第13話 大きいおっぱい平和なおっぱい
ネテミです(^^♪
やっぱり楽も高校生でありこういう話が大好きなのです!
そして僕自身葵がどんどん、好きになってきました。
第13話お待たせしました!楽しんでいってください!
校門にたどり着くと待ちくたびれた顔をした葵と檜が待っていた。俺は遅れてすまんというジェスチャーをして合流する。
「そんじゃ行こうぜ」
「そうだね、雅ちゃんの家へレッツゴーだね!」
二人は明るく俺の前を歩いていく。俺もその後に続いた。
「そうだな、日が暮れる前にちゃっちゃと終わらせるべ」俺は言った。
すると、葵が不思議そうに首を傾げながら聞いた。
「あれ?楽ってば、なんか嬉しそうだね、良いことでもあったの?」
「確かにな。さっき別れた時なんか少し顔青かったもんな」
「そ、そんなことねぇって!気のせいだよ」
本当か〜?と、後ろの浮遊霊はニマニマしながら尋ねてくる。自分だって嬉しかった癖に、いい度胸である。
「まあ、遥先輩めっちゃ巨乳だもんね?楽の持ってるエロ本も大抵胸でかいし、結局世の中そういう事なのよね」
「ファ⁉」
俺はびっくりして変な声を上げた。なぜなら、びっくりしたからである。
「確かに、先輩凄かったよな。だが楽、俺は分かるぞ!胸は男のロマンだよな!」
「あんたは、家のお母さんが胸でかかったから巨乳好きになっただけでしょうが」
「葵!その話はもうよせって、今はもうそんな事想ってねえから!!まあ、影響を受けた事は否定しないけどよ」
「キモォ」
「シンプルな罵倒が一番きつぅッ!」
すると、今まで黙っていた先輩が震える手で葵が持っていたタブレットに何か書き始めた。
『やはり、男は胸なんだな。らっくんも遥が視線を外しているすきに、遥の胸を凝視してたし‥‥』幽霊からの証言が提出されたのだった。
「いや、違うって!これは、しょうがないんだよ!人間の目は一番目立つ所に自然と目がいくものなんだから。まさか、ずっと縦ロールを眺めて話すのも不自然だろ?」
「楽。そういうの、気付かないと思ってても女子は気付いてるから、止めたほうがいいよぅ。普通に引くから」
「まさか、そんなわけ無いだろ。第三の目でもあるってのか?俺はちゃんと細心の注意を払ってだな‥‥」
俺は考えすぎだと一蹴した。俺だって女子が見られていい気がしない事くらい認識しているのだ。
故にここしかないという、タイミングでこっそり拝んでいたこのステルスミッションは流石にバレていないと自負していた。―――すると、またしてもタブレットに何か書き込まれている―――
『遥はバッチリ気づいてたぞ。途中困ったように、さり気なく胸をかばってたし』―――証言その2である。
「楽ぅ‥‥」
「お前‥‥見るなら、バレないようにしろよ、せめてよ」
やっちゃったねえぃ?と、明確にディスってくる幼馴染達‥‥。ここに、俺の味方はいなかった―――。
―――しかし‥だ。俺はとある疑問を浮かべた。
―――何故おっぱい見たらあかんのかと‥‥。そもそも、おっぱいとはなんぞや。女性の象徴だ。包容力の具現だ。そして―――誰しもが揉みしだき吸い付いて来て、こんにちを迎えている―――人類いや多くの生類共通の栄養受給器官でもある―――。
おお、なんと素晴らしいことだろうかッ⁉
俺はついぞ理解しえた‥‥。結論、おっぱいを嫌いな者など男も女も―――決していないのである‼
そう、世界では未だ肌の色や出身、信じるものの違いにより、多くの血が流れ続けている‥。とても、悲しいことだ。その溝は深く、決してわかり合えないと、連綿と怒りと憎しみを重ねてきた。けれど―――と‥。俺達にはわかり合えるものが少なくとも一つ、あるではないか?
そう―――おっぱいである。俺達は今一度一つになれるのである。握られた撃鉄も、振り上げた拳も、差別する思想も―――目の前に100%のおっぱいが現れたら、どうだろうか。きっと世界は少しだけ平和になるような気がするのだ‥。
故に―――俺達はおっぱいを見てもいいのだ。何なら失礼しますよ、とちょっとだけなら、揉んだっていいのかもしれない。そういうところから、平和の第一歩がこの血に濡れた大地に刻まれていくのだ―――。
―――ここまでの持論もとい、真理を葵達にこんこんと説いた。
見ろ!檜の、希望にあふれる顔を‥‥。
俺も見てもいいのか⁉と。
勿論だとも。
俺達は一つになれるのだ。ピース。
―――しかし、葵はすぅーっと目が細められ軽蔑の眼差しをこれでもかと浴びせかけていた。先輩も普段は俺の後ろでぷかぷか浮いているのに、今だけは葵の後ろでこれまた幽霊の名に恥じぬ恨めしげな顔で睨んでいた。
彼女達の目は口ほどに雄弁に語っていた―――何言ってんだコイツらは?と。
おかしい、これから我々は手を取り合っておっぱいの良さを語り、愛で、癒やされるべきなのに。
しかし、葵は解答をもたらした。人類が未だ争い続ける理由なのかもしれないそれは、売り言葉に買い言葉であった―――。
「あんた‥‥いえ、あんた達‥いえ―――バカ共。良く聞きなさい、私達はすべからくチン○から生まれてきたと、故に私達はチン○を見てもいいし触っても良いと。今からあんた達のチン○を見るし触るけど文句ないのよね?
ちなみに、雅ちゃんと一緒に語ってあげるわよぅ?―――ね?雅ちゃん」
すると、葵のタブレットに何やら書き込まれた。
『そうだな‥‥大きさとか、形状とかな?』
―――おおぅ‥‥。それは当然の主張だった。平等なる権利‥‥。見るなら見られる覚悟もあるのよねえ?ゴラァ⁉なる、真理に―――俺も檜も口を揃えて「すいませんでした」と、平謝りする事しか出来なかったのである。しかし―――葵の怒りは山火事のようにさらなる火種に飛び火していくのである。
「それに‥何が一番許せないって、あんた達が私のおっぱいに対して何一つ言及しないことよぅ⁉
私は見逃さなかったからね!!あんた達がおっぱいおっぱい言ってる時、一度私の胸を見てから目を逸したことをッ⁉
こちとら、成長期じゃボケィ!!(怒り泣き)」
「「そこかよ⁉」」バカ×2は口を揃えて慄いた。そして、葵のタブレットが文字を映し始める。
『あーあ。葵泣かしたー。らっくん、檜‥‥鬼畜だな?』
先輩は感情を抜き取ったかのような平坦なセリフを残していた。逆に怖い‥‥。
そこから先は酷かった―――。俺は先輩をなだめ、檜は葵のご機嫌をとる。
しかし、荒んでる葵は遂に、無言で俺らのズボンを降ろそうとしてきて、抵抗すると、チン○!チン○!うるさかったので、近くの公園で一度小休止する事にした。檜が販売機からりんごジュースを買ってきて葵に飲ませた。
こうして、先輩の家にたどり着くまで一難ありつつも、着実に目的地には近づいているのだった。
✱✱✱
あれからようやく葵は下半身ハンターから復活し通常運転に戻っていた。
先輩の家は徒歩圏内ということもあり、遅くなっても多少は大丈夫ではあるのだが、あまり時間をかけても勇気が削がれる気がして俺達は先を急いだ。
やがて、先輩の道案内に従って進んでいると閑静な住宅街が見えてきた。
いつの間にか辺りは、高級住宅街に囲まれていたのだった。
「すっごいねぇ!この近くに雅ちゃんの家があるんだ!」
「噂には聞いてたけど、本当にお嬢様なんだな」
二人共自然と感嘆のため息が漏れる。
辺りは夕暮れ時だというのに、出歩いている人がほとんどいなかった。
広い視野に一人、二人である。スーパーの袋を提げた主婦も、駆け回る子供も、散歩する老人もいなかった。
ただ豪勢な家屋が並んでいるだけだ。
あまりにも静かなので、何か悪いことをしている気がしてくる。まるで部外者のような気まずい空気が流れる。
ヤバイ。緊張してきたんだが‼
俺は肩に力が入り体がこわばるのを感じたが、後ろの先輩の不安な顔を見ると、こんな場合ではないと勇気を振り絞った。
すると、それを察したように葵と檜が俺の背中を強めに叩いた。
「オラッ!しゃきっとしろって!もうすぐなんだろう?そんな顔してたら伝わるもんも伝わらないぞ」
「そうだよぅ!雅ちゃんもしっかりね!私達はみんな雅ちゃんのために集まった仲間なんだからさ!」
俺はヒリヒリとする背中をさすりながら「ありがとう」と、言いたい気持ちをぐっと抑えた。勿論照れくさいという気持ちもあるがそれ以上に―――水臭いと思われそうだったからである。
だから、ありがとうの代わりにこうお返しするのだ。
「いってぇな檜!お前の方こそビビってんじゃねぇか?手が震えてるぞ?」
「いてぇ⁉テメェ楽!やり返しやがったな!俺はお前と高城先輩のことを思ってだな!!」
俺と檜は、小競り合いを始めるのだった。そして、先輩は後ろで心配そうにあたふたしていた。
葵はその姿が見えているわけではなかったが‥‥先輩がいるであろう空間に静かに語りかけた。
「大丈夫だよぅ」
「え?‥でも‥‥」
「雅ちゃんが心配する必要ないよぅ。いつものことだから‥‥。だから、雅ちゃんは自分の事を考えてね?
でも、不安にならなくていいよぅ!どんな結果だって私達は雅ちゃんの友達だからね!」
突然の出来事だったがそれ以外の理由で―――雅は驚いた。
葵は雅が見えない。けれど分かったのだ。分かる方法があったのだった。
「葵には叶わないな‥‥」
雅は少し寂しげに呟いた。
―――葵は振り向いた楽の顔を見てすべてを察したのだ。楽のその不安に揺れ、それでもどうにかしなくてはと焦る、その顔に。
檜は全く別な理由だろうが行き着く結論は同じだった。それは幼馴染なのだから当然の結論だった―――しょげてる仲間がいたら勇気付けてやる。
その方法が多少荒っぽいかそうでないかの違いはあれど―――。
雅はここへ来て彼らが幼馴染なのだという事を再認識し、少し羨ましいとさえ思った。死んでしまった自分と楽の間には特別な繋がりがある。だから、他の人が気付かない事だって雅は何となくわかるのだ。それでも、それ以上にわかり合っている彼らが羨ましかったし、その姿に少しだけ嫉妬した。
だけど、今は―――彼らの仲間であると言われたことの方が何倍も嬉しかったのだ。
だから、雅は葵の持っているタブレットに大きな文字で『私は大丈夫だ!』と綴るのだった。
男達の喧騒の最中、葵は静かに笑った―――
ネテミでした(^^♪
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