあるだろうに‥‥。それが何一つ言葉に出来ず、気づかれもしないのだ。

先輩がどれだけショックを受けたかは想像に難くない。―――だけど‥‥それでも嬉しいよと言ってくれたのだ。

確かに俺も凹んだけれど、あの言葉を言われて、いつまでも腐っていられないと思った。


「完全に復活したとは言えないけど、それでも諦めることはしないつもりだから―――それだけは安心してくれ!

また、お前達の力を借りるからその時はよろしく頼む」と、俺は言った。

「おう、任せとけ!何でも言えよな」

「そんなこと言って前回檜、なんかの役にたってたかなぁ?」

すかさず葵が煽る。本当に仲良しである。


「ばかやろう!俺がいる事で少しでも高城先輩の心の支えになったりするだろう⁉いざという時一人でも仲間が多いほうがいいんだよ」

『別にそうでもないぞ、檜』先輩はタブレットを器用に使いこなした。

「高城先輩⁉最近俺へのツッコミ激しく無いっすか⁉」

幽霊とのコミュニケーションも抜群である。よくよく考えたらここまで円滑に、先輩の事を飲み込めてる事自体が珍しいのだ。

幽霊の存在を信じてる高校生など、もしかしたら俺達くらいなものじゃないか?


「もうさ雅ちゃんや雅ちゃんのお父さんお母さんしか、知るはずの無い事を話すとかはどうかなぁ?

そうすれば、認めざるを得ないと思うんだよねぇ」と、葵は言った。

「ああ、確かにそうだぜ楽。葵にしては良い考えだ!これなら、高城先輩の言葉を伝えられるじゃねえか」

「確かにいい考えだけど‥‥例えばどんな事を?」俺は先輩を確認しながら言った。しばらく先輩は「うんうん」と悩んでいた。やがてタブレットに文字が映し出された。

『私の部屋のタンスの中にある下着の配置とかかな?

後は、本棚に置いてある本のタイトルとか、お母さんとお父さんに今まであげた誕生日プレゼントとか、お母さんやお父さんの独特な癖とかかな』

「それいいねぇ!この際全部採用しようよ。まず、楽と雅ちゃんがお家に行くでしょ。そしたら、今のやつを全部答えてみるのがいいよ!」

「ちょっと待て。癖や本のタイトルくらいなら良いけど、下着は流石に変態っぽくないか?当たっても外れても損しかしないだろう!!」

「確かにそうだが、その方が信憑性が増すだろう?やってみる価値はあるんじゃないのか?」

「犯罪性も増してるだろ!それに‥‥何故だが分からないんだけど―――それだけじゃ駄目な気がするんだ―――

この間、おばさんとても怒ってたし‥‥それ以上に傷ついてた‥‥。

俺はそこら辺を上手く分かってなかったんだ―――ただ伝えれば、いい訳じゃなかった。

まずはおばさんが俺達の話を聞いてくれる状況を作らなきゃいけない―――。そうじゃなきゃまた、同じ事になる気がする」俺は漠然な直感をそのまま話した。

「うーん、難しいな。それも一理あるからな」

「そうだね‥‥。いきなり現れてそんな話しても、新手の霊感商法かと思われるかもだよね―――あ!」

「どうした葵?」

「いい事思いついたかも!」

俺と檜はあまり期待はしていなかったが藁にも縋りたい状況だったのもあり、一応聞いておくことにした。しかし、タイミングを見計らったようにホームルーム開始のチャイムが鳴った。

葵は後でねと、軽やかに椅子と机をすり抜けて自分の席へ戻っていった。俺はどうなる事やらと、自分も席に着いた。

間もなくして担任の先生が入ってきて、ホームルームが始まった。


先生は何かの注意喚起のような事を話していたが、俺の耳には一切入ってこなかった。しかしそれは、別に葵の話が気になるとか、そういうことではなかった。

俺の後ろに浮いてる事に飽きた先輩が、俺が見えてる事をいい事に色んなイタズラをしてくるのだ。


例えば担任が黒板に期末テスト、プール週間と、チョークで書いていると、先輩がこっそり息で吹き消したり、小さいチョークで書き足して遊んでいるのだ。

「明日から体育は水泳です。学校指定の水着を忘れないように、それと期末テストの影響で部活動を来週から中止するので、それぞれの顧問の先生に確認をしておいてください」担任は淡々とした口調で、まるで機械のように読み上げた。しかし、一人の生徒が異変に気付いたようだった。

「あれ、先生誤字ってませんか?」

「ん?」

「期末テストが世紀末テストになってて、プール週間がフールー週間になってますよw」

教室は呵々大笑に包まれた。俺は何やってんだという、アホを見る気持ちで先輩を見つめていた。葵や檜も見えなくともこんな事をするのは―――もといこんな事を出来るのは一人しかいないため、人一倍笑っていた。そのため、顔を真っ赤にして憤慨している担任に見咎められ、午後の総合で使う資料の運搬を命じられる始末だった。

やれやれである。これにより、葵の話を聞くのは放課後になりそうだった。

俺は構っていられないので次の授業の準備をしていると、不意にスマホが震えた。どうやらラインが届いているようだった。

そこには裏辻先輩の名前が映し出されていた。

「昼休みに部室にいらして下さいまし」

ネテミでした(^^♪

お疲れ様です!

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